リィン・サンドロットの軌跡   作:影後

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リィン・サンドロットの軌跡6

Devil May Cryは色々とした意味で繁盛している。

一度に手に入る報酬は博大であり、普段から最低限のものはリィンが自腹で用意するか、グレイスが調達する。

バイトに対しても日給3万ミラ+危険手当。場合によっては+依頼報酬+夜間手当が振り込まれるある意味ホワイトな店だ。

 

「あの!3万ミラから増えないって」

 

「ん?あぁ、いや仕事内容に比べて3万ミラは安すぎると思ってな。弾薬費、手入れ費用は俺が差っ引いてるがそれでも、魔獣よりも悪魔は強い。それに奴等の落とすセピスの類が実に美味いからな。倒せば倒すほど稼げる」

 

「うぅ…でもお母さん達には」

 

「仕送りしてる小娘がよく言う、所で剣は合わないみたいだな」

 

東クロスベル街道にてスパーダとユウナは模擬戦をしていた。

ユウナに剣を教えるのもあるが、ユウナの得意武器を探すという目的の方が強い。

 

「ロングソードですか、ちょっと使い勝手が……」

 

「ロングソードでそれなら大剣は持っての他だな。アシュリー、他に何かあるか?」

 

「なら、棒はどうだい?」

 

「拳銃を使う事を考えたらその、できれば片手で扱える物にしたいです」

 

「そもそも、剣が向いてないと思うけどね」

 

アシュリーは煙草を蒸しながらユウナに武器を見繕う。

 

「俺の様にはなれないぞ?俺はありとあらゆる武器を扱える」

 

「わかってます、でも」

 

「そうだな、グレイスは大型拳銃にグレネードランチャー。銃火器のエキスパートだ。…最初は特にそんな事は無かったのにな」

 

「お前を追っかけてたからだろ」

 

アシュリーにそう言われると何も言い返せない。

だが、今はグレイスではなくユウナだ。

 

「そうだな、警察部隊が使う武器種だとスタンハルバード。ライフル。拳銃ぐらいか」

 

「そうだね、でも……」

 

ユウナは下を向いて悔しそうな顔をする。

 

「あのなぁ、ユウナ。んな顔しても」

 

「もっと役に立ちたいんです!初仕事のときもグレイスさんは何十匹も悪魔を倒して…私は両手に数える程度」

 

「アンタ、あの仕事簡単だったとか言わなかったかい?」

 

「おい、ユウナ。口を閉じ」

 

「スパーダさんはもう、分からなかった。ケルベロスや剣や刀、二丁拳銃でソレこそ沢山の悪魔を」

 

「血だらけだったのそれでか」

 

アシュリーの機嫌が悪くなるのにつれ、スパーダの顔も歪んでくる。

 

「そうだ、あの私トンファーなら使えると思うんです!」

 

「トンファー…でもな、打撃なら一撃で悪魔を潰せないと」

 

「なら、ブレードトンファーはどうだ?アレは使いこなせれば斬撃と打撃の両方が使える」

 

アシュリーの言葉に頷きつつも、スパーダは不安な声を隠せない。ユウナは自分とは違う、自分ならどんな武器を扱えるという自負があるが、ユウナは。

 

「難しくてもいいです!お願いします、アシュリーさん!」

 

「ほら、アンタのバイトがそう言ってるよ」

 

「拳銃は変わらずの腕だ、問題はない。……アシュリー、金は俺につけろ。予算は1億だ」

 

「へぇ、大盤振る舞いだね」

 

「1億って!そんな、私は」

 

「わかったよ、魔具にする。ユウナ、良いバイト先を選んだよ」

 

「…あの、スパーダさん!」

 

「約束しろ、警察になるとな。1億の対価はお前が夢を叶えろ。警察に悪魔を理解する奴が居るほうが動きやすいしな」

 

スパーダはユウナの頭を撫で訓練を続ける。結局その日は日暮れまで続き、解散となった。

Devil May Cryに戻るスパーダ、日頃の悪魔とのデュエットで疲れた身体ぐらいは癒したい。

 

「んっ…あぁ………ん」

 

ベッドにダイブすれば瞼が重くなる。

 

(リィン!ねぇ、リィン!)

 

(まったく、執行者としての気概がたりませんわ!)

 

(そう言うな、リィンも疲れているのだ)

 

(そうねぇ…偶には寝ていましょう)

 

(えぇ、お休みなさい。我が子)

 

懐かしい名前を呼ぶ紫髪の少女や鎧を着た女性達が見える。

手を伸ばしても届かない、でも自分にとって大切な家族。

 

「ん…んん……良く寝た」

 

時間は経ち、ユウナも一人前とは行かなくとも半人前のデビルハンターにまでは成長出来たこの頃。

 

「ふぅ…お仕事完了!」

 

「流石ねユウナちゃん!…それにしても、家の彼は何処に行ってるのかしら」

 

「スパーダさん、この頃一人での仕事が多いですよね」

 

「そうね、ストレスかしら。なんか怒ってるし」

 

「ちっ…あの狸議員、俺の事を………」

 

