走者がガバったら(世界が)即終了チャート はーじまーるよー!   作:私は地を統べる

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やっと藍染惣右介っぽいことさせられる~!次回から平和な日常を送りますよ。たくさん根を張っとかないとね。暗躍もします。


お気に入り、しおり、感想、評価、ここ好き、誤字報告ありがとうございます。全部見てるよ…♡
アニメBLEACH、めちゃくちゃ良かったですね!
雁字搦めの藍染惣右介が脳内にこびりついて離れません。





玖頁

 

 ★★年★月★日(★) 晴れ

 

 父の葬儀を執り行った。

 葬儀と言っても、それほど畏まったものではない。湯灌や死化粧は行うが、通夜や告別式は行わず、木製の棺に参列者が花を入れるだけの簡素なものだ。

 喪主は母の代わりに僕が務め、父が生前親しくしていた人達だけを招いた。父は流魂街出身で親族が居らず、母とは駆け落ち同然で籍を入れたので、母方の親族は来なかった為だ。

 

 葬儀には五番隊を代表して平子さん、京楽隊長と共に浮竹さんが参列してくれた。

 浮竹さんは体調が優れない中で来てくれたらしい。ありがたいが、無理はしないでほしいと思う。

 

 浮竹さんは僕の顔を見ると、何だか泣きそうな顔をして色々と話し掛けてきた。「今まで顔を出せずに申し訳ない」「背が大きくなったな、こんなに小さかったのに」と言いながら米粒をつまむように指をすぼめていた。その大きさはもはや受精卵じゃないだろうか。

 それに加えて、山のように菓子を渡された。袖から鼈甲飴に煎餅、羊羮、草餅、練り切りまでもがドサドサと出てくるので少し引いてしまった。浮竹さんの死覇装には何か術でも掛かっているのか…?七緒くんと分けて食べようと思う。

 

 遺体は、父の出生地である西流魂街の矩則(かなのり)*1へと埋葬することになった。

 尸魂界では土葬が主流だ。体は塵となり尸魂界を容作る霊子になる。だから燃やす必要がないし、そのような文化もないのだろう。

 献花に埋もれた青白い顔の父を見ても、不思議と涙は出てこなかった。未だに現実味がないのかもしれない。…そもそも僕に悲しむ権利はないだろうけれど。

 

 埋葬を終えた後、浮竹さんに小袋を渡された。どうやら父が浮竹さんに託していたものらしく、「俺が死んだ後、息子に渡してくれ」と頼まれていたそうだ。

 封を開けると、黒縁の眼鏡が入っていた。度の入っていないそれは、藍染惣右介が掛けていたものに良く似ている。

 …眼鏡あったんだ。良く考えてみたら、初代護廷十三隊の八番隊隊長も眼鏡を掛けていたし、尸魂界には昔からあったのかもしれない。良く考えたら、八番隊には眼鏡属性が多くないか?

 

 

追記

父は(藍染惣右介)の人生を読んでいたのだろう。

…何となくだが、歌匡さんの死の運命を変えたのは父なのではないかと思う。

 

 

 

 

 

 ★★年★月★日(★) 晴れ

 

 僕の移籍を惜しむ会?お別れ会?が開かれた。仲の良かった隊士達が同士を募って開催してくれたらしい。

 叫び声のような嗚咽をあげる者、泣きながら抱きついてくる者と、結構激しい会だった。

 ここまで八番隊の隊士に好かれているとは思っていなかったので正直驚いたが、凄く嬉しかった。ただ、酔った勢いで僕の事を胴上げするのはやめて欲しい。天井に当たりそうで怖い。

 

 「藍染三席が居なくなったら、誰が隊長と副隊長のサボりを止めるんですか~!」と泣きつかれたが、それを言う相手は僕じゃない、京楽隊長と矢胴丸副隊長本人達に言ってくれ。…最悪の場合は総隊長に愚痴れば良いと思うよ(希望的観測)

 矢胴丸副隊長には「あんたが居らんかったら、あたしの休憩時間が減るやんけ」と言われた。休憩時間じゃなくてサボりの間違いですよね?僕が居ても居なくても仕事はしてください。

 

