コードギアス反逆のルルーシュ ロストカラーズ 短編集 作:アシッドレイン
ジャンル ラブコメ?w
「はぁ~……」
思わず大きな溜息が出てしまう。
無意識なだけに自分自身が少し驚く。
だからだろうか。
さっきからリヴァルがこっちをちょろちょろと気にして見ていた。
「ん? どうしたんだい、リヴァル……」
さすがに声をかけるべきだろう。
そう思ってこっちから声をかける。
「あ…、あはははは……。いやぁ、さっきから溜息ばかりだし、どうしたんだろうって思ってさ」
リヴァルが苦笑しながら答えた。
「えっ? そんなに溜息してたか?」
思わずそういうと、今度は思いっきりリヴァルが呆れた表情で溜息をついた。
「無自覚すぎるのも駄目だと思うぜ、ライ」
うーーーん。
さっきの大きいのは、自覚したけど、そんなに溜息ばかりだったろうか。
少し考えてみると……ああ、多いな。
納得してしまう。
「どうしたんだよ…。俺でよければ相談に乗るぜ」
僕の顔を覗き込むようにリヴァルが言う。
それは多分、友人して心配してくれたからに違いない。
だが、その浮かぶ笑顔の中に邪気が混じっているような気がするのは気のせいだろうか……。
いかん、いかん……。
最近は、ミレイさんにいいように遊ばれてしまっているから、ついつい被害妄想的な考えが浮かび上がってくる。
友人を信用しないと駄目じゃないか。
そう思いなおし、リヴァルに笑顔を向けた。
「いや…、気にしないでくれ……。大した事……」
そこまで言いかけて、リヴァルの言葉がその先を言わせない。
「そんなわけあるかよ……。ここ最近、ずっとじゃないかっ」
真剣な表情になったリヴァルの顔が間近にある。
その表情に圧倒された。
「俺じゃ…たいした事出来ないと思うけどさ。相談ぐらいなら乗ってやれるぜ。俺ら友達じゃないかっ」
その言葉に胸が少し熱くなった。
いいもんだな……、友達って。
だからだったのかもしれない。
僕は、今、心の大半を占める悩みを彼に話してしまっていた。
「告白したいだってっ?」
リヴァルの大きな声に思わず唇に指を立てて、静かにというゼスチャー。
それで慌てて自らの口に手を当ててまわりを見回すリヴァル。
もちろん、僕もきょろきょろと周りを見回している。
「で……誰だよっ」
表情が完全に興味津々モードになっている。
うううっ。
言うんじゃなかったかな。
ちと後悔が頭をもたげる。
それに気が付いたのだろうか。
「まぁ、いいや……。誰にも言いにくい事ってあるからなぁ」
リヴァルが慌てて無関心を装う。
多分、聞きたいんだろうけど、その変は空気を読んだのだろうか。
リヴァルににしてはとても、いや本当に珍しいと思う。
「で…、何に悩んでいるんだ?」
その言葉に、僕はおずおずと話す。
「実は、どうすればより確実にOKがもらえるかと思って……」
その言葉にリヴァルも考え込む。
「うむー……」
納得できるのだろう。
ちなみに、確実にOkをもらえるというそんな方法があれば、彼にだって彼女の一人か二人は出来ているに違いない。
「どんな方法でも、ミレイさんだったら冗談で流されそうなんだよなぁ……」
無意識のうちに言葉が漏れる。
「なにーっ……。会長相手なのかっ」
驚愕の表情でリヴァルが固まった。
しまったーっ。
だから、言わないようにしていたのに。
彼だってミレイさんを狙っているライバルなのだ。
なんで言ったんだよ。
自分自身がなさけなくなくなってしまう。
そして、心の中で後悔が大きくなっていく。
だが、そんな僕を気にしたのだろう。
リヴァルがポンポンと肩を叩く。
「確かに、そうなってくると問題だよな」
その言葉がますます僕の中の後悔を大きくさせていく。
「でもさ、恋はライバルだけど、ライとは友人でもあるからな」
少し無理したような明るい声。
すまなくなって謝罪の言葉が口から漏れた。
「ご、ごめん……」
「なぁに気にするなって」
そういうと大きく笑う。
少し悔しそうな笑いだと僕は思った。
そして、言葉を続ける。
「正々堂々と勝負だからな、恋に関してはっ。でも……、今はライの友人の一人として相談に乗るぜ」
思わず、その言葉に泣きそうになる。
リヴァル、君って奴は。
感動して言葉にならない
そんな僕を気にせず、リヴァルは話し続ける。
「確実じゃないけど、この国のすごく好感度を与える告白の方法を教えるよ。それでやってみたらいいよ」
その言葉に、僕はますます感動してしまう。
リヴァル、今、僕の中では、君は親友に格上げされたよ。
ありがとう。
本当に、ありがとう。
僕は、そんなリヴァルに最大限の感謝を感じながら、彼の話をしっかりと聞いたのだった。
そして、それから2日後……。
すべての準備が揃い、僕はついに決心する。
