『オルクセン王国史/二次創作』ラッカーズ・ボランティア   作:karkaroff

12 / 20
再編と配達

―――星暦八七六年十二月十五日/ファスリン峠/アラン・ラッカー

 

キュスター”将軍”の部隊が部隊張本人を残して壊滅した旨の連絡が入ったのは九日の午前の事だった。キュスターは鉄道橋を破壊しようとするエルフィンド工兵の部隊と遭遇、阻止を試みたところ待ち伏せをしていた.

 

唯一幸いなことに第一師団の偵察隊に発見されたキュスターはエリクシルのお陰で回復に向かっているが副官として使える人物を一時失ってしまったという点では困りものだった。

 

 とりあえず、キュスター暫く回復に努めてもらうとしてとりあえずの対応として損害を埋めるための再編と、並行して本国への補充兵の打診を行った。北の投資家連中も南部の政治家連中もどちらもこの追加人員について慎重ではあったが、少なくとも年明けには手配を終えてこちらに送るという話で何とか落ち着いたのは朗報だった。

 

 とはいえ最低一月、3個小隊と炊き出しや酒保の業務をしている雑用で回すには若干人数が足りなかった。中隊を分割して支援任務や負傷者の後送を行っていたが3個小隊で行うのであればどちらかに集中して対応する必要があった。作戦行動を継続するためにもというのもあるが、何より保身のためにも今後の相談が必要というのが正直なところでもある。

 

 まず、手を付けたのは司令部連中だ。グスタフ王に面会することはできなかったが、あの小奇麗オークのエーリッヒ・グレーベン少将は損害による活動の集中については少なくとも一時措置として同意した。

 

 同意させるのに何本かの高い方のラム酒や火酒を持っていかれたのは痛かったが少なくとも道理が通る部分については話せばわかってもらえるのがオルクセン軍のいいところだと思う。

 

 再編に伴ってまず着手したのは3個小隊の人員振り分けと壊滅した小隊の生存者の組み込みだった。幸いにも壊滅したとはいえ分隊単位で後備を務めていた奴らが分隊単位で生き残っていたのはラッキーだった。3個小隊と買い集めた馬車があれば定期便を構築するには必要十分で、シフトを組んで3個小隊と余剰人員の総計170余名を御者と護衛の17個の戦闘単位に分割、簡易的な輸送分隊として第一軍の司令部の下で観戦武官の小間使いから弾薬輸送、負傷兵の後送に伝令までなんでもござれのポストマンが第一軍を駆けずり回る体制を作ったってわけだ。

 

それとこの頃からオルクセン本土から届いた手紙を配達する業務を正式に請け負い始めた。ファルマリア港に届く郵便物が滞留していたのを見かねて司令部に配達任務を申請した。幸いにもこれについても同様に受託されて名実ともに俺たちはポストマンとして活動を始めた。

 

家族から、故郷から届いた手紙や差し入れに喜ぶのは何処の人間も変わらない。オークだろうが、シャドウ・エルフの奴らだろうが俺たちのようなよそ者だろうが故郷や人との繋がりがないとやっていけないものだ。

 

 そう思ってこその配達だったが、一方でゲ日田思惑があったことも否定しない。配達に伴って社名の入ったメモを添える事にした。

 

荒野から戦場まで、何時でもどこでも、なんでもお届け!

ラッカー探偵社”配送部門”

 

 このメモが、戦後、俺たちに食い扶持を与えてくれることになった。

 




遅くなって申し訳ありません。
25時半の投稿となりましたが楽しんでいただければ幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。