超昂大戦SS 翔び上がれルビー、復活の右脚! 悪夢の過去と敗北の涙を超えて 作:環 藍河
※pixiv様で先行して投稿しています。ハーメルン様では1話遅れての投稿となります。
※時系列は第1部前半、初期も初期になります。原作「超昂大戦エスカレーション・ヒロインズ」未プレイの方はネタバレご注意を。
《よしっ、ルビー、サファイア! 決めてやれ!》
「はいっ、長官! 決めますっ!
全力…フルパワー!」
〘ブリザード…〙『ストライク…』
[ぐわあああ〜っ、急な衝撃にお備え下さい〜っ!]
〘『エスカレーション!』〙
どごおおおおーーーーっっ!!
爆発音に、レールフラストの[ショ〜〜テ〜〜ン!]の断末魔はかき消された。
地球防衛組織ダイビートの初陣から、まだ日が浅い。
だが、翌日に入隊を申し出た少女・園崎アカリ…エスカ・ルビー。
さらに程なく、アカリの熱意に心動かされ、加古野ヒビキ…エスカ・サファイア。
新戦力・紅と蒼のエスカ・ペアが誕生、以後ダイビートは破竹の快進撃を続けていた。
無論、百戦錬磨のレジェンド達とは、戦闘力は比べるべくも無い。
それでも、二人の類稀なるADDD適性と、その互いを補う相性。
サファイアの修行経験はルーキーのルビーを的確に導き、ルビーの希望溢れる言動とガッツはサファイアの悲観を拭い去る。
いつしか2人は、ダイビート全体をも躍進させていた。
「エスカ・ペア、いい感じね。」
「ああ、まさに俺たちの…動き始めたダイビートの、希望の輝石だ。」
長官トキサダと副官ユーノの期待は、日に日に高まる。
……
…
「エスカ・ルビーに、エスカ・サファイア…。
我が仇敵エスカレイヤーが引き寄せた、奴らの…ダイビートの若き萌芽…!」
かつかつかつ…ざっ。
「お任せください、ディストバーン様。お心を煩わせるには及びません。」
異次元に潜伏するアルダーク本拠地中枢・玉座とも呼ぶべき首魁の席前に、一人のコマンダーが歩み寄る。
「おお、第7中隊長。」
「期待の新人どもを完膚なきまでに粉砕する作戦がございます。」
「ほお…大きく出たな。」
「所詮は身の程知らずのひよっこ超昂戦士ども。あの希望と正義に満ちた表情…必ずや絶望と汚濁に堕とし、二度と我らに刃向かえぬよう調教してご覧に入れましょう!」
「よかろう。一罰百戒、我等アルダークに仇なす者の末路を、地球人どもに…エスカレイヤーに晒すのだ。クックック…。」
…
……
その日も閂市内では、各地でフーマン・滅忍の暴動が散発。ダイビートも各戦士・閃忍を出動させ鎮圧に当たる。
「紅蓮の光は不滅の炎!」
「青い光は勝利の狼煙!」
「超昂戦士、エスカ・ルビー!」
「エスカ・サファイア!」
「〔悪の現場に只今参上!〕」
エスカペアは、繁華街のフーマン部隊鎮圧に当たる。
「はっ! やあっ!」 どすっ! がつっ!
「ふんっ!」 ザシュッ!
「ブー!」「ブブーッ!!」「ブ〜ッ!」
…どさっ。ばたっ。がくっ…!
ルビーの拳とサファイアの体術が、一体一体、次々とフーマンを沈めて行く。
「ぐう…っ、おのれエスカチームめえっ!」
戦力を削られ、今や裸単騎のコマンダーの呻き。
「このまま…あなたたちを倒しますっ!」
だが、ルビーは知るよしも無かった。
フーマンたちは、呆気なくやられたふりをしていることを。
ましてや、それがルビーを絡め取るための罠であることなど、気づくはずも無かった。
両手の拳を握りしめ、気合いを込め直すルビー。
「決めます! ストライク〜…」
両足が大地を弾き、真っ赤な光が一筋、コマンダーを狙い撃つ。
どしゅっ! どすっ!
「ぐううっ…!!」
ダッシュの勢いを乗せた右、左のミドルキックで、コマンダーの足を完全に止める。
(…ここだっ!)
数歩後ずさり、助走を付ける。
ルビーの右足首のパルシオンが、瞳の輝きとシンクロし、エメラルドの輝きを放つ。
爆発的な跳躍力で空に虹の軌跡を描き。
「エスカレーションっ!」
ルビーの最大攻撃力を溜めたキックが、コマンダーに振り下ろされようとした…。
その瞬間。
「〔[〈ブブーっ!!!〉]〕」
(なっ!?)
コマンダーの周りに横たわるフーマンたちが4体、突如跳ね上がってコマンダーを庇う。
矢面のフーマンが2体、腕4本でルビーの右脚を堰き止める。
さらに、その背中をもう2体が支え、吹き飛ばされるのを防ぎ切る。
ぐぐぐっ……ばしいっ!!
「うわあああああっ!!」
ルビー必殺の一撃も、4体がかりで防がれてはひとたまりも無かった。
敵を沈めるはずが、逆に虚空へ吹き飛ばされてしまうルビー。
ずきんっ!!(あううっ!!)
ルビーの最大の必殺技を…真正面から潰された。
その右脚で、自らの最強兵器の威力を…倍返しで、全て受け止めてしまった。
「ぐははっ、喰らえええっ!」
びしゅっ!!
最初のキックに耐えたコマンダーが、満を持して放つ、全力の電磁鞭。
びしいいいっ!