そこに赤羅様に機嫌の悪いスパーダが入ってきた。

冷蔵庫を開け、ラズベリーサンデーを取り出すと淡々と食べ始める。

 

「こりゃあ相当堪えてるわね」

 

「そうですね、あれ夕飯の分ですよ?また、買いに行くんですかね?」

 

「聞いてるぞ」

 

「なら、話しなさいよ。まったく」

 

スパーダはラズベリーサンデーを食べる手を動かしながら話し続ける。

 

「レンリー・マクダエルの奴に騙されました。かなり長期の依頼だ」

 

「へぇ…なにするの?」

 

「コレをよめ」

 

スパーダは懐から一枚の書状をグレイス達に見せた。

 

魔剣士スパーダ

貴殿を、クロスベル警察特務支援課へ配属させる事を此処に記す

 

ヘンリー・マグダエル

 

「うわ、しかも貴方のサイン付き」

 

「彼奴、あろう事か悪魔を表舞台に出すとか言いやがった。ざけんなよ、パニックになるだけだ」

 

「あぁ、だから体良く動かせる貴方を」

 

「報酬は1億ミラ。前金で6000万……等分店は開けられん」

 

「そんな!」

 

「だが、それは俺以外にデビルハンターがいない場合だ。幸いな事に、腕利きが二人いる」

 

「はいはーい!私記者なんだけど」

 

「今更何言う、ユウナ。お前にも渡しとく」

 

スパーダはそう言うとおどろおどろしい鍵をユウナに投げ渡す。

 

「そいつは魔具でな、お前から絶対離れない。此処の鍵だ」

 

「良いんですか?!」

 

「その特務支援課とか言う奴の物によるがな。さて、ユウナ。お前給料アップだ」

 

スパーダは微笑むがユウナは驚愕する。

 

「いえ!そんな!」

 

「日給5万ミラ、+追加手当。鍵持つんだ、働けよ?」

 

「はい!あの、ありがとうございます!!」

 

そして、七曜暦1204年1月。運命の日が訪れた。

 

「もう、そんな服装だと言われますよ?」

 

「服装は自由らしい、なら俺のコレで良いだろう」

 

「えと、一応警察組織ですよ?」

 

腰には閻魔刀、背中にはリベリオン、ホルスターにはルーチェ、オンブラ。そして、蒼いコートを着用しオールバックに整えられた髪。

 

「うーん、見るからにヤバい人」

 

「今更だ、警官は何も言わん」

 

「絶対勘違いされてるんでしょ」

 

「とにかく、俺は戻れるか判らん。店は頼むぞ」

 

「はい!スパーダさん!!」

 

スパーダがクロスベル警察に入ると一斉に道が開いた。

 

「おっ…お前はDevil May Cryのスパー」

 

「黙ってろ、汚職警官ども」

 

ルーチェの銃口を鼻先に押し付ける。

クロスベル警察にとって遊撃士よりもたちの悪い相手、ソレがスパーダだ。市民からの信頼が何故か厚く、犯罪はしていないため逮捕できない。

また、グレイス・リンの恋人である為か警察の汚点を流したりもする為、実に見たくない相手なのだ。

 

「あっ、スパーダさん!」

 

「フラン・シーカーだったな。ヘンリー・マクダエルからの依頼だ。セルゲイの爺は何処だ」

 

「セルゲイ警部なら」

 

「爺はねぇだろ、スパーダ」

 

「うるせぇ、人を遊撃士とは違った何でも屋だと吹聴しやがって。そのせいで、仕事が増えてく一方だ」

 

「稼いでんだから良いだろ、ソレより此方だ」

 

スパーダがセルゲイに案内された部屋に行くと見たくない顔が居た。

 

「おい、なぜ『マクダエル家の令嬢』までいる」

 

「え?」

 

「それに。チビと……警備隊?管轄外だろ」

 

「チビじゃないです」「色々あんだよ」

 

スパーダはリベリオンと閻魔刀を外す。

椅子に腰掛け二刀を膝の上に乗せると目を閉じた。。

正直、関わり合いになりたくない存在だ。面倒でしかない。

 

「あら?」

 

「おっと、おいでなすったな」

 

「おいおい、スパーダの奴は寝てるのか?」

 

「寝ていない、色々と面子を見たら頭が痛くなっただけだ」

 

スパーダの軽口を流し、セルゲイは最後のメンバーを前に出す。

 

「待たせたな、コイツが最後のメンバーだ」

 

目を開き、その顔をみる。

栗色の髪をし、青と白のジャケットを着た青年。

闇の世界を知らないようなメンバーだ。

 

「おい、自己紹介」

 

(あれ?先輩にしてはあの人以外、顔ぶれが)

 

「どうした、名前と出身だけでいい」

 

「__ロイド・バニングス。ここ、クロスベル市の出身です。

しばらくの間、外国で暮らしていたんですど……この度、警察に入るにあたり戻って来る事になりました。よろしくお願いします!」

 

勢いのある気分の良い青年だ。スパーダは何処か好感が持てた。

少なくとも、此方を騙すような狸にはならないだろうし、させない。

 

