相澤先生……!バスケがしたいです!   作:ヤマアラシ

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仁、首席の座取ったってよ。

 

 雄英高校のとある一室。

 そこでは、先日行われた実技試験についての講評が行われていた。

 

「実技総合成績でました!」

 

 その一声と共に、画面には成績上位者の成績が映し出されていた。

 

 そこには仮想ヴィラン撃破によりもらえる敵ポイントの他に、審査制で、どれだけ人を助けたかという()()()()()()について示されていた。

 

「レスキューポイント無しで二位とはね!」

「1Pや2Pの仮想ヴィランは標的を追跡してくる。後半他が鈍ってく中で派手な個性で迎撃し続けた。タフネスの賜物だよ。」

 

 審査員に目が行くのは、その救助ポイント無しで2位にまで上り詰めた爆豪勝己ト言う男。個性は爆破で粗暴な言動が目立つが、間違いなく才能の塊だ。

 

 そして、反対に救助ポイントのみで8位にまで上り詰めたのが、爆豪勝己と同中の緑谷出久。彼にも話題は移っていく。

 

「反対に敵ポイント無しで8位か。」

「妙なやつだと、途中0ポイントを撃破するまでは典型的な不合格者の動きだった。」

「しかも個性の反動で甚大な負傷……まるで個性発動したての幼児だ。」

「細けえ事はいんだよ!俺はあいつ気に入ったぜ!」

 

 そして続いての話題は、実技試験一位――そこに連ねる名は仁剣(ジンツルギ)――彼へと移っていく。

 

「しっかし、実技1位はずば抜けてるな。」

 

 ずば抜けてる……間違いない。敵ポイント45、救助ポイント45……計90P、それが仁の成績だった。

 

 例年なら間違いなく一位を記録していたであろう二位の爆豪勝己のポイントが77Pだったのを考えると、ずば抜けてると言っても差し支えないだろう。

 

「個性は柔剣、二本の変幻自在の触手を用いて戦うか。」

「最後にデカいランス作って突き刺す所なんかYEAH!って叫んじまったぜ!」

「後半……0Pが現れてからは只管に救助者を探していたな。文字通り隅から隅まで……そして、救助者がいなくなったのを確認してからの0P撃破。立ち回りにも文句無しだな。」

「イレイザー、貴方いい弟子見つけたんじゃないの!?」

 

「弟子じゃないです……教え子ではありますが。」

 

 そう言って相澤は仁の動きを再度見返す……確かに、その動きはイレイザーヘッドの物とそっくりだが、そっくり過ぎて粗がある。

 

 仁の個性、柔剣は相澤の捕縛布と形状は似ているが似て非なるもの……と言うよりも、相澤の捕縛布の上位互換だ。

 

 何せ、束ねることである程度の形を変えることも可能。捕縛布以上に本人の意志で動かす事も出来る他、物体を切断する能力まで秘めている。

 

 このぶっ壊してオーケーの場合であれば、柔剣を使って切断する方が合理的だ。しかし、画面の中の仁はイレイザーヘッドの様に捕縛布を巻きつけて投げている事の方が多い。

 

 イレイザーヘッドの真似するあまり、イレイザーヘッドと言う戦闘スタイルの形に自身をはめ込んでしまっているのだ。

 

 それでは良くない、結果的に師と戦闘スタイルが似るならともかく、戦闘スタイルを師の形に当てはめようとする事は成長の途を閉ざすきっかけにもなり得るのだ。

 

(……俺のやり方で叩き込み過ぎたか?だとしたら……)

 

 そんな事が一瞬脳裏をよぎるが、相澤はそんな思考を振り解く。今は講評の最中、ほかの生徒達にも目を向けなければ……。

 

 その様にして、講評はつつがなく進行していくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、当人である仁はと言えば……

 

 

 

「首席だァァァァァァ!!!」

 

「うるっさい、剣!静かにしないと飯抜きにするよ!?」

 

 合格通知が届き、首席であること知らされ、その事にについて大はしゃぎした上、母親にどやされていた。

 

 

 

 

 

 

「……これで、夢に一歩近づいた。」

 

 仁は手を握りしめながら、あこがれの舞台へと一歩踏み出せたことを夢のように思っていた。しかし、ここはまだスタートラインへと切符を手に入れただけ。

 

 何をなすかはここから決まるのだ。

 

 しかし、そうはいっても雄英高校……模試は少し危うかったが、なんとかクリア、実技試験は首席で合格。喜びはひとしおだ。

 

 しかし、こまった事にこの事を自慢できる友人がいないのだ……中学入ってからずっと、仁は暇さえあれば施設で個性の訓練と、相澤による鍛錬に費やしてきた。

 

 包み隠さずに言えば、仁はボッチなのだ。もともと一匹狼の毛があり、中学入学したての荒れていた頃も仲間と呼べる仲間は居なかった。

 

 唯一報告できる相手……相澤先生は雄英高校の教師生活で忙しく、Msジョークは別のヒーローの名門校傑物学園高校の方での教師生活が忙しく中々話す時間が取れない。

 

「……高校じゃ真面目に友達作るか。」

 

 仁はそんな事を決意する……しかし、仁が楽しみなのは雄英高校での生活の他に、相澤先生からの講評も気になる。

 

 仁は自分で言うのもなんだが、あの場ではかなり良い動きが出来た気がする。自分なりにイレイザーヘッドの動きを出来るだけ真似てみた。

 

 お陰で弱点の索敵能力の無さを補えたし、より迅速な動きでの試験が可能になった。

 

 これも相澤との扱きによって報われた結果だと直接あってお礼が言いたいのだ。

 

 

 

 

 

 しかし、結局雄英高校の入学式まで相澤と会うことは出来なかったという……Msジョークからは「今からでも傑物高校へ進路変更しようぜ!」と言われた。無理です。

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