「……ん?」
スパーダの端末に連絡が来る。
「はい、特務支援課。スパーダ・リン」
『あっ、リィン!繋がったわね!』
ぶつりと一瞬にして通話が切られる。
「えっと、今のは」
もう一度電話が入り、それを取る。
『ちょっと!なにするのよ!いきなり電話きるだなんて!
前の時は話ぐらいは』
「……エステル・ブライト、お前良くこの俺に電話など」
『仕方ないじゃない……迷子になっちゃって、
その、ヨシュアには恥ずかしくて………』
「お前遊撃士だろ、迷子ってどういうことだ」
『えっと……地図落として。そのナインヴァリっていう』
「はぁ?遊撃士協会から目と鼻の先だろ。
まったく……ヨシュアにも話す」
『ちょっと待っ』
エニグマを懐にしまい、ロイド達に顔を向ける。
「悪い、個人的な用件だ」
「まぁ……頑張れよ」
「……くそ、ケルベロス」
魔法陣と共に大型犬クラスのケルベロスが姿を見せる。
「主よ、何用だ」
「グランセルで戦った遊撃士だ、探すのを手伝え」
「わかった、御主等よ。稀にあの駄犬に会いに来い。
奴め、軍用という割に惰眠をむさぼり、まともに働かん」
「……嘘だろ、あん時の軍用魔獣の事か?」
「駄犬だ、駄犬」
ケルベロスは忌々しそうに話しながら、
スパーダと共にクロスベルの街へと繰り出した。
「……スパーダさんと一緒に居て魔法やファンタジーだと
思う事や、不可解だと感じる事があれば……
その、こう言っては何ですが。スパーダさん目安のせいで、
これぐらい普通?と思いそうになります」
ティオの言葉にロイド、エリィ、ランディだけでなく、
ツァイトも「ワフゥ」と力なく頷いた。
クロスベル市街地に出れば警察からは遠目に警戒され、
市民からは笑顔で迎えられる。
そう、スパーダは今や〘クロスベルの顔〙とも言える程に、
良くも悪くも名が売れている。
「……よぉ、スパーダ。お前にやられた」
半グレだろうか、スパーダに喧嘩を売るという事を
理解しているのかそれともただのバカか。
話し終える前にスパーダのルーチェとオンブラによる射撃で、
半グレは一瞬にして服だけを撃ち抜かれ、
丸裸にされる。
「……丁度いい、ケルベロス」
「まったく」
ケルベロスによって氷像となった半グレ。
それを見たスパーダは、ため息混じりに警察に電話をかける。
『はい、クロスベル市警です』
「フランか……✕✕の路地裏に汚い氷像がある。
回収してくれ」
『もう…またですか〜。
スパーダさん、犯罪者を捕まえるのは良いですけど
氷漬けはよしてください!溶かすの大変なんですよ!』
「手っ取り早い、じゃあよろしく」
スパーダも仲の良い警官は居るのだ。
警察組織の汚職警察とはほぼ戦争状態な上、
完全勝利して見せしめにした為嫌われているが、
警官からの人気はあるのだ。
「……ふぁぁぁぁ……」
大欠伸をしながら遊撃士協会クロスベル支部に入る。
「いらっしゃい、何か御用でって…スパーダ。
どうしたの?手配魔獣でも倒した?それとも、悪魔」
「ヨシュアだ、居るだろ」
「えぇ、今上に」
スパーダはゆっくりと遊撃士協会を歩く。
そもそも、スパーダはあまり遊撃士協会にこない。
場合によっては遊撃士との戦闘もあり得るからだ。
かつてアリオス・マクレインと戦い勝利してから、
余計に遊撃士からの風当たりは強い。
「あっ…スパーダ」
「お前達に用はない、ヨシュアは何処だ」
「ここだよ」
「……お前の恋人が迷子らしい。御目付役ならちゃんと」
「……その、スパーダ。ごめんなさい」
ケルベロスが唸り、遊撃士達を威嚇する。
そして、言葉と共にでてきたエステルにスパーダは
鋭い視線を向ける。
「お前の正体を聞いた、スパーダ。
いや、〘魔王サンドロット〙。リベールでの虐殺及び、
クロスベルでの」
「………その、流れで話しちゃって」
「俺が鏖殺する事を考えなかったのか」
「リィンならしないでしょ?」
「まったく……それで?本気で捕まえるなら、
俺も殺すぞ」
濃密な殺意がクロスベル支部を覆う。
一歩でも動けば命はない、そう明確に示しているのだ。
「……!?」
「大丈夫、リィンを呼んだのは話がしたいから。
ねぇ、リィン。このクロスベルで結社は何か」
「……知らん、本気で知らん。
俺がクロスベルでした事と言えば恋人を作り、
店を出し、悪魔を殺して回ってる。組織からの指令もない。
自由に生活中だ。恋人もいる、結婚を前提だ、羨ましいか?」
「あ……あんですってぇぇぇぇ?!!!!
