「いっけねぇ、遅刻だ」
今日はシカ部の活動の日だ。
遅れると虎子のやつに怒られるからな。
「わりぃ、遅れた‥‥…‥‥って、あれ?」
誰もいないぞ?
「なんだ、あいつも遅刻か?」
まぁ、これで怒られることはなくなったぜ。
「そんじゃあ、来るまで雑誌でも読んで‥‥…‥‥えっ?」
振り返るとそこにはなんとシカせんべいを食っているシカがいた。
「アイエエエ!!シカ!?シカナンデ!?」
いきなりのことで驚きの声がでてしまった。
ど、どうして部室にシカが!?
「シ、シカだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あっ、虎子」
部長がおいでなすったぞ。
やはり俺と同じ反応をした。
「安次郎!!なんで部室にシカが!?」
「そんなこと俺が知るか!」
「はぁぁっ!?てか部のシカせんべい勝手に食うなよ!!」
もしゃもしゃと部のシカせんべい食ってるシカさん。
そもそも一体どこから来たんだよ?
「もしかしてのこたんが連れてきたんじゃねぇ?」
「鹿乃子が!?おい、鹿乃子どこだ!」
のこたんを探すが部室にはいない。
「いったいどこへ‥‥…‥‥んっ?」
『ヌン』
「……‥‥?」
『ヌヌン』
「‥‥‥‥??」
『ヌヌヌン』
「安次郎、もしかして‥‥‥」
「ああ、もしかして……‥‥」
俺と虎子はまったく同じことを考えていた。それは‥‥…‥‥
「「(もしや、このシカ…‥‥‥のこたん(鹿乃子)!?)」」
きっとこのシカはのこたんに違いない、そう結論づけた。
「おい、鹿乃子!何ふざけてんだ!お前が鹿乃子だってことはもうわかってるんだぞ!!早く元に戻れ!」
『………‥‥』
「‥‥…‥‥戻らないぞ?」
「あ、あれ?」
シカはとくに動きを見せずシカせんべいを食べ続けている。
「こいつ……‥‥いいからその着ぐるみ脱げって!この!!脱げぇぇぇぇぇ!!」
着ぐるみを着ていると思い脱がそうとする虎子。
なんかポーズが卑猥すぎるぞ?
『ヌヌヌン!!』
「ぐほっ!!」
シカが怒り後ろ脚蹴りで虎子を蹴り飛ばす。
「虎子ーーー!!のこたん!なにをするだぁぁぁぁぁ!!」
俺もシカの着ぐるみを着たのこたんに掴みかかる。
『ヌン!!』
「ぶべらぁぁぁぁぁ!!」
シカの体当たりをくらい俺も吹き飛ばされた。
『ぺっ』
倒れた俺に唾吐きやがったぞこのシカ。
きったねぇ…………‥‥
「いてて…‥‥‥」
ダメージが大したことなかったがこのシカなんてやつだよ。
ほんとにのこたんが入っているのか?本物のシカだったりして……‥‥
「あー喉乾いたなー校舎と部室の間往復しちゃったもんなー」
あっ、虎子のやついつの間に復活してた。
「いいもん買ってきたんだった」
カバンから飲み物が入った容器を二つ出したぞ?
「じゃーん!春限定!日野南高校購買名物桜もち味タピオカミルクティー!」
購買に売ってるタピオカミルクティーじゃんか。女子に人気の飲み物なんだよねー
「お前がシカのままだと飲めねぇな~かわいそうにな~せっかく私の奢りなのにな~」
タピオカでのこたんに着ぐるみを脱がせるつもりか!考えたなおい!
「お前が飲めないなら安次郎にやるしかねぇなぁ~?いいのか?お前の分までタピっちまうぞ?」
『‥‥……‥‥』
「無視!?」
シカはタピオカに目もくれず無視している。
「タピオカ程度じゃ動じなかったな」
「って、おい!なに勝手に飲んでんだよ!?」
「えっ?くれるじゃなかったの?」
「冗談に決まってるだろ!?それ高いんだから私一人で飲むつもりだったんだよ!」
「いいじゃんかよ。それよりタピオカってなんかあれに見えるな~カエルの」
「それ以上言うな!!」
「ぶべらっ!!」
まだ言ってる途中なのに殴られた!ひどい!!
「ったく…‥‥‥って、ああああああ!!万次郎!!」
「どうしたんだ?」
虎子が急に声を上げるから同じ方を見ると虎子が育てている観葉植物の葉っぱをシカが食っているのが見えた。
「私が丹精込めて育ててる万次郎をな~にハムハムしとんじゃい!今すぐ万次郎から離れろ馬鹿野郎!!」
虎子が観葉植物からシカを引き離そうとする。すると
『ゲゲゲゲ‥‥‥』
「なにその鳴き声!?初めて聞いたけど!?」
「どうやらその声は雄シカが威嚇したり攻撃的になるときに出る声みたいだ」
俺は部室に置いてあった『よくわかるシカの本』の中に書かれている内容を読み上げる。
「意地でもやめねぇってか……‥‥ならこっちも武力行使だ!」
虎子が攻撃を仕掛けるようだ。
「お前の弱点…‥‥ペットボトルでもくらえ!!」
水入りのペットボトルが弱点って……‥‥ネコなの?