「おーおー、真面目だねぇ」

 

赤髪の警備隊員がそう呟く。流れで自己紹介をするようで気楽な人間だと雰囲気から掴みに行くようだ。

 

「俺はランディ、ランディ・オルランドだ」

 

その言葉にスパーダは鋭い視線を向けた。

その名前いや、似た名前だが結社に居た時に聞いたことがった為だ。『ランドルフ・オルランド』異名として『闘神の息子』を持つ一流の猟兵だ。

 

「趣味はナンパ、ギャンブル、グラビア雑誌の鑑賞って所だ。後で、お前さんには、俺の秘蔵コレクションから取っておきを貸してやるよ」

 

その姿に即座に否定する。流石にコレが『闘神の息子』だと思いたくない。

 

「__ええ?!」

 

「…おほん!」

 

ご令嬢の咳に焦り顔のランディ、続くのはスパーダだ。

 

「スパーダ、スパーダ・リンの予定だ。出身はそうだな、帝国としておこうか。過去については深く話す気はない。クロスベルの裏側には色々と詳しいツモリだ。汚職してる奴等を潰したければ俺に声をかけてくれ。よろしく頼むぞ、バニングス」

 

「__ええ………」

 

「__おほん!!」

 

先程とは違う「えぇ」とより大きくなった「おほん」。

まずい話題だったかと失言を認めつつ口を閉じる。

 

「__初めまして。エリィ・マクダエルです。貴方と同じクロスベル市の出身です。よろしくお願いしますね」

 

「_あっ…あぁ」

 

「ティオ・プラトー。レマン自治州から来ました。よろしく(ぺこり)」

 

何処か妹を思わせる雰囲気の少女、初対面でチビと言った為か睨まれてしまったが、スパーダが懐からペロペロキャンディーを取り出し机の上をスライドさせて渡す。

 

「…(ふい)」

 

顔は不満そうで直ぐ様避けられたが、ちゃっかりキャンディーは回収している所に何処か子供らしさを感じる。

 

「えっと、セルゲイ課長……?特務支援課とは一体どの様なものなのでしょうか?その……自分も含めて、随分と若い顔触れのような」

 

「まっ、色々あってな。因みに、スパーダ以外。お前と同じく期待のルーキーばっかりだ」

 

「まっ、口やかましい先輩が居ないってのは有り難いねぇ。なぁ、スパーダ先輩」

 

「言うな、嫌味か」

 

(……………はぁ)

 

(何なんだ、この状況…無性に不安になってきたぞ) 

 

ロイドも呆れているのか何も言えない雰囲気の時、セルゲイに連絡が入る。それは見たこともない導力端末であり、少なくない興味が湧いてくる。

 

「喜べルーキーども、この『特務支援課』がどの様な仕事をするのか、コレから素敵な場所でジックリ教えてやる」

 

「おい…俺は」

 

「スパーダ、お前もだ。コイツラの監督を頼むぞ」

 

「わかった」

 

スパーダは立ち上がり、閻魔刀を腰にさし、リベリオンを背負う。

 

「あの、常に武器を」

 

「クロスベル市長にも認められている。警察にもだ、ライセンスがある」

 

「ソイツの武器は気にするな。ソレより、速く行くぞ」

 

セルゲイに案内され、5人は警察署から出ていく。

駅前通りを通り、彼の言う目的地へと向かう。

 

「ここは…」

 

「駅前通りの外れ……一体、何があるのかしら」

 

「後始末とか言ってたが……まさか、資材を片付けろとか言うんじゃないだろうな?」

 

「…………………」

 

「安心しろ、そんな事は無い筈だ。…まぁ、行けば判るだろう」

 

スパーダはそう言い、階段を降っていく。

他の4人も、肩を竦めつつスパーダに続く様に階段を降った。

 

「__ここから先はクロスベル市の地下に広がる『ジオフロント区画』になる。今から、この中に潜ってもらう」

 

セルゲイの言葉にスパーダ以外の4人が驚く。

 

「えぇっ?!」

 

「もっ、潜るって……」

 

「おいおい。どういう事っスか?」

 

「スパーダ、話してやれ」

 

「セルゲイ、無茶言うな」

 

スパーダ自身、この特務支援課という物を書面。かつ、マクダエルの口頭から知ったのだ。内容の全貌を把握している訳では無い。にも関わらず、4人からの視線が痛い。

 

「俺達の総合能力、及びソレを確認するための実践テスト。と言ったところか?」

 

「正解だ。ジオフロント内部は、それほど手強くは無いが魔獣の類が徘徊している。それらを掃討しながら一番奥まで行ってもらう。スパーダはお目付け役だ。お前等に万が一のことがあれば全力で撤退させる」

 

「なるほど……」

 

「実践テストか。まっ、それなら気が楽だね。ところで、試験官様は」

 

「俺も戦う、ある程度手加減するがな」

 

なんとなく話していて気安い感覚があるランディに好感が持ててくる。スパーダ自身、警察よりもこの様に話せる男の友人と言うのが少ないため、新鮮だ。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!テストは兎も角……どうして魔獣の徘徊する場所にわざわざ入る必要があるんですか?