けっ………けっこん?!」
「僕もちょっと驚いてるかな」
エステルとヨシュアは目を見開いている。
「……ついでにレンとも会った。
久しぶりに一緒に過ごしても良いな、だが……
俺は過保護なのか、何故かレンに」
「過保護だと思うよ、レンに何かあれば…リィン。
君、何しでかすか判らないからね」
ヨシュアの苦笑いをうけ、改めて遊撃士達を見る。
懐疑的な目は変わらないが、武器を構えようとはしていない。
「じゃあ、クロスベルで魔王として動いては」
「もっぱら悪魔狩りだ。何度かお前達が邪魔をしてくるが、
そもそも悪魔を狩るんだから問題無いだろ」
「いきなり市民の頭を撃ったくせに言えることかよ!」
「悪魔だったからだ。
さて嘘だった訳だが。まぁ、気にするな。
貸し一つだ」
「まて!お前に貸しなんて」
「ならそうだな、此処に居る受付以外の命でどうだ。
それとも、アリオス・マクレインも殺すか?
剣聖如きが、この魔王に勝てるとでも?」
「やってみなければ判らんのではないか?」
「やってみるか?風の剣聖。
安心しろ、貴様が死んだらお前の娘は
支援し、一流の医療も受けれる様にしてやる」
「…魔王、貴様」
閻魔刀が抜かれアリオスの刀と鍔迫り合い、
リベリオンはスパーダの背中で回転し、
盾のように守っている。
「ぐっ………」
「俺が負けると本気で思っているのか?
俺は今の今まで本気を人間相手に出したことは無い。
お前達が脆いからだ」
閻魔刀に力が籠もる。
少しずつアリオスが力負けし、閻魔刀の刃が近づいていく。
それだけじゃない、スパーダの腕が変化しているのだ。
人間ではない異形、悪魔へと。
「リィン、止めて!」
「黙れエステル・ブライト。元は貴様の」
そうして回転していたリベリオンが止まる。
その剣先はエステルへと向けられている。
感覚で思い出す、塔の時と同じだと。
リィンは今、周りの人間である
特務支援課やデビル・メイ・クライの仲間、
仲の良い店主。そして、
子供達以外が死んでも良いと感じていると。
『もう、エステルったらレンが居ないと駄目ね』
「なっ…」「……レン」
それはホログラフにて現れたレン。
少し怒っている顔でリィンを見つめている。
『もう、リィンったら駄目じゃない。
いくら怒ってるって言ってもここで殺したら大変よ』
「そうだったな、仲間達に迷惑がかかるところだった」
リィンではなくスパーダとして閻魔刀、
リベリオンを鞘に納める。
「コレで貸しはゼロだ」
だが、アリオスの腹に悪魔の腕で一撃を入れる。
吹き飛ぶ威力は無いが、それでもアリオスの顔に苦悶の表情が
浮かんでくる。
『知らない方ははじめまして。執行者No.XV〘魔王〙
の付き人。殲滅天使レンよ。リィンの御目付役なの』
「こんな小さな子供まで」
『ふふっ、懐かしい感想どうもありがとう。
リィンね、騙されるとか、裏切られるとか、そう言うのが、
大嫌いなの。どれぐらい嫌いかと言えば……
裏切った人達を判別不可能にしちゃうぐらいには』
「言い過ぎだ、せいぜい指先が残る程度だ」
『指先しか残さないの間違いでしょ』
語られる物に恐怖を抱かない遊撃士は居ない。
もともと、スパーダ自体敵対したら組織を壊滅に
追い込みかけるほどのアンタッチャブルな存在。
