コードギアス反逆のルルーシュ ロストカラーズ 短編集 作:アシッドレイン
ジャンル:????
注意点です。
特派のセシルさんEDの後といった感じですね。
(ありませんけど…ね、そういうEDは…。そこは想像力でカバーしていただけるとありがたいです)
特区日本が設立されてから2年が過ぎています。
かなりオリジナル要素が強いのでご注意ください。
「うーんっ…」
夜中に私は喉の渇きで目が覚めた。
寝る直前まで、あれだけ激しく愛し合っていたのだから、汗もかくだろうし喉も渇くというものだ。
半分眠っている状態で回りをきょろきょろと見渡す。
広々としたベットの中には愛しい彼の姿は見えず、私一人だけだった。
「あれ…?」
私は眠気眼のまま部屋の中に彼の姿を探した。
しかし、人の気配はない。
「?」
もぞもぞと脱ぎ捨てていた下着とネグリジェを身につけ、ベットから出て彼の姿を探す。
ふと気が付くとベランダの窓が開いている。
あー、涼みに行ってるのかしら…。
そんな事を思いつつ、そーっと近づく。
脅かしてやろうという悪戯心がそうさせたのだろう。
だが、私は窓まで近づくと動けなくなった。
「困ります、ユーフェミア様っ…」
声は抑えていたけれど、少し乱暴な言葉が彼の口から漏れている。
どうやら電話中のようだった。
「昼はともかく、夜は拙いですよ」
慌てているようにも聞こえる彼の声。
「…もう…。判りましたっ…。今から伺います。それでよろしいんですよね…」
諦めた調子でそう答える彼の声が聞こえる。
私は慌ててベッドに戻ると寝た振りをした。
なぜ、そうしたのか自分自身よくわからない。
多分、盗み聞きしてしまったという罪悪感がそうさせたのだろうと思う。
私がベッドに潜り込んで少したって彼が戻ってきた。
まず最初に私がまだ寝ていると確認すると服を着替え部屋から出て行った。
暫くして玄関のドアの開く音と鍵をかける音が響く。
そして、彼の車の音が聞こえたかと思うとその音は遠ざかっていった。
あの後、私は眠れぬまま彼を待っている。
不安という闇が私の心の中で湧き出し、疲れているはずなのにまったく眠たくならなかった。
こんな気持ちは初めてだった。
そして、朝の5時近くになって彼は帰ってきた。
ぐったりと疲れたような感じだ。
薄目をあけて見てみると、その表情にも疲れが見えていた。
彼は、そのまま服を乱暴に脱ぎ捨てるとベッドに入って眠り込んでしまった。
私はゆっくりと上半身を起こすと彼の顔を覗き込む。
どうやらぐっすりと眠っているようだ。
その時だった。
鼻に微かな臭いを感じたのは…。
その臭いは、間違いなく彼の身体から臭っていた。
彼の体臭とも使っているコロンなんかの匂いとも違う。
私が使っているものとも違う香り。
その臭いは…間違いなく女性ものの香水の匂いだった。
「ねぇ…、今朝はなんか疲れてない?」
私は朝のコーヒーをいれながら彼に話しかけた。
「あー、うん…。ちょっと眠りが浅かったのかな…」
彼は少しぼんやりとしたままそう答え、スクランブルエッグを作っている。
彼と同棲するようになって、彼の切実な希望から料理は彼が作る事になっている。
だから、朝食の時は私がその間にトーストとコーヒーを用意するのか日課になっていた。
「ふーん…」
誤魔化すような彼の答えに私は気のない返事をする。
なぜ隠すのだろう…。
私の心に昨日の夜から湧き上がっていた不安という闇の塊が大きくなる。
私は、「それ嘘でしょ…。夜中にどこに行ってたのっ」と問い詰めたい心境にかられる。
だが…勇気のない私は、聞くことが出来なかった。
私は、彼を失うことの怖さをこの時初めて感じた。
その日、彼は「今夜は遅くなるから」と言うと先に政庁へ出勤した。
私は朝食の後片付けをした後、一人仕事に向かった。
普段なら彼の車で送ってもらうのだが、今日は一人きりだ。
最寄のバス停に向かう途中、ぐるぐるといやな思いが湧き上がり、私の不安は大きくなっていくばかりだった。
そんな時、車のクラクションで私は我に返った。
「やぁ~♪おはよう、セシルくん~♪」
高級車の後ろの窓をあけてロイドさんが手をひらひらとさせている。
「おはようございます。ロイドさん」
私はゆっくりと朝の挨拶をする。
「あらら、今日は一人かい?」
「ええ、ライくんは仕事で先に出ちゃって…」
「ふーんっ」
半分興味なさげな表情をするロイドさん。
相変わらずのようだ。
2年前、特区日本が設立され、私とロイドさんは別々の部署に分かれてしまっていた。
その後は、ちょくちょく会うことはあったが話す機会はあまりなかった。
実際、こうやって直接話すのは半年程前に話して以来だ。
そう思っていたときだった。
「あなたっ、セシルさんが困っているじゃないのっ」
ロイドさんの横に座っていた金髪の女性がひょいと顔を覗かせ、私を見てロイドさんにそう言った。
確かミレイさんだったかな。
アッシュフォード家のご令嬢で半年前にロイドさんと結婚している。
そう、半年前に話したのは、結婚式場での事なのだ。
「あは~♪そうだねぇ~。ごめん、ごめん」
ロイドさんは、ニコニコ笑いながらもミレイさんに謝っている。
「もう、しっかりてよね…」
そう言いながらもミレイさんもうれしそうだ。
「セシルさん、よかったら乗っていきませんか?近くまで送りますよ」