警備隊じゃあるまいし……捜査官の仕事じゃないですよね?」

 

ロイドの指摘にセルゲイは不適に笑う。

 

「クク、確かに本来なら捜査官の仕事じゃないだろう。

__だが、特務支援課に所属するメンバーは話が別だ。」

 

「え゛……」

 

「__詳しい説明は後だ。まずはコイツを受け取れ」

 

セルゲイはスパーダ達に携帯端末らしい物を手渡した。

 

「これは……」

 

「新型の戦術オーブメント?」

 

「へぇ……随分シャレたデザインだな」

 

「第5世代戦術オーブメント通称『ENIGMA(エニグマ)』……

ようやく実戦配備ですか」

 

「あぁ、財団の方から先日届いたばかりの新品だ」  

 

スパーダは手渡されたエニグマを見ながら考える。

 

「説明書は無いのか」

 

「えと……あの基本的な操作は変わらないと思いますが」

 

ティオから疑問の視線を浴び、段々と汗が湧き出てくる。

他のメンバーもまさか…という表情をし、ロイドが口を開いた。

 

「えと、コレがメッセージ。電話で他には……」

 

「……バニングス、ありがとう。後ですきな物を奢る」

 

「嘘だろ?こんなの、普通の」

 

「………実は、導力端末自体ろくに使ったことが無い。いつも使うのはボタン式の固定電話か……」

 

そう、スパーダは身喰らう蛇の所属の頃から使ったことはなく、

とある博士に作られた空間端末のみ。そう、通常の導力端末を使用したことなどないのだ。

 

「後で説明書も渡してやる。必ず覚えろ」

 

スパーダは顔を隠す。ソレが恥ずかしらから来るものだとすぐに分かる。

 

「お硬い訳でもなし、中々面白い御仁じゃねぇの」

 

「ランドルフ……打つぞ」

 

「おぉ〜怖」

 

「話を戻すぞ。お前達の適性に合わせて既に調整もされている。使い方は__ティオ。お前がレクチャーしてやれ」

 

「……面倒だけど了解です新型用の回路結晶(クウォーツ)はありますか?」

 

「あぁ、少ないが受け取れ」

 

セルゲイはティオに各種類の回路結晶を手渡す。

 

「ソレと肝心のコイツだ」

 

そして、ロイドにはジオフロントの鍵をわたした。

 

「それじゃあ一通り魔獣を討伐したら帰ってこい。細かい話はその後してやろう。おっと_ついでにコイツも渡しておくぞ」

 

ロイドに手帳のような物を2冊手渡す。

スパーダは面倒な事をせず、一度に渡せと言いたいがコレがセルゲイのやり方だと無理矢理納得した。

 

「ちょっ…ちょっと課長!」

 

「あぁ、ソレとロイド。取り敢えずお前、リーダーな」

 

「へっ……」

 

スパーダとしても正規の警察官はロイドしか居ない事を理解しているため、納得する。

 

「今のところ、捜査官として正式な資格を持っているのはお前だけなんだよ。それじゃあ任せたぞ」

 

あまりのいい加減さにロイドは唖然としている。

ソレをランディは笑顔で弄くった。

 

「ハッハッハ。押し付けられちまったな」

 

「まぁ、俺がやるより良いだろう」

 

「ふふ、でも捜査官の資格を持っている人が居て心強いです。

ロイドさん、よろしくお願いしますね」

 

「あっあぁ…ロイドでいいよ。見たところ、歳も近いようだし」

 

「そう、因みに私は18だけれど」

 

「あぁ、それなら同い歳だ。ええと、貴方たちは?」

 

一番に口を開いたのはランディだ。

 

「俺は21だが、堅苦しいからタメ口で良いぜ。よろしく、ロイド。エリィ」

 

「えぇ、此方こそ」

 

「よろしく。……えっと……それで、君と…スパーダさんは」

 

「__14ですが、問題が?」

 

「い、いや~。別に問題があるわけじゃって、14歳っ!?」

 

「うるさいぞ、バニングス。10歳程度でも技術者をやってる娘もいる。コレぐらい普通だ。因みに俺は(書類上)26だ」

 

「ハハッ、二人とも見た目通りって事か」

 

「いや、おかしいよ!警察官だって16歳からだし」

 

ロイド達が話し込んでいるのが聞こえるが、スパーダ自身興味はない。あるのは何処まで戦えるかだ。

 

「あの、スパーダさんの武器は」

 

「俺はコレだ」

 

スパーダは閻魔刀とリベリオン、そしてホルスターにあるルーチェとオンブラを見せる。

 

「随分と怖い装飾の剣に刀、それに二丁拳銃……?なんだ、何処かで聞いたことのあるような」

 

「……そうね、私もなんとなく心当たりがある様な」

 

「私もです」

 

「スパーダさんって有名なんですか?」

 

「知らん、気にするな」

 

スパーダはそれ以降口を閉じる。

聞くなというそれにロイドも無理に話を聞こうとはしない。

 

「でも、魔獣と戦うにしてはバランスが良いね」

 