それが本気になると、死体も判別出来なるくなる上、
それを淡々と語るのだ。恐怖しないわけがない。
『エステル、ヨシュア、次騙すのは無しよ。
いくらレンが止めても、リィン怒っちゃう』
「レン、止めなさい。俺の評判が下がる。
ちゃんとオンとオフを分けてるさ。
スパーダはそんな事をしない」
「それってリィン・サンドロットはするって事だよね」
「ヨシュア、最初に死にたいか?」
「……ごめん」
「別に俺はオンじゃなければ遊撃士と
敵対するつもりはない。デビル・メイ・クライの仕事で
ブッキングしても、死なない程度に痛め付けて
終わらせてる。判るな、お前達が変な気を起こさなければ、
俺はスパーダ・リンとして生活してやる。
だが、俺の生活を壊してみろ。お前達の命はない」
『わかったわね、〘魔王〙には気を付けてね』
会話が終わりとばかりにレンのホログラフが消え、
スパーダも歩き出す。
「そうだ、ねぇリィン」
「俺はスパーダだ」
「スパーダ、その……騙してごめんなさい」
「いや、良い。金輪際、遊撃士からの協力要請を
デビル・メイ・クライによこさない。
デビル・メイ・クライの仕事の邪魔をしない。
それを受け容れるなら、水に流してやるさ」
スパーダは今度こそクロスベル支部から立ち去った。
まさか騙すような知識があると思って居なかった為、
苦笑しながらも路地を歩く。
「眠いな」
それは昔から自分が面倒だと感じた瞬間に起こる
本能とも言えるものである。
「そう安安と、信じるものじゃないな」
たとえ昔馴染みでも。
そう思いながら、特務支援課のビルへと帰ろうとすると、
ENIGMAに連絡が入る。
「こちら、リィン・サンドロット。誰だ?」
「え?リィン??スパーダじゃ」
「ロイドか…すまん、気にしないでくれ。
ちょっと、色々とあってな。それで、どうしたんだ?」
スパーダは先程の関係でうっかりと本名を名乗ってしまう。
直ぐ様意識を入れ替え、スパーダ・リンとして、
特務支援課の仲間として電話に応える。
「あぁ、いま俺達に名指しで支援要請が来ていて……
フランから何時頃ビルに戻るかって」
「わかった、俺もすぐに戻る」
そうしてスパーダはすぐに戻る。
「ちょうどだったか」
「そうですね、入りましょうか」
仲間達に声をかけ、共に特務支援課のビルを戸を開く。
「おっと、」
「もう来てたみたいね」
「すっ…すみません。
…勝手に上がり込んでしまって…そのぉ……」
中にいたのは紫の髪色をした女性だった。
(どっかで見たような………)
「あぁ、良いですよ。話は聞いていますから。
相談者の方…ですよね?ようこそ、特務支援課へ!」
ロイドが代表して話すが、そこから皆が一斉に驚く。
「リーシャ・マオと言います!
本日はご相談にのっていただき、ありがとうございました!」
(うわ……)
(此奴はまた………)
(俺は……俺は嫁ひと…す…す…凄っ……)
(とらんじすたぐらまーです!)
あまりの胸部装甲にロイド、ランディ、スパーダ、ティオは
呆けてしまう。
(…もう、あんまり見つめないの。
スパーダさんはグレイスさんに言いつけますよ)
(やめてください)
普段のきちんとした態度からは考えられないほどに
冷や汗をかいているスパーダ。
(___ちょっと、ロイド?)
(は?!)
