ブルーロック×ベイビーステップ   作:lane

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適応能力の天才とエーちゃんを絡ませたかっただけ
イガグリは寺を継ぎました。




第1話 エーちゃんとオニごっこ

 

 

 拝啓、お父さん、お母さん、なっちゃん。今、お元気にされていますでしょうか。俺は今、絶体絶命のピンチに晒されています。なぜなら…

 

 「さぁ、オニごっこの時間だ。制限時間は136秒。ボールに当たった奴がオニになり、タイムアップの瞬間にオニだった一人が、ファックオフ野郎です。あと、ハンド禁止ね。覚悟して戦え」

 

 スピーカーから聞こえる声と同時に天井から一つのサッカーボールが俺の足元に落ちていく。ユニフォームの左腕に書かれた300の数字。モニターに表示される制限時間と現在の"オニ"それは紛れもなく俺の名前だった。

 

 周りを見渡せば11人の選手が俺の事を見ている。そういえば、サッカーのルールは一通り調べたけど、きっとこの136秒はアディショナルタイムってやつに似てるはず…それに部屋の広さはサッカーコートのペナルティエリア横40.32m奥行き16.5mに酷似しているか…?

 

 青井コーチは今の俺に必要なモノが分かるって言ってたけど、多分、試合はもう始まっていて、俺はこのオニごっこに負けたら本当に帰らされるんだろう……相手は全国の強豪FW299人……FWってことは、テニスで言えば全国に出てくるプロを目指す人間の中でも特に攻撃に特化した人達なんだ。なら、俺に足りないのは攻撃力ってこと?いやいや、今はそんなこと考えてる場合じゃない。この人達は生活がサッカーで毎日サッカーのために生きてる……俺も毎日がテニスで2ヶ月後の大会で勝つためにここに居る……飲まれるな……サッカーなんて中学の球技大会ぶりだし、まず俺は完全にど素人……!!普通にやったって勝てるわけないし何で俺が選ばれたのかすら分からないけど、それを知るためにも絶対2ヶ月生き残らなきゃならない。

 

 この感覚…人生がかかってるんだ……負ければプロにはなれない。そう考えて今の俺に出来る事をとにかくやるしかない……!!

 

 「お、お願いします!!」

 

 

 キックオフの笛が鳴り響く。皆は俺から逃げるのは当たり前。俺にドリブルやシュートなんて技術はない。普通に考えてシュートで当てる何て今の俺に出来るわけないんだ…!!でも、目だけなら俺はプロにも通用するぐらいに良いって言われてる……だったら……!!

 

 「ふんっ!!」

 

 一旦周りは置いといて、壁にボールを当て続ける。低い位置、高い位置、もっと高い位置、ボールのバウンドはどのくらい??帰ってくる球は以外にも、速い。ボールが硬いと反発力も高いんだ。だから、球威が下がらない……俺だって脚力は鍛えてきてる……初心者でも直線ぐらいは撃てる…!!コントロールはテニスのやり方と意外に変わらない。ラケットが足になっただけだ。とりあえず、まず正面の壁を9分割…ここでまず打ち分けられるようにしてみる!!

 

 「おい、あいつ練習し始めたよ!」「てか、下手くそすぎんだろ!本当にFWなのかよ」

 

 

 周りの声は一旦無視…今の俺に出来る事はテニスでやったことをサッカーでやっていくしかないんだ。一度だけで良い…!!一度だけあの作戦が決まれば俺は誰かにボールを当てられる…!

 

 「むにゃ…なになに、さっきから壁に打ってる音しか聞こえないけど…」

 「わかんねぇけど、なんかいきなり練習はじめだしてよ…なんだアイツ…」

 

 (いや、技術はないけど、狙いがかなり正確になってきてる…撃つ度にクオリティが段違いで上がり始めてる…!!)

 

 「潔くん!!彼はきっと…」

 「吉良くん…うん、顔を見れば分かる。絶対に出来るって思ってる人の顔だ…でも、なんで?これじゃまるで初心者みたいだ…」

 

 

 アディショナルタイムは136秒…今の俺の練習で1分…残り76秒で、確実に勝ちに行くには…まず!!オレンジ髪の人に撃ってみる!!

 

 「うおっ!?」

 オレンジ髪の人、國神君は反応も体格も良い…!!追いかけるには不利…次!!

 

 赤髪の人目がけて…1/9のコントロール!!

 

 「おせぇな」

 くっ…!!難なく躱された…千切君はとにかく足が速い…!!次だ次!!速球は安定しないし、1/9じゃそもそも皆の目に見えてるんだ…これがデフォルトレベルだとしたら、そもそも当てる事は出来ない!!だったら…

 

 我牙丸君はきっと目が良い…!…伊右衛門君は、目立ったスキが無い…成早君は俊敏で、雷市君もバランスの良い体格のスプリンターみたいだ。久遠君は身長が高いのに、よく動く! さっきまで寝てた蜂楽君はなんか、なっちゃんみたいだ…感覚的に分かる!小細工が通用する相手じゃない!!

