『オルクセン王国史/二次創作』ラッカーズ・ボランティア   作:karkaroff

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探偵業務

―――星暦八七六年四月一九日/ネニング平原/アラン・ラッカー

 

 ネニング平原の戦いが終結へと向かっていた頃、やっと俺たちは輸送任務のシフトから解放され、しばらくの休憩の上で司令部へと呼び出された。褒章や勲章の話でないのは分かっていたが、それはそれとしても義勇兵としては要請には従うことにした。

 

 煤と泥で汚れた軍服を何とかまともに見えるように整えて、顔を拭き、銃剣で髭をそりギリギリできる範囲の体裁を整えて臨む。小奇麗オークのグレーベン少将も今日に限って言えば疲労で疲れた顔に隈を作って不機嫌な顔で俺たちを待ち構えていた。

 

「要請に従い参上いたしました、閣下。今回はいかようなご依頼で?」

 

 冗談めかして聞いてみるとオークにしてはイケてる顔立ちを歪ませて苛立ちを表現してくる。どこぞの見世物小屋で見れる像顔の化け物と比べても随分と柏陵があるかもしれない。

 

「正式な業務依頼と考えてもらって構わない。鹵獲された野戦砲を追跡してもらいたい。」

 

 俺たちが逃げ帰ってきたユーダリル山など南側の戦線で奪われた物資のうち、破壊できなかったいくつかの物資を見つけ出して、可能なら奪取してほしいという話だった。もちろん追跡するだけなら俺たちは得意中の得意だが強盗から物資を取り戻せるかというと怪しいというのもあり何処までできるかといったところだと悩ましいところもあるのだが……

 

「最低でも発見して報告すればよろしいので?なんだかんだ言っても我々軽騎兵ですので奪取までは約束できませんぜ?」

 

当然だとばかりに頷くとこの小奇麗オークの野郎は旨そうな葉巻に火をつけて鷹揚にこたえる。

 

「最低限はそれで問題ないが、可能な限りの努力はしてもらいたいところではある。破壊しても構わないし、最悪場所さえわかれば手の打ちようはある。」

 

壊しても問題ないというのは朗報であった。破壊して帰ってくるだけなら証跡も含めて非常に楽な仕事になる。あとはいつも通り吹っ掛けるだけでいい。

 

「依頼料はいかほどで?弊社はセンチュリースター南北どちらの探偵社よりも優秀な探偵集団ですからそれなりに張りますよ?」

 

 もちろん鉄道王は清算込みでも相場以上の費用をすでに支払っているがそれはそれ、とれるところからはとるに限りというのが探偵だ。

 

「無事にやり遂げたら戦史に名前を残してやる。歴史の端に生きた証が残るのでは不満かな?」

 

 小憎たらしい笑みを浮かべる少将閣下に対してにやりと笑って手を差し出す。探偵社の相場としては足元を見ているようなものだが、西部のガンスリンガーとしてはこれ以上の破格のものはない。

 

「まいどあり、成果をお待ちください。閣下」

 

 そうして俺たちはオークの秀才はそう俺たちを送り出した。俺たち義勇兵にとって一番の見せ場で……そしてこの戦闘中最も苦労した任務に俺たちは従事した。もう少し吹っ掛けておくべきだったと後悔するのは、終戦後、記録に名前が載ったその時の事で、当時の俺たちは意気揚々と出発していった。

 

 

 




お待たせいたしました。
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