走者がガバったら(世界が)即終了チャート はーじまーるよー!   作:私は地を統べる

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平子さんの扱いがどんどん雑になる藍染惣右介、あると思います。


お気に入り、しおり、感想、評価、ここ好き、誤字報告ありがとうございます。
早く話を進めたい気持ちと、日常をしっかり書きたい気持ち。心が二つある~!




拾壱頁

 

 ★★年★月★日(★) 曇り

 

 副隊長という立場を良いことに、催眠を掛けまくっている。

 八番隊に居た頃も自隊内では開示していたが、副隊長になってからはその機会が一気に増えた。

 上の立場になればなるほど、部下を従えての現場が増えるし、他所の隊との共闘の機会もあるからだろう。

 

 話を振られれば始解。隙あらば始解。始解始解始解始解始解…催眠おじさんかな?

 

 冗談はさておき、布石を敷いてはいるものの、護廷内には多くの死神が所属しているため、すべての者に催眠がかっているわけではないと思う。ヨン様はその点をどうカバーしていたのだろうか?…まあ、ヨン様の事だから、うまく処理していたのだろうと思う。

 

 そんな日々を過ごしている中、今日は四番隊との合同演習があった。といっても、合同演習と呼べるほど大規模なものではない。五番隊と四番隊の隊士が軽く打ち稽古をする程度のものだ。

 

 きっかけは、四番隊四席が自隊の戦闘力不足を嘆いていたことだった。その相談を受けた僕が「それなら、五番隊と演習でもしますか?」と提案したのだ。平子隊長もそれを面白がって許可したので、この合同演習が実現することになった。

 

 全隊士の参加を強制するのではなく、希望者のみを募った催しだったが、予想以上に多くの隊士が参加を希望してくれた。

 

 予想外だったのが、四番隊隊長の卯ノ花烈も参加したことである。

 ニコニコと微笑みながら、後方で隊士達を見守る卯ノ花さん。一見、母のように慈愛に満ちた姿だったが、正直言おう。めちゃくちゃ怖かった。なんか、なんか目が、目がね、ギラついてて…というより僕の事を執拗に注視していたような。

 気のせいだと自分に言い聞かせ、知らんぷりをしていたのだが、それも長くは続かなかった。休憩時間、皆が思い思いに談笑する中、すすすと音もなく僕の側に滑り寄って来た卯ノ花さんは、周囲に聞こえないよう、こっそりと耳元で囁くようにこう言ったのだ。

 

「貴方の剣筋、とても綺麗ですね…」←僅かに喜色を纏った声色+微かに放たれるおどろおどろしい霊圧

 

 ウワーッ催眠!!(思い出し発狂)

 

 喉がキュッとなった。何とも言えない悪寒が背筋をザーッと駆け抜けた。怖かった。スゴい怖かった。

 初代剣八、ヤバイ。なんだあの霊圧。足元から這い寄る黒い霧のような、首筋に冷たい刀身を突きつけられるような、そんな明確な映像が僕の頭を過った。微かに放たれただけの霊圧でこれ?怖~…

 

 今後は四番隊、というより卯ノ花さんに近寄りたくない。

 

 

 

 

 

 ★★年★月★日(★) 曇り

 

 平子隊長、並みの縛道では捕らえられなくなってしまった。

 サボるための手段として死神の技量を磨くの辞めてほしい。

 

 あまりにも悔しかったので、最近は二重詠唱で縛道を放つようにしている。吊星と這縄で雁字搦めにしているが、網漁業のようだ。

 平子隊長は「ここまでするんか?!」と身を捩りながら騒いでいたが、このような手段を取らせたのは他ならぬ隊長自身である。大人しくドナドナされろ。

 