告白しょう……。
リヴァルには申し訳ないけど、彼の言うとおり恋は戦いなのだ。
ごめん……。
心の中で何回もリヴァルに謝った後、僕は彼女の元に向かった。
そして、運良く屋上で一人佇むミレイさんを見つける。
よしっ、チャンスだ。
僕は、彼女に近づいた。
ギクシャクした動きになってしまうのは、緊張しているためだろうか。
いかん、いかんっ……。
落ち着くように自分自身に言い聞かせるが、なかなか難しい。
今度、自己暗示でも練習しようかなと思ってしまう。
いやいや、今はそれどころではない。
僕は、本気なのだ、
そして、今こそ正念場。
よしっ。
やるぞっ。
そう決心したのはいいのだが、怪訝そうなミレイさんの顔が、僕を見ている。
いかん。
ともかく話して雰囲気を作るなり、流れを作らなければ。
「や、やぁ……。いい天気だね」
まずは、きっかけを作らないと。
そう思って、軽く挨拶をする。
「そうね……って、この天気が?」
ますます怪訝そうな顔になるミレイさん。
よく考えたら、今日は、曇っている。
いかんっ……。
別の話題をっ……。
慌ててそう考えるものの、パニックになった僕の頭でいい考えが浮かぶはずもない。
ただ、告白しなきゃ…という思いだけが空回りを続けている。
だからだろうか、思わず口走ってしまっていた。
「ミレイさんに告白しなきゃいけないんだっ」
その言葉に、ドキリとなったのだろう。
驚いた表情のミレイさんが目に入る。
しまったっ。
なんてストレートな事を口走ってしまったんだよ、僕はっ。
馬鹿っ。
大馬鹿じゃないかっ。
こう、すーっと何気ない感じで話に持っていくはずだったのに。
だが、焦っても慌てても仕方ない。
僕は考え直す事にした。
そう、現状は、刻一刻と変化しているのだ。
臨機応変。
現状をうまく利用しなければ。
だが、そうは思っても、うまくいかないのが人生だったりする。
言わなきゃと思う心と迷う心がごちゃごちゃになって、心臓がパクパク言っている。
えーいっ。どうすればいいんだよ。
僕は、混乱の極致だった。
だが、助け舟は、ミレイさんの口から出た。
「告白って……」
そう、僕がテンパっている間に、ミレイさんの方が先に落ち着いたのだろう。
恐る恐るといった感じだが、聞いてきてくれる。
ううっ……。
ありがとう、神様。
思わず、拝みたい心境になった。
これでもう言うしかない。
こうなったら、開き直りという訳ではないのだが、心が落ち着いてくる。
「実は、ミレイさんに言わなきゃいけない事があるんだ」
ドキリとするミレイさん。
「もしかして……来週の買い物につき合わせて、荷物持ちさせてやろうとか考えていたの、バレた?」
「へ?」
「それとも、今度、女装させてルルーシュとどっちが色っぽいか競わせようと計画しているの知っているとか……」
「はぁ?」
僕のリアクションにしまったという表情のミレイさん。
多分、今、彼女の中ではすごく後悔しているに違いない。
「そうですか……。そんな事考えていたんですかっ。大変いい情報、ありがとうございます」
思わず皮肉っぽく礼の一つも言ってしまう。
また、いろいろ考えていたんですねっ。
本当に、貴方って人はっ。
そうは思ったが、それでも好きになってしまったんだよなぁ。
そんな事を考えている僕を余所にあちゃーという表情で苦笑して誤魔化そうとするミレイさん。
「じ、じゃあ、何?……」
そう言われ、僕は本来の目的を思い出す。
そうだ。
僕は、ミレイさんに告白しょうと思ったんだった。
すっかり、忘れかけていた。
何やってんだよ、僕は。
深呼吸をして、心を落ち着ける。
さっきのミレイさんの告白で、なんかすっかり緊張が抜けていい感じだ。
一瞬、もしかしたら、ガチガチの僕の事を思って言ってくれたのかもしれないって思ってしまいそうになる。
まず、絶対にありえないと思うのだが……。
だが、今はそれよりも大事な事がある。
「ミレイさんっ」
声が普段より一段と大きくなってしまうのは、仕方ないのかもしれない。
どうしてもそうなってしまうのだ。
「は、はいっ」
思わず返事をしてしまうミレイさん。
普段の姿から想像できないほど、彼女も実は緊張しているようだ。
「僕は、ミレイさんのこと……が……」
深呼吸を入れる。
落ち着け、落ち着けっ。
そして一気に言ってしまう。
「……好きなんだっ……。だから、僕と交際して欲しい」
よしっ。
言えた。
言ったぞ。
そして、すかさず用意したものを彼女の目の前に差し出す。
それは1つの封筒だった。
いきなりの告白に、私はドキドキしながら封筒を受け取った。
まさか、彼から告白されるなんて……。
心が激しく動悸を繰り返す。
だが、疑問があった。
告白はいいとして、この封筒は何?