 その後、結局酔い潰れてしまった皆の代わりに僕が後始末をしたのだけれど、その最中に「君ならどこでもやっていけるさ」という言葉が聞こえた。声のした方へ顔を向けると、傘で顔を隠した京楽さんが寝転んで居て…、

 純粋にカッコいいなと思ってしまった。こういう事をさらっと言ってしまえるのがなんかこう、粋と言うか…

 でも、格好つける前に片付けを手伝って欲しい。声を掛けたのだが下手な狸寝入りで誤魔化された。この野郎…

 

 

追記

贈り物まで頂いたので、家に帰った後、早速袋を開けてみた。

眼鏡拭きに毛筆*2、ツボ押し棒*3、灘酒*4、春画*5…等、色々入っていた。

素直に嬉しい。大切に使おうと思う。

 

 

 

 

 

 ★★年★月★日(★) 晴れ

 

 東仙要が なかまに くわわった!

 …いや、軽々しく書いているがわりと悩んだよ。

 

 要は当初、僕の父のことを恨めしく思っていたようだった。彼の親友である歌匡は、僕の父と綱彌代時灘の争いによって重傷を負ってしまったからである。これは紛れもない事実であり、どんな事情があろうと無実の人を巻き込んでしまった時点で父の過失でもある。

 

 しかし、僕が受けた取り調べの内容を伝えると要は「不貞を働く?彼女(歌匡)がそんなことをする筈が無い!」と怒りを露にしていた。これは綱彌代家が作り上げた虚偽の証言であり、そのような事実は無いのだから、そう思うのも当然である。

 

 要は僕の父と歌匡は綱彌代時灘に利用されたのだろうと当たりをつけ、綱彌代時灘、というより、死神に対して嫌悪を露にしていた。彼は世界どころか自身さえも焼き付くしてしまうような激しい憎悪を抱いていて、僕が言うのも何だが、危ういと思ってしまった。だから僕は、その復讐心を預けてみないかと提案したのである。…これが、良い選択だったのかは分からない。

 

 そうして会話を続けていた最中、要に「貴方は憎く思わないのですか?」と聞かれた時、僕は言葉に詰まった。

 

 憎い…というよりも、世界に対する失望が大きいのだと思う。

 えなさんの一件や、父の事。無力な自分が許せなくて、この世界の理不尽さに絶望した。僕は遣る瀬無い気持ちと、理不尽に対する怒りを抱え続けている。

 ただ、そんなぐちゃぐちゃな思考でも、この世界をより良い方へ進ませたいと思っている。正しいとは言い難い歪な手段でも、この世界の平和を護りたいし、腐った部分を変えたい、それは紛れもない僕の本心だ。

 

 そんな気持ちを僕は吐露していた。今思えば、藍染惣右介からあまりにも掛け離れた弱々しい言葉だったと思う。けれど、要はそんな僕に失望することなく、僕の手を取ってくれたのだ。

 何故なのだろう…?疑問に思うが、とにかく、要と僕は手を組んだ。そうして、要の霊術院入学に向けて僕が指導することになったのだ。七緒くんを含めて生徒が二人…。

 

 

追記

要と話す時だけ一人称を「私」にしているのだけれど、漫画キャラの口調を真似する中学生のような、絶妙な恥ずかしさを覚えて苦しい。いや、ヨン様ムーブをしているわけだし間違いではないのだけれど。何なら普通に話している時も、素の口調とは言いきれないのだけれど。

社会人の時も取引先相手には「私」だったし、照れることは無いのに、なんかこう、部下?相手に話しているからそれとは違うような…ウワーッ慣れたい!早く慣れたい!

