人間が常に赤ちゃん扱いされるような上位種に生まれたら自分だけおいてけぼり   作:苺のタルトですが

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9話温泉と異世界へ娯楽施設を丸々作ったら泣かれた

疲れるわけじゃないんだけど、精神的に最近疲れが溜まっていたので地球の温泉に行くことにした。

 

やはり、疲れには湯がいい。

 

エルフなので好きに作れるけれど、生身の人間に囲まれて入った方が温泉がそれっぽくて、それ込みで温泉って感じだ。

 

銭湯も悪くないけど、今日は温泉という気分。

 

靴を脱いでロッカーに入れる。

 

温泉なんてわざわざ遠くに行かないといけない土地にいたので、入ったことなんてなかったけれど、今回が初温泉になるだろう。

 

「ふんふんふうーん」

 

「うふふふふ」

 

「あははは」

 

「ふふふふっ」

 

「まあ、ふふふ」

 

「ふー、ん?なっ」

 

やけに賑やかな笑い声だなと横を向くと長耳をさらした同種の者達が、アハハウフフと言いながらロッカーに靴を入れていた。

 

「なんでいるの?帰って欲しいんだけど。皆の一週間の滞在期間はもう終わってるんだけど」

 

「えー、リリシヤが面白そうな施設に行くみたいだから、ついて行きたかった」

 

「そうよっ!」

 

「僕はここが気になってるんだよ。人間達が幸せそうな顔になる液体があるみたいだし」

 

語弊を招く言い方するな、コイツ……。

 

「でも、滞在時間はもう使い切ってるよね。ダメったらダメ」

 

一つ許すと加減もなくなる。

 

ムッとなりながらダメ出し。

 

「ぶうぶう」

 

「そうだそうだ。ぶっぶっぶ」

 

下手くそ!

 

最後にブーイングしたエルフのやり方が酷すぎる。

 

「ゴホッ。ううん。だめなもんはだめ」

 

「じゃあ、来週の時間を前借りするはどう?」

 

「ふーん。日々進化してるねぇ」

 

いつか思いつくだろうとは思った。

 

あと、エルフらがズルしないようにエルフごとにタイムカードを作っており、時間をオーバーしたら強制移動とペナルティで次の週は、半分の滞在時間しかいられなくなる。

 

「次の週のタイムカードには自主的に増やしてね」

 

そう念押しすると、エルフ達はこくりと何度も頷く。

 

「わかったわ」

 

「言うこと聞く」

 

「やったわ!」

 

「言ってみるものね」

 

エルフ達が団欒となって、今も人々の注目を浴びている。

 

受付を済ませると、そのまま女湯に直行。

 

「なぁにあれ?」

 

行く最中にあるクレーンゲームや、食べるところを指さしたり。

 

クレーンゲームは初めて見るものだろう。

 

「あ!エルフだ!」

 

「エルフ?」

 

「本当だぁ」

 

遠巻きに見られる。

 

子供も多く、今にもエルフを囲みそうだ。

 

「なんなのここ!?可愛いわ。たくさんいるわね」

 

「どんどん人間が出たり入ったりして、ここも人間の遊び場かな?」

 

「娯楽施設だよ」

 

あまり行かなかったのか、人間のいる場所の中。

 

特にスーパーなどに赴くエルフたち。

 

幼稚園に言ったら帰ってこなさそう。

 

ここは大人も子供もいるし、温泉もある。

 

「娯楽施設?この間のキャンプ地みたいなものかしら?」

 

「人間が楽しそうに笑ってるわね」

 

「聞いてよ。わたしね人間が棒の中に入れられている場所があって。動けないから愛でに行ったの。そしたら、たくさんシャーシャーされたけど誰もダメだって言いにこなかったのよ」

 

「あはは。わたしもたくさん威嚇されたけど大人しく撫でさせてくれる場所を見つけたのよ」

 

撫でても許し続けられる施設は限られる。

 

おまけに許してもらえる肩書きの人も。

 

いずれ見つけ出したら永久的に構われるのはわかりきっていたので、放置することに決めていた。

 

「リリシヤいいの?」

 

「どうでもいい。すきにすれば」

 

投げやりに答えると黄色い声で喜ぶ面々。

 

それと、前にいた不良達で逃げ出した一部の、本物の肩書きを持つもの達も無事エルフ達に補足されたあと、可愛がられて色々諦めた目をして日々生きているらしい。

 

