長女転生〜Ifルートだって本気出す!   作:モモンガ様を見守り隊

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本作オリジナル主人公"レイラ・グレイラット"

ルーデウスの妹でノルン達の姉です。



レイラの元家庭教師のロキシーに招待され、シーローン王国にてパックス・シーローンの家庭教師として雇われる。

そして、本作は、パックスと奴隷市場から逃走する一幕の剣戟から話は始まります。

それではどうぞ!


一話

 

 

 

 

…やれる!

 

燃える地下牢で俺はそう感じた。

 

相手は、俺のストーンキャノンで体勢を崩している。ここからの反撃は不可能だろう…

 

そう思い俺は力強く踏み込み、男の懐に入る。下段からの一閃…とった!

 

 

 

 

血が吹き出す。

 

…誰のだ?男か?それにしては、異様に血がかかるな…

 

気持ちわりぃ…拭かなきゃ…

 

手で頬の血を拭こうとする。

 

すると、さらに血がかかった。

 

生暖かい液体が頬をつたり、鉄の嫌な臭いが鼻を通り抜ける。左腕からは血と肉と脂が混じった何かが溢れだしている。

 

…あぁ、そっか…俺のだったのか…

 

 

 

 

 

「…ったく、面倒かけやがってクソガキが…」

 

男はそう吐き捨て、最低限の止血を済ませ気絶したレイラを担ぎその場を後にする。

 

 

血を大量にだし、倒れているパックスとレイラの左腕を残して…

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

「…報告です。先日の奴隷市場にてひどい火傷を負ったパックス殿下と、推定レイラ殿と思われる左腕を見つけました。」

 

「…そうか、あやつは生きているのだな?」

 

「…はい、しかし、火傷のあとは残ってしまったようで、宮廷治癒魔術師に治させましたが、治癒不可とのことです。」

 

 

「…はぁ、まったく、面倒事ばかり起こす愚息だな。仕方ない、あの件を早めに進めるか…」

 

「…」

 

「なんだ、まだ居たのか?もうよい、下がれ」

 

「…申し訳ございません。まだ報告が済んでおりません。」

 

「…なんだ、まだあるのか?」

 

「…はい、宮廷魔術師のロキシー様が先日から錯乱しております。」

 

「…あぁ、そういえばあの小娘が見つからないと言って捜索隊の延長を申し出ていたな…」

 

「はい、それでいかがいたしましょうか?」

 

 

「…ふむ、卑しい魔族ではあるがその強さは余も一目置いておる。適当にあしらっておけ。」

 

「…はい、承知いたしました。」

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

…一体どれほどたっただろうか…

 

俺は、なにかの皮でできた遮光カーテンのような布で覆われた檻の中で俺は、何千回目になるか分からない疑問を自分にぶつける。

 

あの日気絶した俺は気付けば檻に入れられ最高なサーカスの旅に出ていた。

 

前世のサーカスみたいに各地を転々とする形で人のように生きることも許されず、俺は見世物の動物として生かされた。

 

 

 

 

俺のお腹から出ていきそうな腹の虫がサーカス用の屋台から流れ込む匂いに騒ぎ出した。

 

 

寝床は不衛生で、食べ物もろくに与えられず、マシな食いもんは、サーカスの殺した魔物の肉を焼いたものだけだからな…

 

 

しかもそれを見世物にしやがって…おかげで余計に普通の食い物、出されなくなったし…

 

きっと俺の腹の虫は、俺という寄生主から出ていった方がもっとマシな食事にありつけるだろう…

 

そんなことを考えながら俺は、檻の端にある少し布の破れている穴を覗く。

 

 

…今回は随分と田舎っぽいな…

 

この間まではめちゃくちゃ寒くて、植物一つも生えてないようなところだったのに、気付けば暖かくて草の生い茂った豊かな地域にまで来てしまった。

 

…そろそろここから抜け出したい…

 

 

今までは出るに出れなかったから…

 

「…ッ!」

 

咄嗟にヒーリングをかける。

 

「…はぁ、はぁ…」

 

左腕が痛む…前世で言うところの幻肢痛というやつだ。

 

もうないとわかっていても痛い…だけどこうしてヒーリングをかけると和らぐのだ。

 

 

こんなことが四六時中ある為、常に魔力不足だったが、また総量が増えたおかげか最近は倦怠感はなくなった。

 

もしくは、他の奴隷にヒーリングをかけていたのが無くなったからか?

 

 

喜べることじゃないし、喜んでいいことじゃないだろう…

 

それが表すことは、治癒する奴隷がいなくなったということだろうから…

 

 

 

だけど、おかげで逃げれる…

 

俺は檻を土魔術で崩す。

 

あぁ、久しぶりの感覚…日を浴びる。

 

 

俺は止まった馬車から落ちる。

 

そう落ちたのだ。

 

 

…くぁ、足に力が…

 

 

それでも俺は、這って進む。

 

 

「…なぁ聞いたか?」

 

「…ッ!」

 

誰かが近付いてきた!

 

「…なんだよ、このくっせぇ場所で話すようなことか?」

 

「…まあまあ、そういうなよ。実は噂で聞いた話なんだけどよ…どうやらシーローンでの奴隷市、完全に撤退するらしいぜ。」

 

「…マジか?」

 

「マジだ…なんか、あの火事から奴隷商人が次々に殺される事件が相次いだらしくてよ…」

 

「うひぁ…そりゃいくら金になるからってったってボスも逃げたくなるわな…」

 

「俺たちもやられなきゃいいが…」

 

「誰が、俺らを殺すんだよ?それにそれがあんのはシーローン王国なんだろ?なら平気だろ。」

 

 

「それもそうか…こんなとこまで来るわけねぇわな…」

 

「そうそう、こんな辺境の都市に来るわけねえって。」

 

…辺境か、いいことを聞いた…ならこいつらが居なくなるまで誰かに匿ってもらうか?