 

 

 

 

 

 ★★年★月★日(★) 晴れ

 

 今日は、僕が五番隊へ異動した日だった。

 

 五番隊の門をくぐったその足で平子隊長の元へと出向き、挨拶をする。そうして、新しい環境にやる気を満ち溢れさせた僕に向かって、平子隊長は

 

ほな、これからは副隊長としてヨロシクな♡

 

 という言葉と共に、副官章を手渡してきたのだった。

 

 …。……。………。

 

己れ 京楽 次郎 総蔵佐 春水ェ~!
*6

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

 

 

 

 渡された副官章を呆然と見つめる、本日から五番隊へと移籍した、藍染惣右介。

 そんな彼の様子を不審に思う五番隊隊長、平子真子。

 微妙な空気が流れる室内で、惣右介は震える声で平子に質問した。

 

「あの、これって」

「これ?…副官章やけど」

「あの、それは、僕が五番隊の副隊長に任命されるということで間違いないでしょうか…?」

 

 その言葉に身体を硬直させる平子は「え、京楽さんから聞いとらんの?」と困惑しながら言った。「何も聞いてないです」と同じく困惑しながら答える惣右介。

 

「ホンマに?」

「本当です」

「マジで?」

「マジです」

「…実はぁ~?」

「本当に何も聞いていないです。天丼は二回目までですよ」

 

 天丼知っとるんか…とぼやく平子を横目に、惣右介は深い深い溜め息を吐くと、恨ましげに事の予想を告げた。

 

「大方、京楽隊長が伝え忘れたのでしょう。もしくはわざとか…」

「なんや、いつもの事なんかコレ」

「ええ、まあ、はい」

 

 マジで呆れています。みたいな顔をしながら、負のオーラを纏う惣右介。そんな彼の様子を見て「オマエも苦労しとるんやな」と慰めの言葉を掛ける平子。

 その言葉を聞いた惣右介は、八番隊に所属していた頃の苦労を思い出し、寂しさと怒りで拳を握りしめる。ギリギリときつい音がするその拳を見た平子は、(ホンマに苦労しとったんやな…)と思い、マリアナ海溝のような深い同情心を惣右介に抱いたのだった。

 

 ごほんと、わざとらしく咳をすると、胡座をかいた状態で頬杖をつきながら、心底、面倒臭そうに平子は話し始めた。

 

「あのオッサンがオマエを五番隊の副隊長に推薦したんやで」

 

 

 数日前、平子は京楽から「藍染惣右介を五番隊副隊長に据えてみないか」という話を持ち掛けられた。

 

 曰く、ある事情から藍染惣右介を八番隊から移籍させることになり、どうせなら本人が希望していた五番隊へ入隊させようとしていると。京楽は続けて「今の五番隊は人手不足でしょう?丁度良いじゃない♡」とも言っていた。

 

 実際、京楽の言う通り、現在の五番隊は人員が不足していた。

 五席という立場にありながら、多くの隊士を支え、細部にも気を配っていた藍染総司。彼が抜けた影響は大きく、隊内には不和が生じていた。そのため穴埋めとして、隊の内情に詳しい現副隊長を五席に据えたのだ。(現副隊長は老齢であり、本人が隠居を望んでいた為、席の降格については問題ない)

 

 つまり、現在の五番隊には副隊長がおらず、その後任を探していた平子にとって、その提案は好都合だったのだ。

 

 

「─てなワケでオマエを引き取ったちゅうことや」

「そんなやり取りがあったんですか…」

 

 初耳ですと書かれた惣右介の顔を見て、マジで何も知らされてないんやなと再度認識した平子は、京楽に対する信頼が若干下がった。

 そうして双方の認識を擦り合わせた中、停滞した空気を切り裂くように「平子隊長は、良いのですか?」と、惣右介は問い掛ける。

 

「…どういう意味や?はっきり言えや」

 

「京楽隊長に頼まれたから、僕を副隊長に据えたのですよね」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 その言葉に、はたと目を瞬かせる平子。

 惣右介の声は固く、何処か冷たい音を纏っていた。黒縁の眼鏡の奥から真っ直ぐと此方を見つめる瞳だけが、奇妙な熱を灯している。

 その視線を受け止めた平子は大きな溜め息を吐くと、勢いよく立ち上がった。音を立てながら前へと進み、怪訝そうな顔で見上げる惣右介を見下ろした後、

 

そぉい!」「痛ぁ!?

