『オルクセン王国史/二次創作』ラッカーズ・ボランティア   作:karkaroff

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キュスター少尉

―――星暦八七六年十一月七日/ファルマリア港/アラン・ラッカー

 

 小奇麗オークのエーリッヒ・グレーベン少将と今後の諸所の打ち合わせを行ったうえで俺たちはファルマリア港へと移動を命じられた。

 

 司令部が港に移動してくるからそれに合流して、そこから必要な情報や荷揚げされてくる物資を受け取って速達をしてほしいと、そういう話らしい。仕事を受けた以上それについては異論はないが、問題が二つあった。

 

 一つは我々の宿舎がファルマリア港にまだ用意されていないことだ。それどころか本国から到着した港湾労働者連中の宿舎すら用意されてなくてストライキが起きそうという話もある。

 

 俺たちの本領発揮かと労働者暴動の鎮圧任務が必要なら対応できる旨を上伸したがあの小奇麗オークはそれは俺たちの仕事じゃないとつっぱねてきた。

 

 今度は死者無しでと思ったのだが残念だ。まあこの暴動未遂については本国からおいでなさった”国王陛下”がうまくおさめたって話で結局俺たちに仕事が回ってくることはなかった。

 

 その後改めて仕事が回ってきたのは11月7日になってからだった。ファルマリア港の外れ、ぎりぎり港の敷地内の空き地に仮の義勇軍司令部を設置した直後だったと思う。

 

命令書としてはこうだ。

 

ラッカー義勇兵団は部隊を二つに分割し第一軍団司令部及びアンファングリア旅団輺重大隊に随伴、各司令部の命令に従って配送”業務”に従事せよ。

 

この際、活動にあたっての食料及び燃料などの生活物資については支給するが弾薬規格の関係上、部隊運用に必要な武器弾薬は自弁せよ。

 

との事だ。俺たちはせっかく港に設営した司令部をたたむ準備をして”派遣先の顧客”に挨拶をしに行く羽目になった。俺たちが活動する上での武器弾薬の補給はあのモノクルが手配するだろうから問題はその派遣先だ。

 

 第一軍についていくのはいい、段々と到着し始めた観戦武官連中周りの仕事に回されるか、輸送部隊の護衛や穴埋めに使われるのがまあわかる。アンファングリア旅団……いやアンファウグリア旅団か?

 

 俺たちの舌では発音しにくいあのシャドウ・エルフたちの戦闘集団についていくやつらを選抜するのは非常に苦労した。ろくでもない目に遭うのは目に見えていたのだ。

 

どうするか悩んだ末に俺は副官のキュスターに声をかける事にした。彼は先のセンチュリースターの内戦で騎兵将校だった男だ。戦時任官で一時的に大佐まで上がった後、少尉に格下げされた経歴の男だが、少なくとも戦闘回りの才覚は悪くなかった。

 

あの”キュスター将軍”は司令部の天幕で自分のスキットルに火酒を注いでいた。

 

「”将軍”その酒はいったいどうした?お前のストックは船の上で飲み切ったと思っていたのだが。」

 

カウボーイハットを器用に操り、売れない役者のような伊達男風のポーズで俺に礼を返すと憎たらしげに口を開く。

 

「いえね、これは友情をお借りしたにすぎませんよ、中隊長殿。いえ所長?社長?ここにいる間どう呼ぶかはありますが、ちょっとお借りしただけでそのうち2倍で返します。それで何の御用です?」

 

 俺はわざと見えるように大仰に嘆いてみせたうえでホルスターの留め具を外して見せる。

 

「さて、軍需品の盗難は本来は射殺して対応すべきかと思うのだが弁明の余地は?」

 

「仕事で返済しますので」

 

「じゃあお前、シャドウエルフの補給業務な」

 

 飄々と答えやがるのでそのまま仕事を押し付ける。

悪態が聞こえた気がするがそのままタイプライターで命令書をしたためてサインを入れる。

 

「お前はエルフ付きのポストマン、俺はオーク付きのポストマンだ。せいぜいうまく働いてくれよ?」

 

 

 




実質的な第四話となります。楽しんでいただければ幸いです。
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