ガンダムブレイカー4 フロンティア戦記   作:ナタタク

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第7話 予兆

「第3タクラマカンエリアで異変を確認!」

ラー・カイラムの戦闘ブリッジを模した管理ルームで、様々な軍の制服を身に着けたオペレーターたちがコンソールを操作する中、ブリッジの扉が開く。

「マイスター・ジン!」

「状況は?」

「異変の発生は第3タクラマカンエリア。モニターに表示します」

映し出された熱砂の砂漠。

そこに、このミッションで本来は登場するはずのない敵機。

砂漠仕様のシャンブロは本来であればもっと高難易度のミッションでなければ出現しないもの。

(GBBBBで幾度も起こっている異変、これは…)

「至急、出撃して事態の対処を!」

「いや、いい」

「ですが…」

「このミッションの参加メンバーは、分かっているだろう?」

「え、ええ…3人は参加したばかりのプレイヤーで、一人は…」

「なら、なんとかなるさ」

 

「なんでや…なんでこんな敵が出てくるんや!?」

「生半可なビームを使ってはダメだ!リフレクタービットで跳ね返るぞ!」

砂漠仕様といっても、リフレクタービットが展開する機能の存在は変わらない。

実際にミスターはビームマシンガンをライフルモードに切り替えたうえで1発だけシャンブロに発射して見せる。

それに対して、シャンブロは展開しているリフレクタービットの配置を変更し、ビームは機動を変えていく。

幾度も反射するようにビットからビットへと飛び、やがてミスターに向けてビームが飛んでくる。

それをビームコーティングが施されたシールドで受け止めた。

「ビームが効かない!?」

「来るぞ!!」

シャンブロの肩部拡散メガ粒子砲が火を噴き、数多くのビームがリフレクタービットによって軌道を変えていき、そのすべてが4機と防衛目標のフリーデンに襲い掛かる。

「キャアアアア!!」

「うわああああ!!こんなんアリなんかぁ!!」

拡散ビームであるものの、発射するのが巨大モビルアーマーであるシャンブロのため、その1発1発がビームライフル並みの破壊力だ。

ビームシールドでどうにかコックピットを守るリンだが、左足に命中したことでコックピットが激しく揺れる。

左足が爆発とともに消し飛び、バランスが悪化する。

タオもビームを受けたことでライフルを失い、バックパックをかすめたことで起動力にも支障をきたす。

「こんなの…いくら機動力があっても…」

機動力においてはガンダムフレールやタオSDカスタムを上回るイカロスですら、この大量のビームを前では無力であり、ソロ本人の実力不足もあり、次々とビームが着弾していく。

(こんなの…どうやって、勝てばいいの…!?)

リフレクタービットでは、いくらビームを撃っても意味がなく、まだ見せていないが最大火力の大口径メガ粒子砲が残っているのは間違いないだろう。

ダカール議事堂の防護壁をたやすく貫通するほどの破壊力を持つあのビームを一発でも受けたら終わりだ。

「君たち、君たちはフリーデンを守るのに徹するんだ」

「ミスター…?」

損傷した3機と比較し、無傷の状態のミスター専用ゲルググが前に出る。

「私に任せろ、あのシャンブロは…私一人で倒す」

「一人でって…無茶やで、いくらミスターでも…」

本物のミスターガンプラであるならともかく、このミスターはあくまでも偽物。

そんな彼がひとりで勝てるはずがない。

「おい…なら、リタイヤすればいいだろう。こんなの、また…」

「確かに、また強くなってもう1度挑む。それが賢いやり方かもしれないね。ソロ君。けれど…どうしても勝ちたい相手がいるなら、迷わず当たってみせるのも、悪くないよ!!」

直撃コースで飛んでくるビーム。

「ミスター!!」

叫ぶリンだが、ビームが当たるギリギリのところでゲルググが消える。

シャンブロはゲルググを見失ったようで、動揺したかのように首を動かす。

次にゲルググが現れたのは背後で、近くにあるリフレクタービットをビームナギナタで切り裂く。

拡散ビーム砲の冷却を行う間の兵装として、右の大型アイアンネイルを展開して握りつぶそうとする。

しかし、ビームとアイアンネイルを持つ腕ではスピードが全く違う。

「あのゲルググ…赤くねえか?」

「何言ってるの?元々ミスターのゲルググは赤いでしょ?」

「そういう意味じゃねえよ、あれは…確か…」

再び消えたかのように圧倒的なスピードでその場から消え、その直後にシャンブロの右腕が根元から切り裂かれたようで、大きな音を立てて地面に落ちる。

シャンブロの頭上にいるのは赤い粒子を放つミスター専用ゲルググ。

ビームナギナタを上下で分離させ、2本のビームソードとして持つそのゲルググを太陽の輝きが照らす。

「トランザム…トランザムや、これ!!」

タオの脳裏にエクシアが初めてトランザムを発動してスローネツヴァイを倒したシーンがよみがえる。

ライフルを捨て、2本のビームソードのみで襲い掛かるゲルググに冷却を終えた拡散ビーム砲と残ったリフレクタービットで攻撃するシャンブロ。

ビームはことごとくかわされ、逆に次々と周囲のリフレクタービットが破壊されていく。

リフレクタービットによる反射を前提としたシャンブロの拡散ビーム砲はそれを失った瞬間、射角を持たない汎用性のない兵装と変貌する。

シャンブロはゲルググへの攻撃を諦め、照準をフリーデンに合わせる。

大口径メガ粒子砲にエネルギーを集中させ、刺し違えてでもフリーデンだけでも倒そうとするが、もうそれは何の意味もなかった。

発射ギリギリのところでビームソードが頭部に突き立てられる。

大量のエネルギーがシャンブロに逆流していき、大爆発を引き起こした。

 

