『オルクセン王国史/二次創作』ラッカーズ・ボランティア   作:karkaroff

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カチン……弾切れのリボルバーの撃鉄がお前は終わりとばかりに虚しい音を立てる。死は今まさに己の首筋に迫っていた。弾はない、仲間はもういない……

 街道沿いの小さな鉄道橋の上でキュスターは仲間の屍の上で自らもまたその仲間入りをしようとしていた。選択肢はもう一つしかなかった。そして……


やらかし

―――星暦八七六年十二月七日/ファスリン峠/ネイサン・A・キュスター

 

 ラッカーのクソ野郎がエルフの精鋭と戦って手柄を上げたらしいと聞いたのはシフト交代でアンファウグリア旅団の戦場清掃に行かされた時だった。

 

戦場の最中に駆け付けて弾薬を運び込んだうえにエルフの重装騎兵を弾幕で撃退して負傷兵を回収していったなんて話でセンチュリースターの奴らにも悪くない戦いをする奴がいるものだと感心された。

 

あの酒好きのクソ野郎がうまく戦ったとかでちやほやされてこっちは一発の拳銃弾も撃ってないっていうのには心底腹が立った。そこで周辺警戒に動ける余力のあるやつを募集しているというので一緒に来ている一個小隊丸っと連れて周辺警戒を兼ねたパトロールに志願してやった。以外にも志願はあっさり受け入れられて俺は近くの街道沿いに敵と味方との境界線上に馬を走らせる事になった。とはいえ戦場清掃に来ていたので保有弾薬はいつもの半分、なんなら邪魔になるので半数は二連式の散弾銃しかないと来た。戦闘後のシトシト雨が降り、じんわりと体が冷えていく中でのパトロールは答えるものがあったがそれでも仕事をしたっていう達成感が欲しかった。

 

 まあ、逃げてくはぐれ歩兵でも見つかればと思って街道沿いの線路をばしゃばしゃと馬を進めているとしばらく先の鉄道橋で2個分隊ほどが何かこそこそと作業をしているのが見えた。細かいところまでは視認できなかったが何かを橋桁に仕掛けているようにも思えた。

 

 

「ジェントルマン諸君、奇麗どころの捕虜候補だ。捕まえて手ごろに”尋問”してやれば日頃のストレスも回収できるだろうぜ。」

 

等とはやし立ててやれば誰かが小気味のいい口笛を吹いて雰囲気を盛り上げる。前の戦争じゃ結局うまくいかずに英雄になれなかった奴も多いだろ?リベンジと行こうぜ。と襲撃の為の隊列を整えて弾薬を装填する。

 

雨で視界が悪くなっているとはいえ橋には遮蔽物がなく、雨のおかげで鉄道橋の下を流れる川の水も心なしか増水して荒れかけているように見えた。

 

襲歩(ギャロップ)!進め!進め!勝利の女神は俺たちにご褒美をくれるそうだ!」

 

馬を走らせながらも片手の45口径を抜くと鉄道橋を勢いよくわたり始める。有効射程に入れ、スピンセルに射撃の号令を出そうとした、その瞬間だった。乗っていた相棒(愛馬)が膝から崩れ落ちて滑るように鉄道協に転がる。俺は身体を投げ出され砂利と枕木の硬い地面に叩きつけられるようにして肺にたまった息をすべて吐き出させらられる。ぐわんぐわんと世界が揺れる中、鋭い銃声が後方から連続して聞こえ、同時に俺たちのものではない何かの轟音が凄い勢いで迫ってくるのが聞こえた。

 

死ぬほど痛む体を何とか引っ張り、周囲を見渡すと前からも後ろからも、何処からか現れた死神のような女たちが俺たち(バンディット)を撃滅しようと銃撃を加えているのが見えた……周りでは突っ込んでいく勢いのまま仲間たちが一人、また一人と打ち倒され……俺は目の前に転がっている45口径を慌てて掴むと転がった愛馬を遮蔽にがむしゃらに撃ちまくる。そして……

 

カチン……弾切れのリボルバーの撃鉄がお前は終わりとばかりに虚しい音を立てる。死は今まさに己の首筋に迫っていた。弾はない、仲間はもういない……

 

 街道沿いの小さな鉄道橋の上でキュスターは仲間の屍の上で自らもまたその仲間入りをしようとしていた。選択肢はもう一つしかなかった。そして……

 

迫る騎兵の死の刃が首を刈り取るその前に、諦めかける頭を振り絞って無理やり川へと身を躍らせた。まるで何かに打ち付けられるようなひどい衝撃が背中に走り、鼻から、口から水が肺へと流れ込んでくる。思うように動かない体を何とか動かしてもがきながら、そのままいつまで続くか分からない水の流れに押し流され、何かの衝撃を受けた後にそのまま意識を手放す羽目になった。あのクソエルフの女狐共め……いつかリベンジしてやる。




カスターズリベンジを誓った敗北回となります。
最低なクソ野郎のキュスターですが、モデルとなっているカスター将軍の南北戦争の活躍は目を見張るものがあります。真面目に軍に勤めて任務をこなしていれば大分ましな終わり方が出来たものを……
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