 今日は、縛り付けられた平子隊長を引きずりながら五番隊の帰路につく途中、十二番隊隊長の曳舟桐生に遭遇した。

 隊長の様子を見た曳舟さんは、目を丸くして「おやまあ、随分と面白い格好をしているねえ真子」と朗らかに微笑んだ。その言葉に対し、平子隊長は「せやろ?部下に愛され過ぎて困っとんねん」と、まるで僕のせいかのように答えていた。思わず蹴っ飛ばしそうになった。危ない危ない。白ヨン様が剥がれてしまう。

 

 そうして、すくりと立ち上がった平子隊長は、縛られたまま曳舟さんと談笑をし始めた。その異様な光景に面食らいつつも、僕は二人の会話を楽しんでいた。

 しかし、その和やかな空気を切り裂くように、突如、平子隊長の顔面に蹴りが入り、隊長は後方へと吹っ飛んでいく。一歩下がっていたとはいえ、危うく僕まで巻き込まれるところだったよ。

 

 先程まで平子隊長が立っていたところ目を向けると、金髪のツインテールが特徴的な背の低い少女が入れ替わるようにして立っていた。一目みて分かった。猿柿ひよ里だ。

 

 急な展開に呆然とする僕を置いていくように、曳舟さんと猿柿さんは意気揚々と話し出す。

 暫くして、ヨロヨロと戻ってきた平子隊長の顔面には草履の足跡がくっきりと残っていた。猿柿さんに向けて怒号を上げる隊長。それに反発するように声を荒らげる猿柿さん。二人は辺り一面に響き渡るような大きな声で言い争いを始めていた。

 

 …彼女の急な登場には驚いたが、このやり取りを見て、改めてここがBLEACHの世界なのだと実感した。ちょっと感動すら覚えた。…それはそうと物凄く煩かったけれど。

 

 微笑ましく思いながら二人のやり取りを眺めていた僕に向かって、猿柿さんは「何見下ろしてんねん!すりおろすぞ!」と言い捨てた。

 …ジロジロ見ていた僕も悪いが、少しばかり理不尽ではないだろうか?

 

 

 

 

 

 ★★年★月★日(★) 曇り

 

 要がついに真央霊術院に入学した。おめでとう!

 

 お祝いとして何か欲しいものは無いかと尋ねたが「そのお気持ちだけで十分です」と言われてしまった。人が出来すぎている。

 

 流石に何も無しと言うわけにも行かないので、せめてもの気持ちを込めて、評判の良い和食屋に連れて行った。個室貸し切りの料亭で、落ち着いた雰囲気が魅力的の店だ。

 要は筑前煮を特に気に入ったようで、何度もお替りをしていた。

 

 要の斬魄刀についてだが、彼は歌匡さんの斬魄刀「清虫」を譲り受けたそうだ。どういった経緯でそうなったのかは分からないが、本人が話したがらない様子だったので、それ以上は詮索しないことにした。

 

 

 歌匡さんの容態だが、未だに目を覚まさないらしい。僕が直接確認したわけではなく、京楽隊長から聞いたものだが、怪我は治ったものの、頭部に大きな衝撃を受けたようで、それが祟っていると。

 

 真央施薬院に入院している歌匡さんのお見舞いに行くことは、今の要では不可能だ。だから、心配しているであろう要に、早く現状を伝えようと話をしたのだが、祝いの席でこのような話題を持ち出してしまったのは些か配慮に欠けていたかもしれない。

 要は気にしていないと言っていたが、申し訳なく思う。

 

 まあ、その後は気まずい雰囲気を払拭するように、軽い雑談をしながら食事を楽しんだ。帰り間際、筑前煮の持ち帰りを店員に頼み、お土産として要に渡したところ、物凄く喜んでいた。好物分かりやす~

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

 

 

 

 日記帳を閉じる。

 

 藍色の表紙を撫でた。幼い頃から使っていたものだ、所々、汚れやシワが出来ている。物持ちは良い方だと自負しているが、それでも限度はあるだろう。

 

 少し解れた糸綴じを触りながら、先の事を考える。

 

「要が真央霊術院に入学する。ということは、僕もそろそろ動かなければならないな」

 