最初はめちゃくちゃ暴れたりしたけど、敵うわけがない。

 

優しくいい含められ、特になにも暴力的なことをされてないから余計に心が折れるのが早かった。

 

同じように反抗されれば相手の方は反発して、終わりがなかったろう。

 

多分、それを見ていたかもしれない組織も、身体を震わせて怯えているかもしれない。

 

その反対の組織も同じく。

 

暴力ではないのに、大人しくなる様は見ていて恐怖を染み渡らせるってものだ。

 

「ここで働きたいわ」

 

エルフらは最近バイトというものを覚えて、なにか買っていきこちら側にいる人間に渡すというものが流行り始めている。

 

「あなた、十六箇所で働いているでしょ?また増やすの?」

 

リリシヤは心配して聞いたのではない。

 

ただの疑問に思っての質問だ。

 

どうやって働けるのかと言うと、単に分裂したり増やしたりして働かせるからできること。

 

エルフならば人間レベルのスペックを持たせて分身に働かせるなんて、朝飯前。

 

「私だって全部の場所に働かせにいきたいわ」

 

「いつか、全てを制覇したいな」

 

「皆もきっと私たちに近寄りやすくなるわね」

 

エルフに見慣れたら絶対に近寄る。

 

エルフ達はお互いに話し始めたりして、一部はゲームコーナーに行く。

 

「どうやるのかしら」

 

「エルフの人、これはね」

 

困っていると親切な人側がレクチャーし始める。

 

レクチャーし終わって離れようとする人間に「待って。一緒に遊びましょ」とゲーム用コインを奢り誘う。

 

「こんなにもらえませんよ」

 

「いいじゃない。楽しいなら」

 

正論だ。

 

エルフが楽しいなら、もらっても。

 

相手は渋々受け取り、照れくさそうに笑う。

 

お菓子を取るクレーンゲームでお菓子をゲットしていくエルフが、取り終わったお菓子を周りにいる人間達に配る。

 

「はい。自由に取っていってね」

 

貰う様子がないと知れば人間達の手元に、自動的に分配される。

 

「え、いつのまに」

 

「わー、お菓子!」

 

子供らは大喜び。

 

「あれって賄賂じゃないのか?」

 

悔しそうに呟く男エルフ。

 

やつは前に異世界の方にいる子供に惑星を製作してプレゼントしたことがあるのだが、規模がデカすぎてどうしたらいいんだろうと困らせていた。

 

人のことが言えないやつだ。

 

「賄賂なんかじゃないわよ。失礼よ。知ってるんだからね!ビールの好きな人間に髭剃りをプレゼントしたの」

 

「お前だって健康に問題がないように、回復魔法かけているだろ」

 

警察官の人、今頃絶好調だな。

 

「あなたはボクシングジムの人達に、手作りのお菓子持っていっていたわよね」

 

実は、ボクシングジム編の人達がエルフ達に大変友好的になったので、エルフ達の行き先が増えて入り浸る者が絶えない。

 

怪我があれば治し、ケアを女性に学ぶと同じようにする。

 

「ここが脱衣所」

 

最近のこういう施設は整っていて、綺麗だ。

 

早速服を脱ごうとすると男湯から悲鳴が聞こえた。

 

「やつらに垣根は存在しなかったか」

 

どうやら女エルフ達が男湯に行った。

 

あくまで人間用だからエルフ達に適用されるとは思ってなかったから入ったのだろう。

 

彼女達だって説明すればちゃんと理解してくれるが、今回は適用すると思ってなかったのだ。

 

「とりあえず移動」

 

エルフ達を無理矢理こちらへ転移させる。

 

「なに、リリシヤ」

 

「男の湯は男しか入れないの」

 

「私達は明確に性別はないわ」

 

「ダメなの?」

 

「せめて、男エルフになってから」

 

というと、彼らは男になりまた向こうへ行く。

 

女湯に入ろうとする男エルフはいない。

 

何故なら、リリシヤが無理矢理通る時に男湯へ足を動かさせたから。

 

だから、余計に女エルフ達は疑問なく男湯へ向かったと言える。

 

「はぁ、入ろう」

 

脱いでいそいそと入る。

 

中は広く、たくさんの湯船が。

 

「まぁ、すごいわ」

 

エルフも目を丸くしてみる。

 

人間の側もエルフに驚き口にする。

 