ラブレターとは違うだろうし……。
疑問に思いながら、私は封筒の中身を確認した。
「にゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
無自覚で出たとはいえ、我ながら変な声だとは思う。
だが、それほど封筒の中身は、予想外のものだった。
封筒の中にあったもの。
それは、自分の記入分はしっかり書き終わった婚姻届だった。
えーっと……これって……。
告白じゃなくてプロポーズ?
そう考えたが、彼は「付き合ってくれ」とはっきり言っていた。
だとすると……。
もしかして……。
ライの表情をすばやく観察する。
彼は、私のへんな声に驚いてきょとんとしている。
いや、唖然としているのかもしれない。
それに、まったく今の状況を把握しきれていないようだ。
それで納得した。
ああ、そういう事か……。
「この告白の方法は、誰から聞いたの?」
私は、自然を装って聞いてみる。
私の質問に、ますますきょとんとなる彼。
ああ、なんて可愛いんだろう。
ふとそんな思いが胸の奥から沸き起こる。
「えっ、リヴァルからだけど……」
そんな私の思いを知らず、母性本能をくすぐるかのような表情のまま答えるライ。
あーんっ。やっぱりかわいいっ。
でも、今は我慢だ、我慢っ。
それにしても、本当に予想通りの相手の名前が出てくるとはねぇ。
だから、私は笑いながら真実を告げる事にした。
「ライっ。貴方、リヴァルにからかわれているのよ。交際お願いするのに婚姻届なんて普通はいらないって……」
まぁ、この方法のほうが確実にゲット出来る場合もあるけど、多分、それはほんの少数だし。
リヴァルもそこまでは考えていないだろう。
「大体、交際する前にプロポーズしてどうするのよっ」
その言葉に真っ赤になるライ。
多分、やっと彼も自分が何をやったのか理解したのだろう。
「まんまと引っかかったわね。本当にしょうがないんだからっ」
私がそう言うと、ますます真っ赤になる。
それも可愛いと思ってしまう私。
「くそっ、リヴァルに文句言ってくるっ」
ついに場の雰囲気に耐えられなくなったのだろう。
そう言って彼は逃げる様に駆け出していった。
本当にもう……。
苦笑が漏れたが、それは決して嫌なものではなかった。
いや、どちらかというとほんわりとした心地よい気分だ。
そして、ますます彼のことが好きになっている自分に気が付く。
なんか、こういうのもいいかな。
そんな気持ちだった。
そして、彼が去った後に気が付く。
私の手元には、しっかりとライの記入済みの婚姻届が残される事に。
しばらくそれを呆然と見ていたが、いつの間にか私の頭の中にある考えが浮かんでいた。
これがあれば……合法的に、ライはあたしのもの。
そうだわ。
そうなのよね。
ふふふふっ……。
頭に浮かぶその考えに、私はゾクゾクした。
実際、彼を狙っている女性は、とても多い。
だが、これさえあれば……。
いつの間にか、私は笑い出していた。
そして、初めてリヴァルに感謝した。
リヴァル、ありがとね。
こんなにいいものが手に入るようにしてくれて。
だが、そう思ったのはほんの少しの間だけだった。
なぜなら、すぐにこれをどううまく活用するかを考え始めていたからだ。
そして、ライの受難な日々が始まった。
《おわり》