男の性から意識を取り戻したロイドは目をつむり、
急いで話す。
「とりあえず、そちらにお掛け下さい。
先ずは一通り話を伺います」
「脅迫状?!」
「__はい、1週間前の事です。
イリヤさんの元に差出人不明の手紙が届いて……
あっ、イリヤさんと言うのは」
リーシャが話をしようとする前にランディが口を開いた。
「〘炎の舞姫〙の異名を持つ劇団アルカンシェルの大スター。
国際的な知名度を誇る看板女優にしてアーティスト。
いやぁ、イリヤ・プラティエ絡みの仕事が
舞い込んでくるとはねぇ~!!スパーダ!俺がじっくり、
教え込んでやるからなぁ!!」
「おま…揺らすな……揺・ら・す・な!」
同じやりとりを同じ日に見ることになり、
目が回ったスパーダが椅子から落ち、ツァイトに保護される。
「ぁ゙ぁ゙ぁ゙……目が回る………」
「うぉふ…」
「ランディさん……少し落ち着いて下さい。
ツァイトはスパーダさんをお願いしますね」
「わふ」
「あはは……お見苦しいところを。
あの、有名人なので流石に名前は知っていますが……
しかし、その彼女宛に脅迫状が?」
「はい…本人はただの
〘イタズラだ〙と言っていますけど……
ちょっと不気味な文面で、イタズラに思えなくて。
それで劇団長とも話し合って、警察に相談しようって。」
「…脅迫状の現物はどちらに?」
エリィが鋭い目つきで問う。
前回の事件のこともある、何か警戒しているのだろう。
「その、イリヤさん自身が持っています。
何とか、捨てようとした所は止めたんですけど……」
「そうなると、先ずは脅迫状を見せて貰う
必要がありますね……」
ロイドが捜査官の視点から話す。
普段ならスパーダが何か言うと思っていたのか、
ロイドは依頼人だけでなくスパーダを見る。
ランディに激しく揺らされた挙句、目が回り、
今完全にダウンしている。
「……はぁ。そう言えば、リーシャさんと言いましたが、
アルカンシェルの関係者なんですよね?」
「はい、一応。アーティストの一人です。」
「って、あぁ!!!」
ランディの大きな驚きの声に皆が驚き、ロイドが怒る。
「なんだよ、さっきから!」
「君の顔、新作の特集ページで見かけたことがあるぜ!
イリヤ演じる『太陽の姫』と対になる『月の姫』を演じる
準主役……イリヤ・プラティエが大抜擢した彗星の如く
現れた超大型新人って!」
「そんな!大型新人だなんて!
まだまだ稽古不足で……足を引っ張ってばかりで。
本当は、デビューなんて早いと思っているのですけど」
「……稽古不足?アンタがか?」
「スパーダ?」
謙遜とも思える言葉に異を唱えたのはスパーダだ。
何処か目つきがおかしいが、皆が続く言葉へ耳を傾ける。
「いい肉付きだ。見るものを魅了する。
身体のラインだけでなく、その足も程よく…
ブロマイドが有れば俺もみたい絶対領ぃっ?」
「スパーダさん!!!」
「ぐぉ…………」
ティオの導力杖で頭を強く叩かれたスパーダの頭に星が回る。
そう見えるほどに激しい音がした後、スパーダが
覚醒し立ち上がる。
「俺は何を喋った?頼む、俺は何をした」
「……覚えてないなら後で教えますので
とりあえず座ってください。」
「……俺は何をしたんだ」
リーシャは頬を赤らめ、ティオとエリィから鋭い視線。
ランディはニヤニヤした顔をし、ロイドは苦笑いだ。
「……でっ、でも凄いですよ。
あの、アルカンシェルに採用されて、
デビューするんですから」
「しかし話を聞いているとイリヤさん本人は、
この件について乗り気ではないみたいですね?」
「はい、兎に角今は舞台の完成度を高めたいから、
部外者は入れたくないって……
特にその……警察なんか、言語道断だって…」
その言葉に特務支援課の全員が冷や汗を流した。
特務支援課も一応は警察だ。まぁ、イレギュラーが
一名と一匹参加しているが……
「えと……」
「それでは私達も出る幕がないのでは?」
言葉に詰まったロイドのかわりにティオが質問する。
「でっ、でも皆さんは〘特務支援課〙なんですよね?
