『オルクセン王国史/二次創作』ラッカーズ・ボランティア   作:karkaroff

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ラムランナー

―――星暦八七六年十一月末日/ファルマリア港/

 

酒を求めるやつの為にランナーがいる。ラッカーが大陸間の電信を通じてセンチュリースター本国に送った最初の報告はキャメロットを経由した海底電信によって鉄道網、ホイットフィールドに伝わったのは11月二十日の事だった。

 

「オルクセン軍ハ物資豊富ダガ嗜好品ノ調達ニ綻ビアリ、近ク酒ノ大量需要アリ」

 

詳細を省いた速達であったものの鉄道王ホイットフィールドは西部向けに生産されたラム酒からかなりの量をオルクセンへと送り付けた。品質は問わず、アルコールが摂取出来、最低限酔える酒、西部の荒くれどものガンスリンガーが好んだ粗悪品だったがそれでもアルコールであることには変わりなかった。

 

 ホイットフィールドの安酒と比喩されたこのラムが最初に届いたのは十一月の終わりごろだった。この頃には予測した通り、アルトリアの陥落に端を発した嗜好品の不足が起きておりこのとりあえず酔える安酒は嗜好品不足のオークたちに歓迎された。

 

 ラッカー義勇兵団の増援として送られてきた探偵社の追加人員はアルトリアの炊き出しに従事する傍ら、かの街をハブとしてこの安酒を第三師団に供給した。現地では安酒を少しでもうまく飲むためのコツが模索されエルフィンドに自生するミントと角砂糖をコップに入れて雑につぶす、これにミルクとラム酒を1:1の割合で注ぐレシピが生まれるとコボルトを中心に各地で広まり、のちにスパイスを足したレシピが定着した。

 

 しかし問題もあった。ホイットフィールドの安酒について総司令部が詳しく把握したのはアルトリアの炊き出し開始から暫くたった頃で、これについてラッカーは供与についての許可を意図的に行わずにいた為、司令部に呼び出されて事情を詰められる羽目になった。

 

とはいえ、その頃には兵卒が安く調達できる数少ないアルコール飲料として広まりつつあり、ラッカーはこの件についてはいくらかの事情が考慮されてなんとか事なきを得た。

 

 ホイットフィールドはこれによってセンチュリースター外でのラムブランドを確立し戦争後星欧各国に安く酔える酒を供給、その悪名を広げるきっかけとなった。

 

 そしてこの安酒、最初の大戦後に今度はセンチュリースター合衆国で別の悪名をとどろかせることになる。戦後エルフィンドで作られたホイットフィールド・ラムが禁酒法が施行されたセンチュリースター国内に多く持ち込まれたのだ。

 

 ラムランナーによって持ち込まれた安酒が今度はラムランナーによって持ち替えられることとなったわけだ。

 

「酒を求めるやつの為にランナーがいる。」

 

ラッカーがオルクセンで小遣いを稼ぐためにホイットフィールドを焚きつけた言葉であったが今ではギャング映画の定番台詞として映画ファンに親しまれ、ラッカーとホイットフィールドの悪行の証として今も語り継がれている。

 

 

 

 

 

 




ラムランナーはアメリカの禁酒法時代、アメリカ近海や五大湖などに水上飛行機で乗り付けてラムを密輸する密輸業者のあだ名でした。

この世界でのラムランナーも同じ道をたどりますが、その前に彼らは大仕事をしていたようです。
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