とある奴隷の物語   作:mshr

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3話 初めて

私は男の奴隷と一緒に連れていかれ、人間族とドワーフの二人組が居た。

どちらが新しいご主人様なのだろう?

 

インテリジェンスカード操作で人間族の方が新しいご主人様であることを知った。

 

男の奴隷はドワーフの方の奴隷になるらしい。

 

商館を出ると「付いてこい」、それだけを言うとご主人様たちは歩き始めた。

 

露店をまわると買ってきた荷物を持たされた。

 

「お前の使うものだ、失くすなよ」

 

そういわれた、どんな人なのかよくわからない。

 

パン屋に行く。

 

「ここがパン屋だ、覚えておけ、明日からは自分で買いに行け」

 

そう言うと丸パンを渡された。

 

宿屋についた。

 

ご主人様たちは宿屋に併設された食堂で食べるらしい。私達はパンを路地裏で食べた。

 

宿の井戸端でご主人様に体を拭くように命じられ、お互いの主人の体を拭いた。

 

その後、自分を拭いた。ご主人様は遠慮なく私を見ておられた。

 

宿屋は大部屋でご主人様たち以外の人も一緒に寝るようだ。

 

失くすなの意味が少しわかった。

 

ご主人様たちは毛布があるが私たちにはない。

 

商館でもなかったのでそれは別にいい。

 

ご主人様たちはすぐ寝てしまった。

 

「名前は何というのですか、私はファティエです。」

 

一緒に買われた奴隷から声をかけられた。

 

「私はアナンタと言います。よろしくお願いいたします。」

 

「同じ奴隷ですから気にしないでください。ご主人様は違いますが同じパーティーのようですし。」

 

「寝て大丈夫なのでしょうか?服などを盗まれたら大事です。」

 

「私はエマーロですので眠りません。私が見ておきますよ。」

 

「ありがとうございます。」

 

私は眠りについた。

 

次の日

 

「今日から迷宮に行く、装備品だ、付けろ」

 

私とファティエは装備品を渡された。

 

私もファティエも木の盾と皮の鎧。

 

二人で身に着けた。

 

武器がない…

 

「マティン、やっぱり女に皮の鎧は無いぞ」

「新しく買うのもなぁ。まあしばらくしたら買うか、お前は迷宮経験がないんだったな。とりあえず付いてこい。見て覚えろ。明日からは魔物一体を引き受けてもらうぞ」

「お前は経験があるのだったな。どれくらい戦えるか見てやる。」

 

こうして私の迷宮探索が始まった。

 

ご主人様は強かった。

 

雑役奴隷時代に一体の魔物を大勢で囲んで倒しているのは見てきたし私も参加した事はある。

 

新しいご主人様は一人で2体の魔物を引き受けるのだ。

農園にいた頃には想像すらできなかった。

 

何でも昨日までは3体でも引き受けていたらしい。

 

そこをバルタ様が横から攻撃するのが基本だったらしい。

 

「思ったよりも使えないな」

「村人なんだからこんなものじゃないか?」

 

「ご主人様達がお強くて驚いております。」私から見てもそう思う。

 

「そんなことはない、上には上がいるんだよ。」

嫌そうな顔をしてご主人様はおっしゃった。

 

「迷宮から出たら鍛えてやる。簡単に死なれても借金だけが残るしな。アナンタ、お前もだぞ。」

 

初めて名前を呼ばれた。

 

「かしこまりました。」

 

 

迷宮を出ると町の外れに連れていかれた。

 

ご主人様たちが木刀を持つと

「兎に角、攻撃を受けないことを覚えろ。俺とバルタで攻撃するから盾でそらすなり受け止めるなりを徹底的に覚えろ。」

 

そう言って訓練が始まった。

 

上、左、右、下…順序良く降られる木刀を受け止めるだけの訓練。

 

それでも私は…ボコボコにされた。

 

ファティエはきっちり受け止めていた。

 

「ま、未経験ならこんなものか、迷宮経験のある奴隷を買った方が良かったのかな?とにかく盾を使って身を守れ。盾がちゃんと使えるようになったら剣を渡してやる。両方を一気に使うのは難しいだろう。

ファティエも前は両手剣だったか?盾の使い方はまだまだだな。」

 

武器を渡さないのはお考えがあったらしい。

 

「バルタ、ファティエ、魔物がいないか周りを見ておいてくれないか」

「お前なあ」

「いいだろ、その為に女を買ったんだ」

「次からは俺がいないときにしてくれ」

 

私はトラッサ郊外の草むらの陰で初めてを失った…

 

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