ミレイさんが私の方を見て提案する。
それを私は丁寧に辞退するとバス停へ歩く事を再開した。
なんだかんだであの二人はうまくいっているようだ。
私がいる時よりもミレイさんが公私共にロイドさんと一緒にいる今の方が特派の運営はうまく言っていると聞く。
それはうれしい反面、寂しく悔しい気持ちもある。
ちょっと複雑な気持ちだ。
でも、彼らと会えて話せたことで心の中で大きくなっていた不安を一時的とはいえ忘れることが出来たのはいいことだと思う。
仕事が終わり、私は家に帰ってきた。
彼はまだ帰ってきていない。
そういえば今夜は遅くなると言っていた事を思い出した。
何をやっているんだろう…。
仕事なんだろうか…。
一人になると寂しさが頭をかすめ、心の中の不安が大きくなっていく。
どうしてしまったんだろう…私は…。
以前ならこんな事はなかったのに…。
椅子にすわるとテーブルにうつ伏せになる。
「はぁ…」
溜息が口から漏れる。
溜息の後、まるでそれがスイッチだったかのように仕事の疲れがどっと襲ってくるような感じだ。
私はその疲れに身を任せ、そのまま眠りへと落ち込んでいった。
「んーっ…」
眠りから覚めた私がぼんやりとした頭のままゆっくりと顔だけをあげる。
「おはよう…。風邪ひくよ…セシルさん」
彼が覗き込んで声をかけてくる。
「あ…ごめんなさいっ…ついうとうとしちゃって…」
私は起き上がろうとした。
肩にかけてあったシーツがばさりと落ちる。
彼がかけてくれたのだろう。
「あ、ありがとう…ライくん」
私がそういうと、彼は二コリと笑う。
だが、すぐに暗い顔になった。
「実はね…セシルさんに謝らないといけない事があるんだ…」
その真剣な表情に私はドキリとする。
心の中の不安という闇の塊がはちきれんばかりに大きくなっていく。
「実はね…」
言いにくそうな彼の表情がますます私を不安にさせる。
「急だけど……僕と結婚してくれないかな…」
しかし、その後に出た言葉に私は呆気にとられ、拍子抜けしてしまった。
私は、別れ話でも持ちかけられると思ってしまっていたのだ。
「へ?!」
まるで魂が抜け出てしまったかのような表情をさらしてしまう私。
「驚かせてごめん…。本当は、じっくり話すつもりだったんだ。
でも…ユーフェミア様とスザクの二人にハメられてしまって…」
苦虫を潰したような彼の顔を私はこの時始めて見た。
それほど苦渋の選択なのだろう。
「無理に結婚しなくてもいいよ…。私は、ライくんの側にいられれば幸せだから…」
私は寂しそうにそういう事しか出来ない。
「違うんだっ、セシルさん。僕も本当はセシルさんと結婚したいし、そのつもりだったんだ」
彼が慌ててそう言う。
「だけど…なんかまわりの思惑に乗せられて結婚なんて…セシルさんに申し訳なくて…」
すまなさそうに私を見る彼の目は嘘をついてなかった。
それで私は安心した。
「そうね…。経過を話してくれないとなんともいえないわね…」
私は、にっこりと笑うと彼に説明を求めた。
なんでもスザクくんとユーフェミア様の二人が私たちの事を話していたのが発端だったらしい。
たまたま特区日本に滞在していたノネットさんがその話にまず参加。
その後もそのままいろんな人がその話題に飛び入り参加していき、いつしか酒宴へとなだれ込んでいった。
そして、あろうことかアルコールの勢いとはいえ、私とライくんの結婚の話なってしまい、夜中にライくんが呼び出されてしまったのである。
で、酒に酔ったユーフェミア様や他の女性陣にたっぷりと説教されて帰ってきたのが今朝の早朝。
あの疲れきった表情は、そういうことだったのか…。
そこまで聞いて、私はほっとすると同時に不安になった私の心の弱さが恥ずかしくなった。
さらに政庁に着いてすぐ呼び出しを受け、二日酔いのユーフェミア様に今夜申し込みなさいとまで言われ釘を刺されたらしい。
ああ、だからなのか…。
彼がこんなに苦しんでいるのは…。
彼は人一倍相手の気持ちを重んじる。
だから、私の気持ちを考えて苦しんでいるのだろう。
それを解き放つ方法は一つしかない。
そして、その方法は私にとって幸福への切符。
だから、説明を聞き終わった後、私は彼に言った。
「確かに、周りの思惑に乗せられて結婚というのはいただけないわ」
彼が可哀想になるほどしゅんとなる。
「だから、ライくんがよければだけど、明日、籍だけでも先に入れちゃいましよう」
「え?」
彼が驚いた表情で私を見つめる。
「周りの思惑に乗るのは嫌だけど、私もライくんも結婚したいって思っている事にかわりないんだから問題ないでしょ?
それに、これぐらいやって度肝を抜かさないと気がすまないわ」
私は、そういうとにっこりと笑う。
呆気に取られていた彼だが、すぐに釣られたかのように笑いだした。
「そうだね。セシルさん」
彼は笑いながら私を抱きしめてくる。
私も彼を抱き返す。
そして、ゆっくりと口付けを交わした。
その後、唇を離して彼はゆっくりと私に囁いた。
「明日は、仕事を休んでくれないかな…。二人で一緒に行きたいんだ。籍を入れに…」
その言葉に私はうなづく。
「もちろん喜んで…」
そして、その夜、二人は夜遅くまで楽しそうに明日の計画を練っていた。
周りの皆を驚かせて出し抜く為に…。
そして、二人で幸せになっていく為に…。