そんなある日、
「この中で鼻が利き、素早く動く事に自信がある者はいるか?」
と聞かれる方が来た。
ここだと私は思った。
「あの・・・、宜しいでしょうか」
商館主のシラー様のご許可をもらい、私は売り込みを開始した。
「私は鼻は利きませんが気配を読み取る事ができます。
迷宮で魔物をお探しになりたいのだと考えました。私ならば可能です」
こちらは大丈夫だろう。多分これで気を引けたはずだ。
「素早く・・・はよく解りませんが、パーティでは一番の前衛でした。
他の者よりはあまり怪我をしない方です。
以前は盾を使うのが上手だと褒められました」
一つだけは噓をついた。一番の前衛は主人であったマティン様だ。
でも、他のパーティーの戦闘も見てきたがよほどのことがない限り嘘とは気が付かれない筈。
売り込みには必要なことだ。
興味を持たれたのだろう。
値段を確認され、
「じゃあ彼女もお願いしましょう」
私は売り込みに成功した。
だけども彼女も?ほかにも買われたのだろうか?
私は売約済みの部屋に移動した。
部屋には可愛らしいドワーフの少女がいた。
「アナンタと申しますがお名前は」
「ナジャリと申します。」
「私が買われたときに『彼女も、お願いします』とおっしゃられました。一緒に買われたようです。同じご主人様になると思います。これからよろしくお願いいたします。」
そこから、色々な話をして彼女と仲良くなった。
私はとにかく、高額なナジャリさんを一括で買われるのだ。かなりのお金持ちだろう。
私はその点を危惧した。
お金持ちに買われたからと言って奴隷の扱いが良いかはわからないのだ。
実際にお金持ちが奴隷を使い捨てにするところも見てきた。
そして覚悟をした。ナジャリさんは可愛らしい妾奴隷だ。
私は一番奴隷ではないだろうと。
戦闘奴隷として新しいご主人様をお支えするのだ、と。
翌日、新しいご主人様が迎えに来られた。
それからの私は…今まで想像してこなかったような生活が待っていた。
前のご主人様、マティン様の「上には上がいる」と言う言葉の意味を改めて思い知った。
ナズさんはご主人様を神様と言い、私も本当にヒトなのか、少なくともこの世界のヒトとは思えないと疑う時があるのですが、そんなご主人様でも「自分はたいしたことはない。」とおっしゃられる。
ご主人様達は私よりもっと多くを、もっと広くをご存じなのだろう。
私をもっと高みに連れて行ってくれるのだろう。
今度こそは売られないように…
私のご主人様…
2次創作作品の2次創作と言うマニアックなお話を読んでいただきありがとうございました。
私が「異世界迷宮で追従」を読んで、一番気になったのがアナことアナンタさんです。
彼女は奴隷出身の奴隷なのですが、主人公の結城君にはっきり意見を言うのです。
そして、作中では一回もまともに魔物から攻撃を食らわないと言う偉業を達成中です。(※これを書いた1年程前の時点なので、その後に攻撃を受ける場面が出てきました)
これまたとんでもないです。
結城君が言うには、強い弱いで言ったらアナは弱い。と言う評価ですがその理由が、防御に徹すると途端に攻撃しなくなる、つまり生き残ることに全振りなのである。
だそうなのですが、強力なダメージソースがあるパーティーの場合、これが正解なので、別に欠点でもなんでも無い気がします。
それどころか、かなり機転が利くので結城君はいろいろな相談をしていますし、身が軽いのか冗談抜きで隠密のようです。
最も、完全無欠ではなく、熱さに弱いので料理が作れない。と言う欠点もありますが、そこがいいです
そんなアナンタさんが、何故、盾の扱いが上手いのか?魔物部屋からどのように生き残ったのか?何故、結城君にはっきりと意見を言うのか?と言う疑問から書いたのが本作です。
最初は短編として書いたのですか分けないと読みにくくて仕方が無いので18話に分けましたが…結果、1話当たりの文字数が少ないと言う…
かなり過酷な話が出てきましたが…ハーレムの加賀道夫くんや追従の藤本結城くんの対応が一般から大きく外れていると思いますので…異論は認めます。
再度書きますが、習作を読んでいただきありがとうございました。