「んもーーー!!なんだったのよ、あのシャンブロっていうの!初心者向けのステージだったわよね!!聞いてない!」

ステージが終わり、ブリーフィングルームに戻ってきたリンの第一声は今回のステージに対する文句だ。

確かに時折サプライズのようなことがあっても文句は言わないが、それと初心者ではクリア不可能な相手を出すようなことであれば話は別だ。

もしミスターが参加してくれなかったらと思うとぞっとする。

「ほんま、ありがとうございますミスター。おかげでクリアできました」

「いや、今回は私も想定外だったよ。だが…君たちもいいセンスがある。将来はこうした相手とも互角か、それ以上に戦えるさ。その時を楽しみにしているよ。ああ、それと…」

リンたちと離れた場所にいるソロにミスターが歩み寄る。

顔を背けるソロの肩に手を置いたミスターは怒ることなく諭すように声をかける。

「気持ちが落ち着いたらでいい、あとで2人に礼を言うんだよ」

「…」

「じゃあ、また会おう!」

ミスターがログアウトし、返事を聞かずに去った彼にソロは彼が消えた場所をじっと見つめた。

「どないしたんや、ソロ。なんか、気になることでもあるんか?」

「いや…なんでもない」

「そんなことより、ソロ!あんた、私たちに言うこと、あるんじゃないの?」

ソロの目の前で仁王立ちするリンがじっと彼をにらむ。

今回のイレギュラーの事態はともかく、問題なのは最初にやったソロの単独行動だ。

もしミスターが単独でフリーデンを守りきってくれなかったら、ミッション失敗になる可能性が高かった。

「ほら、さっさということをいう!!」

「まあまあリン…ごめ…」

「謝るのはタオじゃなくてこいつよ!」

「…おかげで、助かった」

「ソロ…」

「助かった…次は、気を付ける」

 

 

GBBBB、サイド3ムンゾエリア。

ジオン・ダイクンが死亡する前のサイド3の街並みが再現されたエリアの一角にあるクラブ・エデン。

ガンダムTHEORIGINで登場したそのクラブの風景が忠実に再現されており、ハモンに似た歌手による歌が披露される中でクランプに似た店主が作った酒や料理をタチやアコース、コズンに似た店員が運ぶ。

原作と違うのは多くの客がそこにいることだ。

店のドアが開き、ベルの音が鳴る。

真っ白なスーツ姿でグラサンをつけた青年がカウンターへ向かい、男性客の隣に腰掛けると店長に注文をする。

注文を終えた後で、青年は口を開く。

「君からもらったデータは確認した。この手の修正パッチは既に行っているが…」

「だが、現実として起こっている。クリアに支障をきたすようなものではないけれど…」

GBBBBはまだテスト段階であり、初めての試みが多いことからバランス調整やバグへの対応について、多くの課題があることについては覚悟している。

既に多くの課題については修正パッチの導入でクリアしていて、問題な状態になっているが、最近起こっているバグや不具合については別だ。

既に修正完了しているはずのものが再び起こったりしている。

「そうだ、確かに不具合ではあるけれどもクリアやプレイの続行に支障をきたすようなものではない…奇妙だな」

「ミスターからも今回の件の報告があったよ。…奴らの線、ということはあるかな?」

「いや、奴らがそういう仕事をするとは思えない。無論、可能性もあるということで視野に入れているが…。それにしても、ミスターか…ハハ」

「笑ってあげないでよ。自分なりに考えた結果、というわけだから…」

「その言葉もなかなかひどいぞ、マイスター・ジン。さて…」

注文した酒がテーブルに置かれ、隣にいる男性客、ジンも既に置かれているグラスを手に取る。

「GBBBB、そしてガンプラのさらなる発展を願って」

「乾杯」

 

 




機体名:シャンブロ(砂漠仕様)

シャンブロを砂漠での運用を想定して調整されたもの。
シャンブロが水中において脅威となるのは肩の装甲内には電磁流体誘導推進ユニット(MHD)を内蔵しており、スリットから海水を吸い込み超伝導コイルで推進機関に誘導した後、引き入れた海水を加速して後方へ噴射することによって推進するというありふれた技術にプラスして、Ξガンダムにも通じるミノフスキー・エフェクトによる流体抵抗軽減システムが併用されているためだ。
このシャンブロの場合は最も敵の警戒が薄い砂漠の地中からのターゲットへの奇襲が想定されており、機動力についてはむしろ地上でのホバー移動の方が上回っている。
武装についても、本来の仕様のシャンブロと変化がなく、逆に言えば地上での戦闘における脅威は何一つ変わっていないということになる。
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