ゾッド(転生者)が往く、キングダム世界での戦場暮らし 作:名無しのモブ騎士
そうだ! ゾッドにしよう!
それで書きました
「よし! ミッションクリア!」
俺は画面上に移るミッションクリアの文字を見て思わずガッツポーズをした。今プレイしているベルセルク無双というゲームを始めて30……時間以上。頭がふらふらになりながら無事に全ステージをクリアしたのだ。
「ふふふ、これでゾッドを使用して全てのステージクリアだ……」
今使っているキャラクターはゾッド。
「あ、駄目だ。もう限界」
そんなゾッドを使って全ステージをクリアしたわけだがさすがに眠くなってきた。これ以上はさすがに起きていられない。幸い、ゲームはオートセーブだ。ゲームが自動的に切れてもデータは残るだろう。
さて、起きたら次のキャラクターでクリアだな。グリフィスか、キャスカか。オズワルドでもいいかもしれないな。ああ、眠気さえなければずっと、続け、る……の……に……。
紀元前645年。この年、中華の西側、秦国は未曾有の飢饉に襲われた。時の秦王穆公は隣国である晋に対して援助を求めたが今は戦国時代と称される群雄割拠の時代。そのような隙を見せた秦を晋は侵攻という形で答えを出した。その前に、晋が飢饉に陥った時には秦に助けられていたにも関わらず。
当然ながらこの事に対して穆公は怒り狂い、兵をあげた。穆公は自ら兵を率いて晋に攻め込むも返り討ちに遭い、絶体絶命の窮地に追い詰められたのだ。
しかし、そんな彼を救ったのは秦の西側に位置する山岳民族、山の民だった。彼らは穆公との交流があり、友を助けるべく戦場に駆け付けたのだ。山の民の戦い方は苛烈であり、味方であるはずの秦の兵士たちすら絶句する程だったが兎にも角にも彼らのおかげで穆公は窮地を脱する事に成功したのだ。
そして、山の民は勢いそのままに晋に侵攻し、晋王を捕えてしまう。それが
「馬鹿な……!」
「あの山の民が……!」
山の民に送れる形で侵攻を開始した秦の兵士たちはそこで悲惨な光景を目にすることとなった。なんと彼らの窮地を救った山の民がたった一人の男に蹂躙されていたのだ。
その男は腰布をまとっただけの裸体と変わらぬ姿であり、来た抜かれた逞しい肉体をあらわにしていた。刀身程はありそうな大鉈と戦斧を軽々と振り回すは人よりもでかいその体躯があってこそだろう。そんな彼が一振りすれば山の民が軽々と吹き飛び、彼らの攻撃は頑丈な肉体に阻まれて傷すら負わせられていなかった。
「ぬおおぉぉぉぉっ!!!」
そして、最後の一人が両腕をクロスさせて振り下ろされた一撃で肉体を4つに分解されて絶命した。よくよく見れば彼らの死体は分断されていない者が少ない程であり、目の前の大男の実力を示していた。
「……む? また新たな敵か」
「っ! 構えよ!」
一息ついた大男は穆公に気が付くが穆公も我に返り兵士たちに指示を出した。兵士たちは慌てて槍を構えるがそんな彼らを見て大男はつまらなそうに息を吐くと武器を下した。
「……なんの真似だ?」
「つまらん。貴様らからは強者の匂いがしない。こいつらとは違い貴様らと戦ったところで我が欲望を満たす事は不可能だ」
既に興味を失ったのか大男は近くにいた馬に跨り、穆公とも、晋王率いる軍勢とも違う方向へと進みだした。あまりな言い方だがそれを言ってのけるだけの力は今見たばかりであり、穆公達秦軍はただただ大男を見送る事しかできなかったのだった。
これ以降、中華各地で大男が目撃されるようになった。大男はある時は敵として、ある時は味方として様々な戦場を渡り歩いた。何度もスカウトの話を受けていたが一度たりとも話を受け入れる事はなく、本人の気の赴くままに戦場に武をまき散らしていった。
そして、それが百年、二百年と続いていくうちに人々はそのあまりにも特異な大男を畏怖を込めてこう呼ぶのだった。
不死のゾッド、と。