コードギアス反逆のルルーシュ ロストカラーズ 短編集 作:アシッドレイン
分類 「昼ドロ」
注意点
前作「合流の夜に…」の続編になります。
ちょっとエロ描写が入ってます。
ライが流されまくってます。
あれ以来、ライくんは少し変わったようだった。
黙々と訓練に励み、黒の騎士団の一員としての仕事をこなしていく。
以前いた頃よりも何倍も…。
ほとんどの人は、日本解放戦線にいたからと思っているようだが私はそうは思えなかった。
なぜなら、時折見せる彼の表情が苦痛と悲しみに満ちていたから。
そう、まるで苦しい事から逃げるように任務に取り組んでいるようだ。
だが、私には声をかける勇気はなかった。
声をかけてしまったら、多分、私はもう押さえ切れなくなりそうだったから。
そこまで私の中の彼への思いは、強くなりつつあった。
そんな時だった。
カレンが私に相談に来たのは…。
「最近、ライ、すごいんですよ」
まるで自分の事のように喜びながらカレンが話す。
「私でも1対1で互角にしか戦えない四聖剣の人たちをこの前なんか2対1で倒しちゃうんですよ。ほんと、強くなったなぁ…」
その姿が、その笑顔が、今の私には疎ましい。
カレンには、彼の悲痛な思いはわかってない。
だから、そんな無邪気な彼女の笑顔や思いに虫唾が走る。
「で…相談って何かしら?」
なんとか彼への思いと今の感情を心の底にしまい込み、笑顔で話を進めようとする。
「あ、そうでした。あのですね…ライの事なんですけど…」
彼の名前が出るたびに、心の底にしまい込んだはずの彼への思いが暴れだす。
「最近、いろいろ忙しいみたいで、合流してからゆっくり話すことが出来てないんです。
だから、井上さんに彼との橋渡しをお願い出来ないかなって…」
カレンは、少し赤面しつつ、私の顔を覗き込むように見ている。
その表情には、信頼と姉に甘えるような感情が交じり合っていた。
「いいわ。わかった。セッティングしてあげる」
私はそう言って無理やり笑顔を作った。
なんとか、湧き上がる別の感情を押し殺しながら…。
訓練が終わり、僕はゆっくりと月下のコックピットから降りた。
「少尉、本当に腕を上げたな」
千葉中尉が、タオルを僕に渡しながら声をかけてくる。
「いえ、まだまだです。中尉」
僕は、タオルを受け取ると汗だくになった顔を拭いていく。
「ほほう、我々3人がかりと互角に戦えるようになっても、まだまだとはな…」
仙波大尉がにこやかに笑いながら、近づいてくる。
「まったくだ。それだけ貪欲なら、もっともっと強くなるぞ、お前は…」
そう言いながら僕の背中を叩くのは、卜部中尉。
「確かに…。今のお前なら、藤堂中佐の懐刀と言われても問題ない」
千葉中尉が笑顔で同意する。
「そのうち、四聖剣ではなく、五聖剣に変えなくてはならないかもな」
「そうだな。少尉さえよければどうだ?」
仙波大尉の提案に、賛成しながら卜部中尉が聞いてくる。
その配慮はすごくうれしい。
だけど、僕は丁寧に辞退する。
「まだ、朝比奈中尉には、負け越してます」
その僕の答えに、三人は歓声を上げる。
「わかった。少尉が朝比奈に勝ち越したら、五聖剣と改名しょう。わはははは」
仙波大尉が楽しそうにそう宣言すると残りの二人も笑顔で合意する。
僕もその提案を受け入れるとシャワーを浴びるためにシャワールームに移動した。
そして、シャワールームのドアの前には、井上さんが僕を待っていた。
「あのね…。話があるの…。時間作れない?」
思い詰めた表情で僕に聞いてくる。
「あ…はい。シャワーの後なら…」
「いいわ。じゃあ、演習場の近くの公園で待ってる」
「はい…」
僕は、そう短く返事をする。
なぜなら、井上さんの唇に気をとられてしまいそれだけしか言えなかったから。
「じゃあ…ね」
井上さんも言葉少なげにそう言うと去っていった。
僕は、その後姿を見えなくなるまで見送り続けていた。
15分ほどして、ライくんは公園にやってきた。
もっとも公園といっても今は瓦礫の山になっているのだが…。
「井上さん、お待たせしました」
彼は待っていた私にそう声をかける。
「いいえ。こっちが誘ったんだもの…。気にしないで」
そう答えた後、言葉に詰まる。
カレンのお願いを伝えるだけだなのに…。