 

今村君は躱し方で分かる!スピードとテクニックが凄い…!でも、それならそれ以上にあの白髪の吉良君は多分この中で1番上手い!!だったら…狙いはやっぱり俺の次の299位の潔君だ!!

 

 「はあっ!!」

 「くっ…」

 

 俺が放ったシュートは潔君に躱される。想定通り…!皆身体能力は一流だけど、潔君はなんていうか多分俺と同じくらいな気がする…反応が早くて躱されるのも想定内。瞬発力も俺と同じくらい…でも、自分が予想外の動きをすれば相手は混乱する。だからこそ、壁に当たって戻ってくるボールには、一瞬反応が遅れるんだ。球威も技術も足りないならコントロールと展開で反応させる隙は与えない!今は俺と彼の直線上にボールはある!!俺は目が良いんだ!ここで、1/9で今まで見せてないダイレクト!!!!

 

 ドッ…!!!!

 「しまった…!!」

 「潔君!!」

 

 あ、当たったぁ〜!!!いや、いやいや!気を抜くな。後は俺も同じように躱しに行けばいい。でも、追い込まれると相手は何をするか分からない。相手とコート…じゃなくてエリア!と他の人達が何処にいるか瞬時に把握!1秒1秒皆の動きが変わるから…その都度データ収集!!後は当たらないように、ポジショニングと反応をしていけば絶対に勝てる!!でも逆に、次俺がまたオニになれば、あんな奇襲は二度と通じない!最初の1分で俺が初心者なのは多分皆にバレてる!!なら、狙われるとしたら間違いなく俺!ここは絶対当たっちゃダメなんだ!集中!!

 

(クソっ…!やられた…!!初心者だと思ってたらいきなり奇襲!?いや、さっきのは確実にコントロールして当てにきてた…一か八か、違う!!リスクを最大限負いながら確実に当てて来たんだ!!この土壇場で!!なんつ〜メンタルしてやがるコイツ!!ヤバい…やられる…嫌だ…!負けたくない!終わりたくないっ!!でも狙うなら、やっぱり初心者のコイツしかいない!!)

 

「わひっ!どわぁっ!?だぁぁ〜!?」

 

 やっぱり、俺狙い!!テニスボールと比べてボールが大きいから今の俺には間合いが取りづらい…!!でも球速自体はテニスのサーブのがよっぽど上!!躱せない球じゃない!!けどジリジリ追い込まれてる!!

 

 (クソっ…当たんねぇ…!なんでだよ!反応は他の誰よりもはぇぇ…初心者のくせに、意味わかんねぇ!!…初心者!?)

 

 

 

「いや、違うな…」

 

 動き止まった!?え?なんで…?続けてれば俺に当てれたよな…?

 

 (あの日、パスして負けて、今度は初心者相手にオニごっこして、そんなんで世界1になれるかよ!コイツは最初から変わり続けてる!!球さえ上手く蹴られなかった奴が練習始めて、周りの奴らに試した結果1番勝算の高い俺相手にダイレクトでコントロールまでして俺から勝ちをもぎ取ったんだ…よくわかんねぇけど半端じゃねぇ!!俺も変わらないと、自分より強い奴に勝たなきゃ…何も変われない!!)

 

 

 え!?潔君が俺狙いを辞めた!?この極限の時間で!?そんなことして…いや…違う!?あれは俺と同じ…ピンチに陥った時に新しいことを試すのと似てる!!

 

 「いいね、キミたち。だよね♪潰すなら…」

 

 「1番強い奴っしょ♪」

 

 ゾクッ…なんだあの人…自分からオニになって…いや、考えてみればこのオニごっこはFWの力を最大限見られる環境…しかも1番大切なゴール前!俺たちはオニになって逃げる選択肢を取ったけど、例えば本当に自分の力に自信があるならシュートを決めれば勝てる試合なんだ!!そんなことにも気付かなかったなんて…いや、サッカーはそういうスポーツなんだ。テニスと同じ!!逃げても何も変わらない!!とは言っても俺にそんなシュートはない。今までテニスでやってたことを何とかサッカーに変えていけばきっと2ヶ月後俺は全日本でも勝てるようになるのか?考えても分からないけど俺に足りないモノがここにはあるんだ!なら全部吸収。1秒たりとも見逃しはしない!!

 

 

 

 蜂楽君のパス!?自分で決めに行かない!?どうして!?

 

 「1番強い奴…」

 

 (さっきのアイツと同じように…)

 さっきの俺のダイレクト!!

 

「BON!!」

 

 

 タイムアップ! LOSE 吉良 涼介

 

 

 「ファック・オフ 吉良涼介」

 

 無情にも136秒にも及ぶ戦いに敗者は決まった。




次回、エーちゃん キーパーやるってよ。(勢いだけで書いたから続くかも不明)
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