「あのおっさん、そんな所も考えてるのかもな。結構強かだぜ?」

 

「兎に角行くぞ、仕事は速く終わらせるに限る」

 

「あぁ、みんな行こう」

 

ロイド、ランディの2人が前衛。

スパーダがオールラウンダーとして中衛。

ティオ、エリィが後衛となりジオフロントを進んでいく。

途中に現れる魔獣も5人は難なく倒していく。

 

「しっかし、すげぇな。スパーダ」

 

「なんだ」

 

「その拳銃、一発で大抵の魔獣の脳髄を撃ち抜いてる。それに、剣の腕もそうとうだろ?」

 

「基本的にお前等で済んでる。それに忘れたか、俺は監督官だ。

本気でやれば、魔獣の掃討も一人でやれる」

 

「……思い出したわ。貴方、Devil May Cryのスパーダさんですよね?」

 

「デビルメイクライ?」

 

「何でも屋よ、遊撃士に頼みづらい事も報酬次第でやる人。よくお祖父様の」

 

「今更か、何回か顔を合わせてるだろ。今回もヘンリー・マクダエルの連名だ。あと、後ろ暗い事はしてないぞ。報酬次第も嘘だ。確かに家に来る依頼は100万ミラなんてザラだが、違法じゃない」

 

違法じゃないだろう、人間ではない。悪魔を殺しているのだ。

そう、たとえ元クロスベル市議員でも、悪魔は人間じゃないのだ。

 

「丁度いい、魔獣が来た。3割位だが見せてやる」

 

7匹程の魔獣の群れだ、流石にロイドも手を出そうと考えたがスパーダに睨まれ身体が止まる。

 

「Die」

 

一太刀、一太刀にして魔獣達は斬り裂かれ鮮血を飛ばし、霧散する。スパーダは閻魔刀についた血を拭うと納刀し戻って来る。

 

「凄い」

 

「わかってもらえたか。俺は戦術オーブメントのサポートが必要無かったから使わなかったんだ」

 

(…なぁ、これもしかしてティオが面倒とか言ったから)

 

(まさか…流石にそんな)

 

(いえ……多分、ソレです。プライドがあるんでしょうけど……子供っぽいですね)

 

(止めなさい、きっと本人が一番気にしてたるわよ。そっとしておきましょう)

 

「聞こえてるぞ。それにな、エリィ・マクダエル。お前の言葉が一番刺さるな」

 

一瞬気まずい雰囲気になるが、スパーダ自身仕方ないと思ってしまう。

 

「…まぁ、実力はわかって貰えたと思う。改めてよろしく頼むぞ」

 

スパーダは手を伸ばす。だが、誰もその手を取ろうとはしない。

 

「シェイクハンドも知らないのか?」

 

皮肉を込めた言い方をするが、ロイドが代表して手を取った。

 

「え…いや、よろしくお願いします。スパーダさん」

 

あらためてジオフロントの攻略をしていく特務支援課。

ある程度進んでいくと、ジオフロント内部の照明ではない。

太陽の光らしい光が現れた。

 

「なんであのマンホールが空いている」

 

「さぁ、財団のデータにもありませんでしたので此方でアップデートして」

 

「…バニングス、最悪を想定するべきだ」

 

「スパーダさん?」

 

「基本的にマンホールが空いているという事は誰かが中に居る。そして、整備士等の場合警備隊や遊撃士が動くだけでない、警察にもその情報が渡っているべきだ。だが、セルゲイは何も言っていない。つまりだ」

 

「予定外の侵入者がいる?」

 

「そうだ、それが民間人であれ犯罪者であれ、何者かがジオフロントに入っている可能性を考えておいた方が良い。まぁ、死体かもしれんがな」

 

「おい」

 

「…ランディ、事実だ」  

 

その言葉に曇るが、ロイドは前向きにいう。

 

「なら、なおさら先に進みましょう。俺達の方に居ない、なら侵入者は奥へと進んでいる筈です」

 

ロイドの言葉に頷き、特務支援課は先へと進む。

そして、嫌な予感は的中するものだ。子供の啜り泣く声が反響して聞こえてくる。奥なのは間違いないが、面倒だ。

 

「こっ…この声は」

 

「こ、子供の泣き声……?!」

 

「犯罪者ではないが、要救助者と言った所か」

 

「おい、今こんな状況で」

 

「特務支援課諸君、只今より試験内容を変更する。

要救助者の救出、最深部への到達。この2点だ」

 

「…ソレは」

 

「まだ、互いの実力も把握できていないだろう。

安心しろ、子供ぐらいなら守る。ほら、バニングス。指揮を取れ。リーダーはお前だ」

 

「…はい」

 

子供の声はダクトの中から聞こえた。大人が立ったまま入れるダクトというのは驚きだが、子供が隠れるには十分だ。

当たりは暗く、エニグマに備え付けられたライトを頼りに進む。

 

「ふぇ…ふぇぇえん」

 

「嘘だろ……お前、アンリか?」

 

「スパーダ…スパーダ兄ちゃん!」

 