 

いや、後のことは後で考えよう…とりあえず今は逃げることだけに集中しなくちゃ…

 

「…んにしてもよぉ、なんたって獣人だけ持ってくんだよ?」

 

「さあな、先方の希望だから仕方ねぇだろ。それに売れりゃ魔獣だろうが、ガキだろうが俺達には関係ねぇよ。」

 

「…」

 

俺は、這いつくばってその場から離れる。

 

外に出ると、そこは街の外だった。

 

 

 

多分奴隷商が中に入れないからだろう…そういうのがしっかりしてるところなのだろうか?

 

それなら都合がいい…とりあえず中に入れば、助けてくれるかもしれない…

 

 

俺は門の前にいる衛兵のところまで壁伝いに動かない身体を引きずって行った。

 

 

「…かしら!楽しみだわ!」

 

「…ス、落ち着いてください。」

 

「…いくぞ、しっかり掴まっていろ。」

 

馬がかけていく音が聞こえた。

 

ようやく、着いた…なんで正門と真反対なんだよ…裏門も朝が早すぎて開けて貰えなかったし、足も力が入らないし…

 

「はぁ…はぁ…」

 

 

「す、すみません…中に入れて貰えませんか?」

 

「うん?あぁ、はい、構いませんよ…」

 

…めっちゃ簡単に入れられた…いや、この街はそういうとこあるからな…

 

 

そう、薄々気付いていたが、数年ぶりに戻ってきたぞ…中央都市ロア…

 

まさか、シーローンからフィットア領にまで連れてこられるとは…運がいいと言うべきか、はたまた奴隷におちたことを嘆くべきなのか…

 

 

いや、とりあえずはボレアス邸に行こう…あぁ、涙がでそうだ…

 

 

奴隷になってどれほどたったか分からないが、死ぬかと思った…あぁ、思い出したくもない…

 

 

懐かしい街、懐かしい風景…帰ってきたんだなぁ…

 

早く、行こう…

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ…」

 

やっと、貴族エリアまで来た…

 

もう少しだ…もう少しで!

 

「おいおいおいおい…」

 

「ヒュッ…」

 

喉の奥から音が漏れた。

 

「…なんだ?どうやって逃げ出したんだァ〜?」

 

振り向くとそこには、あの時の俺の左腕を切り飛ばしたあの男がいた。

 

 

落ち着け…落ち着け落ち着け落ち着け落ち着け!

 

 

震える手で相手を狙う。

 

ここで決着をつけるんだ。

 

 

「まァいいか…逃げた奴隷にはお仕置だ…」

 

ゆらりと剣を抜いたと思ったら、ものすごい勢いで、踏み込んできた。

 

 

ストーンキャノンを放つ

 

当たり前のように避けられ目の前にまで迫られる。

 

 

横に避けようと風魔術を放とうとしたが…あの目、何がなんでも逃がさないというあの目に睨まれ、足がすくんでしまった

 

 

一瞬、俺は発射が遅れた。

 

毛ほどの差、しかしその差が俺の腹を貫いた。

 

 

「…ガハッ!」

 

 

「…なぁ、言ったよなぁ?お仕置だってよ?」

 

 

 

そう言ってくる間も、首を掴んで男は剣で俺の腹をえぐり続ける。

 

「…くぁ…ふっ…ッ!」

 

「まぁいいぜ、別によォ〜?お前が逃げたって俺には関係ねぇしなぁ…だけどよォ…」

 

そう言って俺の腹から剣を抜いて目の前に突きつけてきた。

 

剣先にはベットリと赤い液体が付いている。

 

「飼い主に噛み付こうとする犬にはお仕置だぜ?」

 

男は首から手を放して、頭を鷲掴みにした。

 

 

「…あ、やめッ…」

 

 

…グサッ

 

 

神経をなぶられる感覚が刺された実感とともに遅れてやってくる。

 

?????痛くない??痛い?痛くない??痛い?????痛くない?痛い、痛いいたいいたい痛いいたイタイたい痛い痛いいたい痛い痛い????イタイ??痛い痛いty6k7&6k5jxt??0lt.v9x8&h&7!!!

 

「あがッ!あっ…がァ!」

 

必死に男の腕を押し返す。

 

 

しかし、押し返せば押し返した分だけ押し込まれ、次第に身体が動かなくなる。

 

さらに頭も回らなくなる。

 

おいおい、もう終わりか、ん?

 

…痛い、イタイ、いたい…死ぬ、熱い、血が…目が…私の目が…

 

 

痛みにうずくまったレイラを男は押し倒し馬乗りになる。

 

ニヤけた顔が頭に酷くこびりつく。

 

なんだよ…つまんねぇな。まぁいっか、せっかくだからこっちも…

 

 

男が剣を目にかざす。

 

…お兄ちゃん、ごめん…

 

 

 

ノイズが鳴り止まない頭で思ったのは、自分を育ててくれた兄への謝罪だった。

 

 

男の剣が、文字通り目の前に迫ってきた。

 

レイラの目に剣が突き刺さる直前、それが起きた。

 

 

 

男のにやけ顔も、血の着いた剣もロアも私も何もかもを飲み込み世界を白に染め上げた。

 

一緒の浮遊感とともに、硬い地面に背中から落ちる。

 

頭を打ち付け、視界が歪む。

 

その鈍痛が、まだレイラが生きていることを鮮明に教えてくれる。

 

 

なんだ、おまえら…もしかして勇者か!

 

…だ、れ?

 

 

 

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