とある奴隷の物語   作:mshr

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17話 自分の強み

ご主人様の最後の顔に私は心を揺さぶられた。

 

もっとお役に立てれば、もっと必要とされれば、私は売られなかったのだろうか。

 

「戻ってきたか。使いつぶされなかっただけ良かったな。

マティン様から聞いてはいるが、探索者のLV7で合っているか?」

 

「間違いありません」

 

「戦闘奴隷なら、技量を維持するために迷宮に入ることになるが問題はないか?低層になるが。」

 

「私は大丈夫ですが、どなたと入るのでしょうか?」

 

「同室の者とになるな。と言っても、数日に一回、早朝に2~3時間ぐらいになるが。」

 

「わかりました、ありがとうございます。」

 

私は戦闘奴隷用の部屋に連れていかれた。

 

「アナンタです。よろしくお願いいたします。」

 

「こちらこそ。ところで迷宮経験者?」

「ジョブと潜っていた階層を教えてもらえない?」

 

「トラッサの7層で探索者LV7です。」

 

「私達の中では一番上まで潜っていたみたいね。あなたがパーティーリーダーで迷宮には入ることになるからよろしくね。」

 

「私がですか?リーダーの経験は有りませんが大丈夫ですか?」

 

「それを言ったら、ここに来る前にリーダーをやっていた人はいないよ。」

 

「そうなのですか?」

 

「それどころかここに来るまで迷宮に入った経験もない子もいるしね。」

 

「そうなのですか?」

 

そこから色々話した。

 

魔物の部屋で思った疑問、他の人は気配が読めないのではないか?を確認してみた。

狼人族の人がある程度であればわかる人もいるそうだが、完全ではないことも知った。

 

私だけの能力。この能力を必要とされる方が来られたら逃してはいけない。

私は固く決意した。

 

数日後、朝は早くに起こされて迷宮に潜った。

 

私達の部屋のメンバーのパーティー以外にヨシフ様やアグルス様を含むパーティーがいて、一緒に向かうことになった。

 

私がパーティー編成を行うのは初めてだ。

 

私達にも装備品が渡されたが、武器は銅製、皮の鎧、木の盾。当たり前だけれどもヨシフ様たちのパーティーは私達よりかなり良い装備だ。

 

多分武器は鋼鉄製だと思う。

 

まだ暗い中、歩いていつも向かっていた迷宮に向かった。

 

灯りはヨシフ様達が持っているので、ついていく形になる。

 

「感覚を忘れないようにするためだから無理するなよ。

3層以下で10回くらい戦ったら戻れ。

我々も鐘の鳴る時間には出てくるからそれまで待っていろ。」

 

「かしこまりました。」

 

そう言うとヨシフ様達が迷宮に入っていった。

 

続いて私達も迷宮に入った。

 

3層を選択した。2層のコラーゲンコーラルよりも3層のコボルトの方が楽に倒せるからだ。

 

殆ど初心者がいてもパーティーは6名編成で魔物は2体しか出ない上、半数がコボルトでは全く問題が出ない。

 

5回戦って迷宮を出てきた。

 

「アナンタは強いね」

 

「そうでしょうか。」

 

「アナンタがきっちり抑えてくれるからね。今日ほどラッシュを使いやすかった日はないよ。」

 

私達の中では一番年上のサワディーさんに話しかけられた。

 

彼女は夫に先立たれ、迷宮に潜るようになったのだけれども、税金が払えなくなって奴隷になったそうだ。

 

迷宮に入った期間だけなら彼女の方が長いほどだ。

 

「以前のパーティーは攻撃役だらけで、今は経験不足が多いからね。

他の子にも教えてやってくれない?

少しでも生き残れるようにならないと。」

 

戦闘奴隷は主人の判断次第で命が危ない。

 

私は盾技術を教える代わりに交換条件を考えた。

 

猫人族は伽のお勤めが良くないことで人気がない。だったらそこは鍛えるべきだ。

前のご主人様は私にあまり女としては求めてこられなかったが、もっと求められるような女だったら売られなかったかもしれないのだ。

 

「いいですよ。但し、私も教えて頂きたいことがあります。

猫人族は夜伽もあまり積極的ではないと思われるため、今一人気がありません。

中古の奴隷ですので娼館に送られ日銭を稼ぐ事になるかもしれません。

ですので夜伽を教えて頂ければと。」

 

同室にシヴィルと言うエルフが居た。

一般的にエルフは美しいが、多分エルフとしてもかなり美しさだと思う。

 

彼女も殆ど迷宮経験が無かったと言われた。

 

「私はさ、前はお金持ちに買われたのよ。ちょっといい気になってた。

飽きられたのかな?

娼館にいくか迷宮に行くかを選ばされてね。

娼館で病気になって死ぬより、探索者になって少しは自分で命を選べるようにって。

それで、探索者になって戦闘奴隷として商館に売られたのよ。」

 

その日から、シヴィルや他のヒトからも話を聞き、新しいご主人様ができたら生かすべく、練習も重ねながら日々を過ごした。

 

何人かの人が来て私の部屋からも買われた人が出た。

 

普通に買われたのなら使い潰される未来しか見えない。

だから、自分の気配を読める能力を必要とする人が来る事にかけた。

 

 

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