涙ぐんでいた少年はスパーダのその一声で駆け出し、スパーダに抱きついた。

 

「なぁ、スパーダ。アンタの知り合いか?」

 

「まれに遊んでやってる子供だ、おい…危険な事はするなっていつも言って」

 

「…リュウが……リュウが………」

 

スパーダは頭をなで、静かに話す。懐から棒付きキャンディーを出し、包を外して口に入れる。

 

「!…おい…しい」

 

「落ち着け」

 

「……ん」

 

「何があった」

 

アンリは今までの状況を話し始めた。

スパーダはソレを真摯に聞き、最後にアンリに対してゲンコツを落とす。

 

「…痛い」

 

「そうだ、でもな死んだらその痛みも感じない。お前とリュウは誰にも知られない所で死んじまうんだ。なら、友達はどうなる。家族はどうなる。お前等が帰ってくると疑わない家族が居るだろ。お前は、お前らはソンな家族を泣かせるんだ」

 

「えぐ……ごめん……なさい……」

 

「なら、俺の顔を見ろ。お前は此処に来ちまった。なら、後戻りは出来ねぇ。俺と、コイツラと一緒にリュウを助けて家族の下に帰る。良いな?」

 

「…うん」

 

「良い子だ。安心しろ、此処に居る奴等は強い。お前とリュウも助けるなんて簡単だ」

 

スパーダはそうアンリを安心させる。

 

「子供にも好かれてるし、人は見かけによらねぇな」

 

「えぇ、正直怖い人かと」

 

「……会議中にキャンディーくれるとは思いませんでした」 

 

「ロイド、問題だ。俺達は5人。要救助者一名、どの様に配置する?」

 

「良いんですか?このコを脱出させなくて」

 

「確かにそのとおりだが、お前達の誰が護衛するか?という問題もある。俺という選択もあるが、仕事はお前達の試験官だ。

それに、時間は無いだろう。リュウが魔獣に殺される可能性もある。なら、このまま行った方が良い。それに、迷子になられて別の区画に行きましたなど、笑い話にもならん」

 

スパーダの言葉にロイドは頷き、コレからの動きを言う。

 

「要救助者を中心として、先端をスパーダさん。両脇を俺とランディ。後方をエリィとティオで守ってくれ」

 

「「「おう」」」

 

即座にスパーダを先端にした5角形が形成される。

中心にアンリを起き、全方位をカバーできる様にしている。

イレギュラーでもない限り後方に敵は居ない、魔獣を殲滅してきたのだ。だからこそ、後衛2人で間に合う。

 

「行くぞ」

 

魔獣を殲滅しながら先へと進む。

スパーダは彼等を観察しながら理解した。

まだ連携は拙いがそれでも及第点ギリギリを与える事が出来る。

つまり、このまま成長していけば班行動として完璧な人材が完成するだろう。

 

「あっ…!」

 

「リュウ!!」

 

不定形のスライムタイプの魔獣数体、それに取り囲まれんとしている少年。スパーダ自身も見覚えのあるリュウだ。

 

「__このまま突っ込むぞ!魔獣の不意を突きつつ、子供の安全確保を最優先で!」

 

「よし来た!」「ええ!」「任せろ!」

 

スパーダが先鋒として突っ込み、ロイド、ランディが続く。

 

「はぁ!」「らぁ!」「Die!」

 

魔獣の全てがリュウを向いていたことで、簡単に3体の魔獣が倒された。魔獣達も仲間が殺されたことに一瞬驚くが、続くエリィとティオの攻撃で倒れた。

 

「やぁ!」「倒します!」

 

「ふぅ、意外と楽だったな」

 

「連携が上手く行った。ロイド、状況を理解した雷撃戦。良い指揮だった。流石、リーダーだな」

 

今までバニングスと呼ばれていたロイドは急にロイド呼びになった事で一瞬驚く。

 

「あの、認めて……」

 

「いや、昔バニングスという名前のトンファー使いとな。ソイツと区別したくて、ロイドと。それに、認める?何を。俺達は最初からチームだ。そこに認める、認めないなんて言葉はないだろ」

 

スパーダの言葉に呆気に取られたロイド。

エリィ、ティオ、ランディはニヤニヤと笑っている。

 

「だが、先にゲンコツを落とさなくちゃいけない馬鹿がいる」

 

「げっ…スパーダ兄ちゃん」

 

「ふん!」

 

アンリの時とは違い、ゴンと強めに殴られたリュウ。

痛い!と大声で叫び、その後スパーダに撫でらられる。

アンリと同じ言葉を紡がれ、泣き始めるリュウ。

スパーダはソレを確認し、静かに話す。

 

「悪い知らせだ」

 

「え?」

 

「魔獣だな、上にいる」

 

その言葉に反応するように不定形な魔獣が姿を見せた。

スライムのようで、今まで倒してきた魔獣に似ている。

さしずめ、親と言うところだろうか。

 

「……スパー……ダ」

 

「なんと…悪い知らせその2だ」

 

「なんだよそれ」

 

「ここから先は、R指定だ」

 

「スパーーーーダァォァァ!!!!!」

 

不定形の魔獣に何かが混ざり合っていたのだろうか。

人の顔や、魔獣の顔、それが現れては消えている。

冒涜的なその様は見慣れていない者達は恐怖を通り越し、理解できない。理解したくないという感情が身体中を駆け巡る。

 

「何…これ」

 

「テメェに殺されかけてから」

 

「Hm…Show me your motivation.」

(ふん…貴様では勝負にならん)

 

スパーダ自身、目の前の低級悪魔に構ってやる時間的余裕はない。

 

「You shall die!」

(けしてくれる!)