 原作とは異なる世界だ、僕の予想している時系列にズレが生じている可能性もある。大事をとって、計画を早めた方が良いかもしれない。その為には、必要だ。

 

 ─崩玉

 全ての元凶とも言えるソレ。

 

 藍染惣右介の頭脳なくしては、到底不可能であろうそれの構想は、ある程度だが僕の中に浮かんでいる。まだ詰めの甘い部分はあるが、それは製作過程で修正できるだろう。しかし、どれほど思考を巡らせ、趣向を変えても、

 大量の魂魄が必須だという結論に行き着いてしまう。

 

 原作では、崩玉の詳細な製法は明かされていない。ただ、藍染の崩玉には流魂街の無数の魂魄が使用されていると、はっきり述べられている。

 浦原喜助の作った崩玉の構造を解析できれば良いのだが、時系列を考えると、それは不可能だ。

 

 浦原は一体どのようにして崩玉を生み出したのだろうか?

 虚と死神の境界を越するという目的のために作られたそれが、周囲の意志を吸収し具現化する、まるで願望機のようなものへと変貌を遂げるとは。

 浦原喜助が崩玉を造らなければ、藍染惣右介の起こした惨劇も、あれ程の規模には至らなかったかもしれない。しかし、崩玉なくしては世界の存続すら危ういという事実が確かにある。

 

 なんとも矛盾した状況に、変な笑いが込み上げてくる。

 

 崩玉のために、多くの人々が犠牲になる。

 僕が彼らを殺し、その魂を材料として消費しなければならない。

 

「最悪だ」

 

 やりたくない。そんなことはしたくない。だが、そうも言っていられない。藍染惣右介には、崩玉が必要だ。

 覚悟を決めたはずなのにそれでもこんな弱音を吐いてしまう。なんて軟いんだろう。なんて脆いんだろう。自分の情けなさに吐き気がしそうだ。

 自分を責めたところで何が解決するわけでも無いのに、自責の念に浸って、平常心を保とうとする。要を巻き込んでおきながらこの有様だ。本当に情けない。

 

ガタンッ

 

 壁に立て掛けていた斬魄刀が、ひとりでに倒れた音。

 どん底へと落ちていく僕の気持ちを読み取ったのか、鑑化水月が手の中で、一度大きく震えた。軽く鞘を撫でながら声には出さず感謝を伝える。どこか呆れたような雰囲気を感じて、少しだけ気を緩ませた。

 

「…ああ、そうだね」

 

 弱音は後だ。

 

 とにかく、目下の課題は、必須素材である大量の魂魄を手に入れる方法だ。流魂街で適当な者を見繕わなければならない。一刻も早く動き出したいが、

 

「駄目だな」

 

 人手が足りない。複製体を用いるべきか?しかし、霊力の消費が激しい上に、正体がバレるリスクもある。乱用は避けたい。

 

「なら、原作のように部下を増やすべきか?」

 

 しかし、それが果たしてうまくいくのだろうか?藍染惣右介のように、彼らを納得させられるのか。あるいは、力ずくで従わせるしかないのか。懐柔という手法がまるで簡単に思える訳がなく、その難しさにため息を吐いた。

 

「…あ」

 

 そうして、頬杖をつきながら考えにふけっていると、ふと、ある少女の物語が頭の中を過った。

 

「いや、でも」

 

 理論的に考えれば、アレで代用することは可能だ。ただ、欠けているアレが使えるのだろうか?…いや、試してみる価値はある。それに、これが実現できれば計画の短縮にも繋がるだろう。

 

「そのためには準備が必要だな」

 

 人材の確保、作戦の練り直し、そして何よりも自分自身との戦い。これらすべてが、僕が僕に成るための障害となっている。 しかし、後には引けない。ここで立ち止まるわけにはいかない。 どんなに苦しくても、どんなに心が痛んでも、前に進むしかないのだ。

 

「もう寝よう」

 

 明日も仕事だ。

 

 

 

 

 






茜雫ちゃん、可愛いですよね…。

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