一季が過ぎ、盾で攻撃をきっちり受け止められるようになったころ、剣を渡された。
剣を使っての訓練の最中。
「剣が混ざると途端にだめだな。もっと強い奴隷が欲しいな。」
ふと呟かれた。
その時、私は悟った。捨てられるかもしれないと。
主人にとって手放したくないような存在にならないと。
処女の時ですら売れるのに1年もかかったのだ。
次がどうなるのかわからない。
主人が変わらなくても日銭を稼ぐために花を売りに出される事になるかも知れない。
どうなるのかわからないのだと。
その後も、攻撃を受ける度にどやされながらさらに一季が過ぎた。
徐々に攻撃を食らうことが減っていきながら。
そんなある日、
「そう言えばLV5になってたな。バルタはどうだ。」
「俺もだ」
「そろそろ大丈夫だよな」
「そうだな、ファティエ、剣士ギルドに行くぞ。」
二人が剣士ギルドに向かうと、
「俺に合わせて手を叩け。」
パン、パン…パン、パン
「これが一分だ、」覚えろ。探索者ギルドの試験だ」
パン…パン
「アナンタ、お前は筋がいいな。」
初めて褒められた。
「おう、ファティエは剣士になれたぞ」
「そうか、探索者ギルドの試験の受付はお昼からだったな。今日くらいは迷宮を休むか。」
ご主人様に買われて初めて迷宮に潜らない日だ。
と言っても、ご主人様達と武器屋や防具屋などを見て回っただけですが。
お昼から探索者ギルドに行き、無事に探索者ギルドの試験に受かり探索者になった。
この日の夜、ファティエに起こされた。
「何でしょうか」
「少し相談があるのだが」
「どのような内容でしょうか」
「どうして私達は一緒にジョブについたのでしょうか?」
「どういう事でしょう」
「同じ時期に探索者になったものがいると強さがわかります。
私たちが育ったら、売りに出されるおつもりではないのかという事です。」
「それは…」
私は絶句した。兎に角強くならなってご主人様に認められないと。
次の日の朝
「アナンタ、毎日アイテムボックスを見ろ。枠が3つになったら教えろ」
LV3になったら売られるのだろうか、私は身震いをした。
迷宮に入ると他のパーティーの戦闘を見ることがある。
他のパーティーの戦闘は求められない限り手出し無用との事だったので見学する事になる。
そういう時はご主人様たちも真剣な顔で見ている。
他のパーティーの戦闘を見て参考になさるおつもりだろう。
「他人の戦い方をよく見ておけ。」と言っておられた。
他のパーティーを見てもご主人様達は強い。という感想しか出てこない。
この階層では2人で入っているパーティーもいるのですが、シープ3体の組み合わせではかなり手間取っているのです。
2人の場合はどうしても1人が2体を受け持つことになるのですが、2体のシープが突撃してくると捌ききれないことが殆どなのです。
ご主人様は、3体でも捌いてしまいますし、バルタ様の一撃はかなり威力があります。
そのような時に
「ご主人様はお強いですね。」
と言うと
「俺なんてまだまだだ。上には上がいる。強くなって稼いで良い暮らしをしたいものだ」
とおっしゃられる。
ご友人のバルタ様も
「俺は弱いからよ。」
私では持ち上がりそうにないようなハンマーを振り回しながら言うのだ。
信じられないがご主人様達はもっと強い人を知っているのだろうか