 

スパーダは閻魔刀を抜く。

ロイド達はただ閻魔刀の唾が動いた様にしか思えなかった。

カチンと音がするとスパーダはロイド達を振り向き言う。

 

「何をしている、速く帰るぞ」

 

「なっ!そこに魔獣は」

 

「だから言った筈だ、R指定だと」

 

エリィはそこに魔獣が居ると言いたかった。

しかし、不定形なソレから大量の液体が降り出す。

思わず口を抑えてしまう、ティオや子供達も恐怖しその場にへたり込んでしまう。生暖かく、嗅ぎ慣れない匂いが充満していく。

地面も、液体が飛び散ったスーツも赤く染まり恐怖が心を支配する。

 

「だから言ったろ、R指定だと」

 

赤い噴水が霧散していく。セピス達が赤い水溜りの中に落ちている。スパーダはソレを回収し、先頭を歩く。特務支援課は放心状態という方が良い。化け物を見たあとに血の雨である。

 

「おい、そこの」

 

「……要救助者は此方で救出した。貴様には行政の方に行ってもらいたいものだ」

 

途中刀を持った男とすれ違うが、特務支援課はそんな事を気にしている余裕は無かった。

 

「んん!スクープのよ……かん?」

 

「グレイスか……なんだ、その目」

 

「ねぇ、君達大丈夫?」

 

「え…えぇ、あの大丈夫です」

 

「そっかぁ……君達大変だったわね。悪魔に出会うなんて。でも、運が良いわよ。最高のデビルハンターが一緒だったんだもの」

 

「デビルハンター…ですか?」

 

グレイスの言葉にティオが不思議そうに答える。

 

「そう、このスパーダは」

 

「グレイス……お前、ユウナの連絡先あるか?」

 

「あら、導力端末?使い方分からないんじゃ」

 

「どうでも良いだろ、ユウナに繋げるか?」

 

スパーダはグレイスからユウナの連絡先を貰い電話をかける。

 

「はい、Devil May Cry。店長代行ユウナ・クロフォード」

 

「ユウナ、言葉付きの依頼の中にジオフロント関係のはあるか?」

 

「スパーダさん?!導力端末使えたんですか?!」

 

「……お前もか?ソレより、言葉付きだ」

 

「ありますよ、ジオフロントAの行方不明者捜索」

 

「全員悪魔に食われた。死体の破片もあるだろう、あとはグレイスとよろしく頼む」

 

「ちょ!スパーダさ」

 

導力端末を切り、グレイスをみる。

 

「頼んだぞ」

 

「……また、ゴシップ書かなくちゃ」

 

グレイスもヤレヤレと言った表情を向けたあと子供達を保護する。

 

「お前達は俺とだ」

 

そのまま警察署に向かうスパーダ一行。

無論、裏通りなど人通りがない道を通りながらだ。

 

「警察署は正面からになる」

 

スパーダは慣れているのか血まみれで警察署に入る。

 

「ちょっと、スパーダさ」

 

「キャァァァァァ!!!」

 

「喚くな、フラン・シーカー。話を」

 

「フランに手を出すな!殺人鬼!」

 

スパーダが警察署に入っただけなのに悲鳴や殴り合いの音が聞こえる。

 

「スパーダ貴様!ついに殺人に手を」

 

「今ここで貴様らを血祭りにあげてやるか?」

 

「…ロイド、今から入るのか?」

 

「……行こうか」

 

ロイド達が入ると泣きそうなフラン、怯える警官。

そして、副局長がスパーダに銃口を向けていた。

 

「……どうした、人を撃つときは脳髄を撃て」

 

「ひっ…」

 

「そうだ、引き金に指をかけ」

 

「スパーダさん!」

 

ロイド達がスパーダを抑え、副局長から離す。

流れを聞くと血塗れのスパーダを見たフランが驚き悲鳴を上げる。スパーダはソレをなだめようとしたが、悲鳴を聞いてきた警官がスパーダに警棒を振り下ろす。

スパーダはソレを撃退したが、続々と援軍が到着。

ソレを気絶させていたら最期には副局長が拳銃を所持し、登場。

 

「……因みに今回の一件はクロスベルタイムズに載るぞ」

 

「まて!待ってくれスパーダ!!頼む!頼む今回の事はどうにか…どうにか!!」

 

「………そうだな、貸3つだ」

 

「待て!3つは横暴だ!せめて2つ」

 

「今までに貴様らが俺にしてきた事を証拠込みでばら撒くぞ」

 

スパーダの交渉が終わり、最初の会議室で待機しているとロイドが口を開いた。

 