「どかしてほしければ今すぐ元の姿に戻るこったなぁ?くくく…‥怖くて声も出ねぇってか?ああ?」
顔や発言が完全に悪役みたいだぞ?まぁ、元ヤンだから間違いではないが‥‥‥‥
『ヌン』
「あれぇーーーーーーーー!?」
シカはペットボトルを蹴り倒した。
あれ、弱点じゃなかった?
「おっ、おまッ…‥‥!!いつの間にペットボトルを克服してやがったんだ‥‥‥!?」
シカはペットボトルなんて余裕だぜみたいな顔してる。
これはもう食べものや弱点で攻めるの無理じゃねぇ?
「なら、こいつの興味をそそることでいくぞ‥‥‥‥!」
虎子はそう言ってカバンから一冊のノートを出した。
「こっ、こんなところに私の黒歴史ポエムノートがーーーーーーッ!!」
虎子の黒歴史ポエムノートだと!?
「こんな恥ずかしいもん今すぐ燃やさなきゃなーーーー!!でも私と鹿乃子の仲だしなーッ!燃やす前にお前が元の姿に戻ったら特別に見せてやってもいいんだけどなァ~~~~~~~~!!」
「いや、さすがにそれに興味持つとは……‥‥」
『‥‥‥…!!』
「持った!?」
持つんかい!!
「ほ、他にも昔作った自作オリジナルソングとか聴かせてあげちゃってもいいんだけどなぁーッ!!」
「何それ!?聴きたい!!」
虎子の自作のオリジナルソングだと!?私、気になります!!
「しゃーねぇなぁ!ちょっとだけだぞ!?ズズズンチャチャズズズンチャチャ」
なんか急に虎子リサイタルが始まったぞ!?急に歌うよ!
「それゆけ元ヤンこし〜た〜ん、悲しい風が聞こえる〜誰かが泣いているのかWoah, woah, woah, woah放課後の~校舎裏~飢えた虎のテリトリー、アンタッチャブルなサンクチュアリー」
「………‥‥」
『‥‥‥‥‥』
「迂闊に触れたら噛み殺されちまうぜ。だけどほっとけないのさ~悲しい歌は拭いにいくよその涙~やれやれ、私は目立ちたくないだけなんだけどなぁ~3分?ハァン、3秒で十分だ!ゴーファイトこしたん!元ヤンだけど甘く見るなよシャバ僧軍団~猛虎の拳が頬骨粉砕火を噴くぜ!」
<ボカッ!>
あっ、シカが殴られた。
「~気を付けて、虎の肉球はぬるくないぞ~フフンフーン、フフンフーン~泣きたい時は呼んでくれ、こしたん!こしたん!Woah, woah, woah, woah私は元ヤンこしたん!」
いつまで続くんだこの曲は?
「それでは2番いってみよう!ズンズズッチャッチャズンズズッチャッチャそれゆけ元ヤンこしたん~おっと、これ以上はさすがに聴かせられないな~?」
「ええっ…‥‥(困惑)」
2番以降気になるんだけど…‥‥‥
「ええ、残念だな~」
「だめだめ~お前が元の姿に戻らないと…‥‥‥うん?」
「うん?」
今、後ろからのこたんの声が‥‥…‥‥
「もっと聴いてみたいな~元ヤンこしたん歌ってみてよ!」
「「ギィヤァァァアアアアアアアア!!」」
振り返るとそこにはのこたんがいた!!地味に怖い!!ホラー映画で背後を振り返ると幽霊がいるあれと同じ感じだ!!
「し、鹿乃子っ!?鹿乃子が2人!?」
「なっ、なんで!?」
「ヌン?私が2人?何言ってんのこしたん、つぶあん?」
「だって!それそれ!」
そう言いながらシカの方に指指す俺たち。
「ヌン」
『ヌン』
「ヌヌヌヌン?」
『ヌヌ』
「会話している?」
何て言ってるのかわからんがシカと会話しているのこたん。
「なんか日野動物園から脱走してきたんだって」
「だ、脱走…‥‥?」
「シカせんべいの匂いにつられたのかな?」
「なんだそりゃーーーー!?」
じゃあこのシカはただのシカかよ!!俺たち今まで何してたの!?
「ねぇ、それよりこのポエムノートってなに?」
「あぐっ!?」
「わぁ~あっ、さっきのオリジナルソング!ねぇねぇ続き歌ってよ~?それいけ元ヤンこした~ん」
「うわあああああああああああああああああああああああああ!!」
あまりの恥ずかしさに床をコロコロ転がりまわる虎子。
穴があったら入りたいんだろうな~
「はぁ~今日はなんか変に疲れたな~」
部活を終え家に帰ることにした。
あの後シカは日野動物園に帰って行ったぞ。
「虎子のオリジナルソング初めて聴いたな~」
もう二度と歌ってくれないだろうな。
「さぁて、我が家に到着っと」
飯食って風呂入ったら好きな実況者の配信見ようっと
「ただいま~」
「おかえりなさ~い」
「げっ…‥‥」
ドアを開けるとリビングからエプロンをつけた餡子がでてきた。
「私とご飯食べる?私とお風呂入る?それとももう夜戦にいっちゃう?」
「帰ってくれない?」
どれもロクなことにならないだろうな……‥‥‥‥
次回のお話は?
「何!?アニメ『しかのこのこのここしたんたん』が最終回?だったら私たちも最終回だ!MVシカを決めよう!MVシカとは‥‥‥‥」
「「「「私(俺)のこと(だ)(よ)(です)!!」」」」
次回『フィナーレシカみあし』
「いや、この小説はまだ終わらないから!!」
(※嘘予告です)