とある奴隷の物語   作:mshr

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6話 知識

一季過ぎ、

 

「ご主人様、LV3になりました」

私はおびえながらご主人様にお伝えした。

 

「そうか階層を上げるぞ」

 

どうやら売るつもりはないらしい。

 

今日から5層で戦うことになるようだ。

 

「いいか、5層はスパイスパイダーだ。毒がある。念のために全員毒消しを持て。それ以前に攻撃を絶対に食らうなよ。」

 

毒、どういう状態なのだろう。

 

それは直ぐに理解した。

 

スパイダーの攻撃を食らったファティエがいきなり苦しみ始めたのだ。

 

ファティエはどうしたのだ?

 

「アナンタ、魔物を任した。」

 

ご主人様はファティエに向かうと口に含むとファティエとキスをした。

 

私ともあまりしたことはないのですが…あまり求めてきませんがひょっとしてそういうご趣味?

 

「男と口づけなんてしたくはないぞ。」

 

ご主人様が毒づきながら戻ってこられました。

 

戦闘が終了した後

 

「ファティエ、お前、攻撃を食らうなと言われていただろう。」

 

ドワーフの一撃である。ファティエが吹き飛ばされた。

 

「迷宮の中だぞ、外に出てからにしてくれ。スパイダーと当たる時はスキルは考えるな。

兎に角攻撃を食らわないことだけを気を付けろ。まだ借金は返し終わってないんだ。

無駄銭を使わせるな。

薬だけでシルク一つ分より高いんだぞ。」

 

「お前たちが死んだら、借金だけが残るんだ。気を付けろ。」

 

「アナンタも気が付いたら薬を飲ませろ。口づけがどうとか細かいことは言わん。」

 

私が動かなかった理由を勘違いされたらしい。

 

「申し訳ありません。ところで薬はどれくらいするのですか?」

 

ずっと疑問に思っていたことを口にした

 

「60ナールだ。お前たちに渡している食費が1日に30ナール。宿屋代が30ナールで合計60ナール。お前たちの一日の生活費と同じだ」

 

「そんなにするのですか。」

 

少し驚いた。ご主人様達が薬を使うたびに口うるさく言う訳だ。

 

その日、迷宮を出ると。

 

「今日はパンを買ったら直ぐに宿屋に来い」

 

そうおっしゃられた。

 

パンを買い、路地裏で食べた後宿屋に行くと。

 

「来たか、ついてこい。」

 

御主人さまについていくと酒場に連れていかれた。

 

「エールとそうだな、こいつにはジュースを。」

「こちらも同じだ。」

 

その日、初めて水以外を飲んだ。不思議な味だった。

 

次の日、

「アナンタ、ファティエ、昨日酒場で回りのやつが何を話していたか覚えてるか。」

 

「申し訳ありません、覚えていません。」

 

私は初めて飲んだジュースの味に感動するだけで何も聞いていなかった。

 

「昨日は…」

 

ファティエはすらすら答えた。

 

「アナンタ、酒場は情報を集めに行く場所だ。例外は居るがな。」

 

ご主人様はちらりとバルタ様を見ておっしゃった。

 

「次からは周りが何を話しているか気にかけておけ。特にバーナ語で話している奴らだ。俺たちではわからん。」

 

ご主人様はあきれ返るような顔でおっしゃった。

 

言われてみればわかる。

 

私達4人が集まれば大抵の言葉がわかる。わからないのはエルフのドリード語だけだ。

 

私達を酒場に連れていった理由を理解した。

 

それからは宿屋でも、たまに連れていかれる酒場でも人の話を聞き耳を立てるようにした。

 

他の奴隷の話、迷宮の他の魔物。アイテムがどのように使われているか、そして全滅したパーティーや死人が出たパーティー等々。

 

知識を持つことの重要性をご主人様に教えて頂いた。

 

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