ある日、ボス部屋の前で休んでいた時。
「ボスとは戦わないのですか。」
「ここのボスはパーンと言ってな、低層階では最強のボスって言われているよ。
かなりの威力の全体火魔法を使ってくる。
戦うには魔法を止める武器か、神官、巫女が居ないと全滅するな。」
「ご主人様は物知りですね。」
多分、ファティエは知っているのだろう。
こうやってわざと聞いてご主人様達を煽てるのがうまい。
私は、ここで聞いてパーンに挑むことになったらと考えてしまう。
こんなことを話していると別のパーティーがやってきた。
この階層では珍しい6名パーティーだ。
「俺たちは休んでいるだけだ。ボスに行くなら行っていいぞ。」
ご主人様がそう言うと
「そうか、そうさせてもらう、お前たち行くぞ」
そう言うと彼らは入っていった。
「すごい装備だったな。パーン狙いだとすると普段はもっと上で戦っているのだろうな。」
バルタ様がそうおっしゃった。
「多分誰かに頼まれたのだろうな。買取依頼は出ていなかったし。
食べ終わったし、そろそろ行くぞ。」
私達がボス前の部屋を出ようとすると、またしても別のパーティーがやってきた。
「俺たちは出ていく。今は他のパーティーが入ったばかりだぞ。」
「ああ、わかっているよ。俺たちも休憩だ。」
入ってきたパーティーには見知った顔がいた。同じ宿屋で寝泊まりするパーティーだ。
その日も何時ものように戦い、そして食堂裏の何時ものように残り物を買い、路地裏で食べて宿屋に戻ってきた。
宿屋で、すれ違ったパーティーメンバーの気配が無かった。
次の日の朝、ご主人様達にその事を報告した。
「落とし物狙いでもしたのじゃないか?」
「どういう事でしょうか?」
「昨日も言ったが、パーンと戦うためには魔法を止める武器を用意するか、全体手当の使えるジョブのメンバーがいるかだが、基本は前者だ。
スキルのついた武器屋防具は高い。
それ一つでお前らと同じくらいの値段がする。」
「この間スキルカードを売っただろう。
あれを使って作るのだが絶対成功する訳ではないからな、あれを何枚も使うことになる。だからどうしても高くつく。」
「バーンの部屋で前のパーティーが失敗したなら、その後に入れば手に入るし、使うにしても売るにしても役に立つからよ。
まあ、だからと言って魔法を止める装備なしにバーンと戦うのは嫌だけれどもな。
素直にバルトが鍛冶師になる事を期待するよ。」
「お前な、成功率は低いのだぞ。
それになれたとして、すぐに融合は無理だ。
後、2年で鍛冶師になれるとして、そこから数年は無理だ。」
「そうだよな。15層くらいになると魔法を止められないとかなり厳しいと聞いているから頼むぞ。」
ご主人様達の会話を聞きながら思った。
ご主人様達が慎重で良かったと。
多分スキル付きの装備はそれだけで借金を返せるような値段なのだろう。
ご主人様達が欲に目がくらんだら昨日いなくなってしまったパーティーは私達だったかもしれないのだ。
そう思うと身が震えた。