「あれはエルフ」

 

「すごい」

 

「胸が」

 

「耳が」

 

リリシヤは気にせず入る。

 

皆も習って入る。

 

「向こうにも作ったら喜ぶわよ」

 

「そしたら、絶対にゲームコーナーも」

 

施設を作る計画を立て始める彼ら。

 

二時間入ったので、上がる。

 

「もう帰るの?」

 

ゲームコーナーで卓球を人間と遊ぶエルフが嬉しそうに、打ち合う。

 

「皆は好きなだけいればいいよ」

 

と、告げた。

 

温泉を堪能したリリシヤは直ぐに異世界へ戻る。

 

ふとみると、遠目に温泉ができていた。

 

「温泉なんて久々!」

 

こちらに連れてきた人間達が、嬉しそうに入っていくのが見えた。

 

早い、行動が。

 

すでに作り出す人たちがいて、先ほど相談したい人たちはさらに手を加えたと言うことなのだ。

 

彼らは出てきたりした時には、温泉に入れるなんて幸せだと言い合う。

 

それと、ゲームコーナーもマッサージ機コーナー、漫画コーナー完備。

 

ただの温泉施設ではない。

 

高級スパリゾートである。

 

エルフ達も人間達が浸かる姿に癒されたのか嬉しそうだ。

 

そして、いいことを思いついた。

 

杖を使って建物をこの土地に建てた温泉と繋げておき、施設を囲むようにする。

 

「なにかしら、これ?」

 

それに対してエルフ達は首を傾げる。

 

「りょ、旅館だぁあああ」

 

叫ぶ人間達。

 

彼らは多分そういうところと、縁がない生活をしていただろうし。

 

よくよく考えたら、地球の娯楽施設をそのままそっくりここに立てればエルフ達の足止めになるかも。

 

そうと決まれば地球にあるありとあらゆる、さまざまなリゾートや施設や、なんならご当地の有名な場所などを建てていく。

 

「嘘だろ!?ネズミーランド!?」

 

「ハッピーバーサルスタジオ!?すご!?」

 

「夢見たい。行けることなんてないと思ってたのに……」

 

雪が降る中、放り出されていた子が静かに泣く。

 

入場人数は桁違いに少ないので実質貸切りみたいなものだが、ざわざわ感を出すために隣町のエルフらも呼ぼうかな。

 

彼ら、こちらを毎日覗こうとして全エルフから弾かれてるもん。

 

理由なんて言わなくてもわかるよね?

 

減るからだ。

 

ただでさえ、独り占めが一日あればいいくらい人間が不足しているというのに、さらに減ったら一年が二年、二年が三年になる。

 

リリシヤでも嫌だろうなと、流石に把握はできた。

 

「なんで泣いてるの?」

 

「可愛い子、どうしたの?」

 

「あの建物がなんなの?」

 

エルフ達は泣き出す人間達にオロオロする。

 

困った時のリリシヤ頼み。

 

「ねえ、あの子達どうしたの?」

 

「行きたかったけど諦めていたことが叶うと知って、嬉し泣きしたの」

 

「嬉し泣き?」

 

「なぁんて愛おしいの」

 

「そうね、可愛いわ」

 

「泣くなんて、そんなに行きたいのね」

 

「ふふっ。そうだわね?私と行きましょう」

 

早めに行動しようとしたエルフが他のエルフにずるい!を連呼されている。

 

「ズルい!」

 

「早い者勝ちよ」

 

「独り占めはダメだぞ」

 

「落ち着いて皆さん」

 

エルフに人間達が嬉し恥ずかしそうに、止めている。

 

人生で求めてやまない幸せを得た、人間の表情だ。

 

「皆で行きなよ。閉館なんてないし」

 

「「そうねっ」」

 

足を車輪みたいに動かして皆でランドに行くことにしたらしい。

 

「私達は旅館に行きましょう」

 

社会人でビルにいた男をエルフ達は誘う。

 

「よろしいのですか?皆さんアトラクションの方がいいのでは」

 

社会人故に身についた空気読みはエルフ達には関係ない。

 

「なぁに言ってんの!あなたがやりたいことが私たちのやりたいことよ!」

 

「そうだぞ。我々はそのために施設を作ったのだ」

 

などなど、彼らは男を伴って旅館へ。

 

リリシヤはそれを見送り、家へ戻ると映画を見ながら一人まったりと過ごした。

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