「きゃああああああーーーーっ!!!」
邪悪な蛇が、空中でガードが取れないルビーを捉え、その牙を突き立てる。
最初のひと咬みは左肩、ヴァーミリオンレッドのセーラーカラーへ。
そのまま斜め下、ルビーの双丘を護るパールホワイトのチェストを撫で切りに。
さらに腹部のレオタードをチェーンソーのごとく切り裂き、高圧電流を戦士にどくどくと流し込む。
ルビーは弾き飛ばされた無防備なそのボディを…左肩から右脇腹へ、袈裟懸けに鞭打たれてしまった。
びくんびくんびくんっ!!
ぎゃるんっ…(ああっ…!)
フーマンたちに天高く舞い上げられたルビーは、コマンダーの電磁鞭の衝撃で全身を麻痺させながらきりもみ急降下。
バレリーナのように回転しながら、地べたへ叩き落される。
受け身が取れない超昂戦士の利き脚を地上で無慈悲に待ち受けていたのは…ガードレール。
重力と、鞭で加速された全てのベクトルが、レールに伸びたルビーの利き足に集中してしまう。
ごぐっ…ぐしゃっ!
「うああああーーーーーっ!!」
鈍い音を残し、飴細工のように歪むガードレール。
向こうずねから先を全てもぎ取られたかのような衝撃に、ほとばしる激痛。
ルビーの右脚が…人類の未来を切り拓く最大の武器が、今や風前の灯火。
「あぐうっ!! あ…脚が…
…脚がああああーーーーっっ!!」
折れた様子は無い。メディカルルームに帰還すれば、必ず後遺症なく治してもらえるだろう。
…それでも。
紅蓮の超昂戦士はアスファルトの上を転がり、激痛と絶望に悶える。
今起きている悲劇に心をへし折られ…こらえきれず、勇気を忘れて泣き叫ぶ。
「やだ…やだよおお…、私の…右脚…っ!!」
「ぎゃははははあっ!! フーマンども、追撃だあっ!
エスカ・ルビーの右脚、ここで粉々に潰してやれえええっ!!」
《{[ブブーーーッ!!]}》
どどどどどどっ…!!
(ひっ…!!)
ストライク・エスカレーションを潰された。
フーマンたちが、コマンダーが、四方八方から迫る。
ルビーの右脚を再起不能にし、捕縛して異界の牢獄で慰み者にしようと…!!
「ブリザード・エスカレーション!」
ドガーーーン!!
「〔[〈ブブ〜〜っ!!〉]〕」
ルビーの窮地に割って入り、自らの必殺技でフーマンを一掃するサファイア。
だが、内心に滲む焦り。
(しまった…これは、ルビーを叩き潰す周到な作戦…!)
「ふははっ、今日はここまでにしておこう。
だが、エスカ・ルビーよ! 貴様の最大の武器、ストライク・エスカレーションは今日、ここに破れたのだあ!
サファイア! お前の必殺技も次は破る!
次に相まみえる時が、エスカ・ペア最期の日だあ!」
しゅ…っ。
「くっ…」
手負いのルビーをかばうサファイアに追撃を阻まれるも、今日の作戦目標は果たした。
フーマンともどもワープし、撤退するコマンダー。
「ルビー!」
撤退するコマンダーを横目に、うずくまるルビーに駆け寄るサファイア。
「ううっ…、ああっ、あああ〜〜〜っ!!
脚…脚が…!!」
鞭にスーツを引き裂かれ、はだける胸。
だが、それも隠さず、誇りの右脚を両腕で押さえ、ルビーは我を忘れて叫ぶ。
まるで右脚が自分のものでなくなってしまったかのような恐怖に、溢れる涙を抑えられなかった。
(何だよ…エスカ・ルビー、負けてるじゃん…)
(最近強くなってきたけど、やっぱりダメね…)
(もともと戦い方も危なっかしかったからな…)
誘導に沿って避難する一般人から容赦なく、失望の声が漏れる。
その残酷な評価を背中に浴びながら、サファイアはルビーを抱きかかえ、救護班の到着を待たず撤退する。
「ルビー、落ち着けっ!」
「あ…ああっ、足っ…脚…!」
相棒の胸中で両肩を頼りなく震わせ、戦士の気概を根こそぎコマンダーに奪われ…
恐怖と絶望に泣きじゃくるルビー。
サファイアは気づいていた。
ルビーは今、心の奥底に閉じ込めていた古傷をえぐられているのだと。
人類の未来を照らす、希望の紅き宝石。
だが、先ほどまでの勇気と自信は…侵略者の謀略の前に、もはや木っ端微塵に砕かれた。
赤石の輝きと未来には、あまりにも深く暗い影が落ちていた。
筆者の環藍河です。
ハーメルンではキリ番の第40作…と言いながらリメイク作品をお届けする志の低さ…すみません。
ですが、2年前の前作「翔べルビー! 復活へのハイジャンプ」時点では、そもそも超昂大戦歴4ヶ月の若葉マークトキサダだった作者。
今回は、曲がりなりにも2年のSS書き経験と超昂大戦歴を積み重ね(課金も凄まじいことになり)、『今ならこう描く!』をぶつけたリメイクに挑んでおります。
まずは第1話、お読みいただきありがとうございます。いろいろご感想いただければ幸いです。
【追伸】ネットラジオ「アリスソフト放送局」投稿中です。第3回と第5回で採用の栄誉に浴しました(2024年8月現在)。
並み居る常連さんの超昂大戦愛・アリスソフト愛に圧倒されつつ、僕も僕なりの愛をめいっぱいぶつけて参ります…文章量長すぎない範囲で。