「あの、スパーダさん。さっきのは」

 

「…なんというか、クロスベル警察の奴等は何故か俺の事を目の敵にしてな。適当な犯罪者として牢屋に入れられたり、暴力を振るわれた。その証拠を持ってクロスベルタイムズに言ったり、ばら撒いたり、兎に角色々したんだ」

 

「武器を持ち歩いているからでは?」

 

「知らん、兎に角嫌がらせを受けてな。そのたびに警察としての信頼や、個人的な生活を壊してやったら泣きつかれた」

 

「個人的な生活って」

 

「井戸端会議的なのだ。子供から…いや話す必要はないな」

 

スパーダが黙り込むと、話しかけるなと言うオーラがでてくる。

色々と問題はあるが、子供ウケがよく仲間を信頼したり心配したりする良い人には違いない。

 

「ん?セルゲイか、なに……わかった」

 

スパーダはセルゲイから何やら司令を受けたのか、特務支援課の面々の前に立つ。

 

「これより、特務支援課の分寮。もとい、分署に向かう。道は簡単だが、逸れるなよ」

 

スパーダがそう言うと着替える間もなく移動が始まる。

そして、古ぼけたビルに案内されいの一番に言われたことは

 

「お前等、悪魔を見たのか」

 

であった。

セルゲイから特務について話されると皆、難色を示している。

遊撃士のパクリなうえ、警察の人気取りなのだ。だが、だからこそロイドは疑問がある。

 

「あの…なんで、警察の部署に『警察が手綱を握れない人』がいるんですか?」

 

「ほぉ…ロイド。誰のことだ?」

 

「課長、勿論。スパーダさんです、スパーダさんに対してはクロスベル警察はかなり弱みを握られて居ます。警察署内での力関係を見れば明らかです。つまり、スパーダさんを特務支援課にするに当たり、その理由があるはずなんです」

 

ロイドの言葉にスパーダは不敵に笑った。

 

「……そうだ、特務支援課。もう一つの仕事がある。ソレがスパーダを引き入れた理由だ」

 

「ロイド、お前は良い捜査官だな。今から話すのはトップシークレットだ。クロスベルを……根底から揺るがすな」

 

スパーダとセルゲイは特務支援課のメンバーに悪魔について話した。近々あった議員殺しや、大量殺人、その犯人は全てスパーダであるという。これだけなら、猟奇犯罪者だろう。

しかし、悪魔という存在か大きかった。

 

「コイツは色んな人間から報酬で悪魔を殺す依頼を受けたり、個人的に悪魔狩りをしているデビルハンターだ。また、何でも屋をしていてな。遊撃士に頼みづらい仕事もする」

 

「グレーの仕事だ、言うが違法ではないからな」

 

「…その、悪魔とはジオフロントの」

 

「あぁ、あのあと仲間が達成報告をしたらしくてな。警備隊が見聞しにいったら大量の死体の食残しがあったそうだ」

 

セルゲイは

 

「気を確かに持てよ」

 

と事前に言った、そして茶封筒を出す。

見たのはロイド、スパーダ、ランディの3人。

 

「…っそだろ」

 

「酷い……こんな」

 

「悪魔だ、コレがな」

 

食いかけの遺体、その中には赤児や子供も多くいる。

きっと迷い込んだ子供を食べていたのだろう。

 

「悪魔に関してだが、俺達警察の仕事じゃない」

 

「なっ!おいおい…流石に」

 

「遊撃士も知らん、知っているのは一部の警察上層部ぐらい。

スパーダが居るのはお前達が悪魔とやり合う可能性があるからだ。もしもの時の訓練教官。それが、スパーダだ」

 

場が重苦しい空気になるが、スパーダは変わらず告げる。

 

「…覚悟が有るやつが残れ。何かを変えたい、自分を研きたい、そんな奴が必要だ。だが……俺はお前達を監督して思った。

何れは、最高のチームになるとな。だから、残ってくれたら嬉しい」

 

その夜、スパーダが特務支援課の玄関当たりにある来客用のソファで寝ているとロイドから声をかけられた。

 

「あの、どうして此処に」

 

「あぁ、俺だけ此処のビルじゃないからな」

 

「クロスベルにお店があるんでしたよね」

 

「……そうだ、ロイド。ちょっと来い」

 

スパーダはロイドを連れ、ビルの外に出た。

 

「……ガイ・バニングスお前の兄貴か」

 

「あの、兄を知っているのですか?」

 

「たった一度だけだが、あった事がある。彼奴は熱血漢って言い方が相応しい奴だった。誰かを守れる、そんな奴だ」

 

「……」

 

「でもな、お前はロイド・バニングスでガイ・バニングスじゃない」

 

スパーダはロイドの頭を撫でた。

 

「あの」

 

「悩め、悩んで、悩んで、悩み抜け!答えなんて一つじゃない。お前のすきなようにしろ」

 

ロイドにはソレが自分の知る一人の漢に見えた。

 

「……(まぁ、帰らない俺の言えた義理はないが)」

 

スパーダはロイドに一言言い、与えられた自室に入った。

 

 

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