雑誌で読んだ限り、普通の警察の方よりも
親しみやすそうで……
それに、警察嫌いで有名な
〘デビル・メイ・クライのスパーダさん〙も
参加なされていて、正直なところ
普通の警察の部署とは思えなくて……」
「まぁ、クロスベル一警察嫌いで有名な奴が、
警察の部署にいる、そりゃあ普通の部署じゃないわな」
「俺以外にも、まともな捜査官がロイド一人。
ランディは元警備隊、ティオはエプスタイン財団、
エリィはマクダエル爺さんの孫だ。
そんなお嬢様も参加してる上に、クロスベルの神狼も、
コレでまともってのはおかしな話だろ」
それもそうだと笑ってしまう。
スパーダだけでなく、ツァイトも居るのだ。
今更過ぎる。
「その……それなら、
イリヤさんも納得してくれるんじゃ無いかと……。」
「うっ…ウ~ン」
ロイドとしては嬉しい反面、
なんとも言えない気分なのだろう。
少し困った顔で唸っている。
「こう言ってはなんですけど……
遊撃士協会の方にご相談は?
イリヤさんは民間人ですし……
彼等の保護対象だと思いますが……」
それはそうだ、クロスベルでは警察よりも遊撃士。
そしてとある何でも屋みたいな存在が人気だ。
「それが……
遊撃士協会はクロスベルで人気があるみたいですから。
そんな人達が公演前に出入りすると変な噂に」
「言っちゃ悪いが、俺の方が噂にならないか?」
「それは…そうなんですけど……
その、スパーダさんはクロスベルのアンタッチャブルで、
むしろ、その……抑止力にもなると言いますか……
このクロスベルでスパーダさんと
敵対したい人なんて居ないと、風の噂でも。
いきなり殴られたとか、目を合わせたら睨み返されたとか、
子供を殴る事も厭わないとか、殺人鬼だとか」
「………泣いていいか?」
「スパーダさん、確かに怖い時ありますから」
「……そうか」
子供好きなスパーダもティオにとどめを刺されると完全に
暗くなる。酷い噂ばかりで基本的に信用している人は
居ないらしいが、それを利用すると言うのだ。
「……子供を殴るのは悪い事をしたからだ。
目を合わせたら睨む?知るか、くそ……」
「えと……すみません、失礼な事を」
「あはは……兎に角、大体の事情はわかりました。
……この件、引き受けようと思うんだけど、
皆はどう思う?」
「私は勿論賛成よ」
「私も依存無しです」
「いや、むしろ断るなんてありえないだろ!
なぁ、スパーダ!!」
「あぁ…まぁ、良いんじゃないか」「……ウォフ」
「というわけで、リーシャさん。
脅迫状の件、特務支援課が引き受けさせていただきます」
「あっ…ありがとうございます!
それでは私…一足先に劇団に戻ります。
劇団長とイリヤさんには私の方から連絡しておきますので、
いつ来て頂いても大丈夫です!」
「えぇ、わかりました」
「まったねー!リーシャちゃーん!!」
「失礼します」
リーシャはそのままスタスタと帰っていく。
スパーダも立ち直り、椅子に座り直す。
「さてと…取り敢えず劇団に行ってみよう。
脅迫状を見せてもらわない事には始まらないし」
「そうですね……。
ただのイタズラの可能性もありそうですし」
「いやぁ…しかし約得だなぁ!
公演直前のアルカンシェルに入れる機会があるなんてよう!
しかも、生イリヤだぜ!生イリヤ!!」
「確かに、あのイリヤ・プラティエから直接話を
聞くかもしれないのよね。
ちょっと緊張してきちゃった」
「そんなにか?!
ウ~ン、雑誌とかで見る限り確かに美人だとは思うけど…」
「……ちょっと楽しみです」
「……嫌な予感がする」
それがどんな感情かは判らない。
悪魔か、それ以外か、はたまた、トラブルの前兆か。
特務支援課の面々は各々の準備を済ませ、
劇場へと赴いた。