それだけで済むはずなのに、私の中にある彼への思いが伝える事を拒もうとしている。
でも…伝えなきゃ…。
彼はきっと喜ぶだろう。
だから、伝えなきゃ…。
私は、そう決心すると搾り出すようにカレンのお願いを言葉にする。
「あのね…ライくん。カレンがね…」
そこまで行って、一息入れる。
落ち着け、落ち着くんだ。
伝えよう。
彼の笑顔の為に…。
「貴方とゆっくりお話したいから…今度…時間…」
そこまで言った時、私はライくんに抱きしめられていた。
「いいんですよ、無理しないで…井上さん」
彼の悲しそうな声が耳元で聞こえる。
「でも…言わなきゃ……伝えなきゃ…貴方の為に…」
「いいんです。いいんですよ。そんな辛そうな井上さん見たくない…」
「そんな……私、辛いなんて思ってない…」
私を抱きしめる強さが強くなる。
「だって、なんでそんなに辛そうなんですかっ…なんで泣いてるんですかっ…」
そこまで言われ、私は自分が泣いている事に気が付いた。
そして、それを自覚した途端、一気に心の底にしまい込んだ彼への思いが一気に溢れ出す。
「ライくんっ……私……私っ…」
もう、抑えるものがなくなった彼への思いは、心の中に一気に広がり満たしていく。
駄目…。
もう、駄目…。
私は、彼の背中に手を回すと抱きしめ返す。
そして、ライくんの顔を見上げるように見つめる。
彼も私を見つめ返す。
自然と唇と唇が近づき…そして重なり合った。
御免なさい…カレン。
だけど…私…。
私…やっぱり…。
今、私の心は罪の意識と満たされる満足感がごちゃごちゃに混ざり合っている。
お互いの唇が離れ、再び見詰め合う。
もう、歯止めは利かない。
再び唇と唇が重なり、私はゆっくりと彼に押し倒される。
背中に当たる土の感触が、時折私の理性に火を灯すものの、それはすぐに甘い情熱の波に消されてしまう。
「井上さん…」
唇が離れ、潤んだ瞳で見つめられる。
私の心は、それだけで蕩けそうになってしまう。
「いいわ…ライくん……」
私は、ゆっくりとうなづく。
彼の唇が首筋を這い、衣服に手がかかる。
私はその行為を受け入れていく。
後戻りは出来そうになかった。
甘い吐息が口から漏れ、より熱い情熱が私の心と身体を焦がし、甘い刺激と満足感に私のすべてが塗りつぶされていく。
もう、罪の意識はまったくなかった。
ただ、この時間が長く続けばいいのにという思いだけが心を満たしていた。
訓練の後、私はライの今日の訓練の映像記録を見ていた。
「すごい。本当に…すごい…」
自然と口から感嘆の言葉が漏れる。
紅蓮の量産型とはいえ、月下はワンランク下のナイトメアフレイムだ。
それなのにこの動き。
私が紅蓮を使っても、こんな動きは出来ない。
それを行うには、相手の動きを読み、正確に素早く操作する必要があるだろう。
私は、鮮やかな動きで月下三機を翻弄する蒼い月下に魅入っていた。
「すごいな…」
その時、私の後ろから声が聞こえた。
私が後ろを振り向くと、そこには戦闘訓練の映像を同じく見ていたゼロの姿があった。
「あ…ゼロ。いつの間に…」
「すまないな。さっき来て声をかけようと思ったが、彼の月下の動きがあまりにも鮮やかでね。思わず見とれてしまっていたよ」
「そうですね…。すごいですよ…彼は…」
再び、私は画面の蒼の月下に魅入っていた。
「ふっ…。まるで恋する乙女のようだな」
唐突にゼロがそんな事を言い出す。
「えっ…な、なんなんですかっ…」
私は、焦って後ろを振り向く。
そんな焦る私を見ながら、ゼロは言葉を続けていく。
「いや、すまない。ただ、まるで恋人でも見ているかのような気がしたのでね。それでつい口から出ただけだ」
「そ、そんなこと…」
私は、反論しようと一瞬思ったが、その考えは私の中から湧き上がってくる別の感情によって掻き消された。
「ただ、本当に好きなら、しっかりする事だ。彼の事を狙っている女性は多そうだからな」
冗談とも本気とも取れる口調でそういうとゼロは部屋を出て行った。
私は、そのゼロの言葉で心が揺れた。
私はライのことをどう思っているのだろう。
その疑問が私の心に芽生え、心の中を乱す。
そして、私の中に新しく湧き上がってくる感情。
そう、彼のことを独占したいという思いに戸惑っていた。