 

容赦ない手刀を惣右介の頭に振り下ろした。予想外の一撃に声をあげた惣右介を笑いながら、平子はその場にしゃがみ込む。

 

「勘違いすんなや。誰かに言われたせいとか、下手な同情で選んだんやない。俺が、オマエの実力を見込んで選んだんや」

 

 その言葉に、びくりと肩を震わせた惣右介。その様子を見た平子は、ボリボリと頭を掻きながら話し出した。

 

 

「俺には、お前が移籍する羽目になったワケや、あのオッサンがわざわざ副隊長なんて席を指定してきた意味も詳しく分からへん。ただ、なんとなく、それには総司のことが関わっとるんちゃうかと思てる」

 

 父親の名前を耳にした途端、急に居心地の悪そうな表情を浮かべた惣右介を見て、平子は自身の予想が間違いではなかったことに気づいた。彼は、藍染惣右介の移籍について、単なる一身上の都合ではなく、何か避けられない、しかも非常に厄介な事情があるのだろうと推察し、その背景には藍染総司の死が関わっているのではないかと考えていたのだ。

 

「…言うて俺も、事件のことは詳しく知らされてへんけどな」

 

 藍染総司の死に関して、上から箝口令が敷かれ、詳細を知る者は限られていた。詳しい情報は入手不可能で、上司である平子ですら「隊士同士の私闘」という説明しか伝えられなかったのである。しかし、この事件に五大貴族が関与しているという噂を耳にした時点で、平子はろくでもないことになっているのだろうと悟った。

 

「でもなぁ、どんな事情があれ、俺がオマエを五番隊に引き入れた事実は変わらん」

 

 平子は、京楽から話を持ちかけられた時点で、自分が面倒事に巻き込まれつつあることを理解していた。それを承知の上で、藍染惣右介の移籍を承諾したのである。

(まあ、丁度良かったちゅうのもあるんやけどな)

 平子も純粋な善意だけで惣右介を受け入れたわけではない。自身の斬魄刀─逆撫が藍染惣右介に興味を示したこと。それがどうしても気がかりだった彼は、藍染惣右介の監視という打算も含めていた。

 

「しかし、僕よりずっと副隊長にふさわしい者がいると…」

「はぁ~ッ!うじうじうじうじうっさいのぉ!」

 

 惣右介の遠慮がちで、ためらいに満ちた言葉を、平子はけたたましい大声でかき消した。それから、人差し指をビシッと惣右介に向け

 

「いいから俺の副官やれや、隊長命令やで!」

 

 平子は強引に、断固とした口調で言い放った。その命令に、惣右介は言葉を失う。突き付けられた指を見つめた後、静かに目を伏せた彼は、恭しく頭を下げた。

 

「…その責、謹んでお受けいたします」

 

 そうして彼は、平子に応え、五番隊の副隊長に就任したのだ。

 

 

 

 

蛇足

「大体、オマエ自信無さすぎやろ。なんや、僕より相応しい人がいると思いますぅ~って。相手を傷つけんように遠回しに告白を断るなよなよしい男か?」

「その例えは良く分からないですけど、平子隊長は僕の事なにも知らないじゃないですか。だからそう言ったんですよ」

「はー!?ちっとは知っとりますけど!?朝方いの一番に訓練所に来ては一人で自主練、その後は用具の手入れに清掃まできっちりしとるし、職場じゃ自分の仕事の他に、後輩の指導と先輩の支援までして、挙げ句の果てには日付回るまで職場で残業しとるとか…どんな真面目ちゃんかと思うたわ!」

「ワ、ワァ…」

「なんやその反応?」

 

 

 

 

 

*1
西流魂街 2地区 オリジナル設定

*2
同期達から貰ったもの。

*3
書類仕事を沢山こなす惣右介を、後輩達が労って選んだもの。

*4
兵庫県神戸市東部の灘区から西宮市の甲子園球場辺りまでの海岸沿いの地域で生産される日本酒(引用) 京楽チョイスの名酒 

*5
鉄棒ぬらぬら先生のもの。要らない

*6
いつもの報連相不足。






京楽「惣右介くん、上から嫌がらせを受けるかもしれないから、手が出しにくい立場まであげちゃおう!話はきっと平子くんがしてくれるよね」
平子「なんか面倒なことになっとるな…。まあエエか、俺がまとめて面倒みたる。話は京楽サンがしとるやろ」

【またしても何も知らない藍染惣右介さん(副隊長)】


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