とある奴隷の物語   作:mshr

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12話 盾の違い

7層はご主人様の予想通りに人が大勢いて、一日の戦闘回数が減少した。

 

しかし、それほど収入は減少しなかったようだ。

 

6層のボス、パーンはとても倒せる相手ではなく、7層のボス、ハチノスは逆に人気が出るほどのボスだった為だ。

 

夕方は混む、という訳で、朝一にボスを倒し、その後、通路の魔物を倒す日々が始まった。

 

ミノやハチノスの突撃で、盾で受けてもダメージが入ることがある事を知った。

 

ご主人様に伺ったところ

 

「盾も木、鉄、鋼鉄とあるだろ。

盾でダメージが無いのなら木の盾しか要らないじゃないか。

尤も、盾や武器で受け止めた方が直接より断然少ないけどな。

盾や剣は受け方でもダメージが変わる。

あの突撃はまともに受けると負傷して継続ダメージだ。

盾で受けた方が断然いい。

スパイダーも盾や武器で受ければ毒を受けないだろ。」

 

ご主人様は物知りだ。

 

ミノやハチノスはかなりの勢いで突進してくるのだが、予備動作がわかれば事前の訓練もあり苦戦することもなく順調な毎日を過ごしていた。

 

人が多いので他のパーティーの戦闘を見る機会も増えた。

 

ある日、嫌な戦闘を見た。

 

奴隷がミノの攻撃を盾で受けるのに失敗して吹き飛ばされ、そのまま角で刺されたのだ。

 

どくどく血が流れるのを見た。

 

その後そのパーティーは戦闘を終えたのだが、

 

「こいつを治すほどの薬はないな。損させやがって。」

 

と吐き捨てて負傷した奴隷を置いてそのまま行ってしまったのだ。

 

私は思わず

 

「ご主人様」

 

そう言ってご主人様の方を見た。

 

「流石にあんな真似はしねーよ。

お前らを見捨てられるほど俺らは金持ちじゃないからな。」

 

「装備も悪いし、戦闘も下手だったしひょっとしたら買っていきなり連れてきてないか?」

 

私も、いきなり4層でしたが、と一瞬思ったが、ご主人様達は2人でも4層で戦えることを思い出した。

それに、ちゃんと訓練もしていた。

 

お金持ちにとって、奴隷は使い潰せる道具なのだろうが、無理して買ったご主人様達にとって、少なくとも借金返済が終わるまでは死んでもらったら困るのだろう。

 

必ずしもお金持ちに買われるのが良いかどうか分からない事を知った。

 

なので

 

「ご主人様に買っていただいて良かったです。」

 

とだけ答えておいた。

 

7層での戦い方は、基本的には4層から変わらない。

 

魔物が3体出れば、私とご主人様、ファティエで抑えて、バルタ様が遊撃に入って後ろか横から攻撃して倒していくというものだ。

 

基本的にご主人様が中央で左右を私とファティエが固める為、ファティエが抑えている魔物から倒していくことになる。

 

普通は奴隷が抑えている魔物が後回しになるのが定番だ。

 

逆に言うと私は最後の一体になるまで魔物を抑えていなければならない。

 

と言っても、パーティーの攻撃力はバルタ様>ファティエ>ご主人様>私なので、この順番が一番戦闘時間が早く済む。

という理由もあるのでこの点で不満を持ったことはない。

 

盾を使った戦闘では、やはりご主人様が私などよりも余程うまい。

 

私やファティエが体勢を崩したりするとご主人様がサポートに入って2体を引き受ける時もあるが、私にはあの真似は中々に厳しい。

 

6層に入ったくらいから、私がご主人様のお手を煩わせることが殆ど無くなったのではあるが。

 

このように、安定して戦い、日々を過ごしていた。

 

しかし、慣れとは怖いものである。

 

半年ほど過ぎた時、最後のミノの攻撃でスラッシュを使おうとしていたファティエが飛ばされ、壁に当たった。

 

そのまま私たちは壁に吸い込まれてしまった。

 

話には聞いていた魔物の部屋だ。

 

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