走者がガバったら(世界が)即終了チャート はーじまーるよー! 作:私は地を統べる
オリキャラが出てきますが、ヒロインでは無いです(ネタバレ)
次回はちょっと重い描写が入ると思います…。タグつけた方が良いのかな?
お気に入り、しおり、感想、評価ありがとうございます。
沢山の人に見て貰えて嬉しいです…!皆様に楽しんでいただけるよう精一杯頑張ります!
追記
オリキャラの名前を変更しました。
取柄 乃子→取柄 えな
▲▲年▲月▲日(▲) 晴れ
真央霊術院を卒業した。
霊術院への入学以降、首席の座を維持していた僕は、卒業生総代に選ばれた。
入学式の時と同様、学院長からの有り難いお言葉を拝聴し、在校生からの激励を受け解散となった。
あれほど退屈だと感じていた学院長の長話も、もう聞けなくなると思うと、少し寂しい気がする。…いやそうでもないか。
護廷十三隊に入隊するためには、卒業試験と入隊試験に合格しなければならない。
卒業試験は「真央霊術院で学んだことが身に付いているかを確認するための試験」であり、入隊試験は「希望する隊に所属できるだけの実力があるかを判断するための試験」だ。
例えるなら、卒業試験が大学の卒業論文、入隊試験が就職活動のようなものだろうか。
僕は特別成績優秀者として飛び級をし、卒業を待たずして護廷十三隊への入隊が内定していたため、入隊試験を免除されたのだ。卒業試験は受けたが、まあ余裕だったとだけ言っておこう。
入隊試験から約1ヶ月後、霊術院の敷地内にて各部隊合格者一覧が掲示された。
結果を見にきた受験生たちの姿は悲喜交交で、僕はその中に混ざりながら、五番隊の欄に自分の名前があるか確認した。
しかし、五番隊の欄に僕の名前は無かった。焦りながら順に名前を確認していくと─
…僕の名前は、八番隊の欄に書かれていた。
配属願いには五番隊と記入したのだが、何故か八番隊に配属されたのだ。慌てた僕は直ぐ様担任に確認したが、「隊長たちの厳正な判断の元、生徒の配属先は決定されているため私には分からない」と言われ、教務室を追い出されてしまった。
結局、僕は五番隊に移ることもできず、様々な不安を抱えながら入隊式を待つのだった。
▲▲年▲月▲日(▲) 晴れ
待ちに待った入隊式である。
期待二割、不安八割だ……
京楽隊長が上座へと座り、本日から八番隊へと入隊する新入隊員が下座へと並ぶ。
「八番隊隊長の京楽春水です。初めまして♡」
「八番隊はかわいい女の子を中心に回しているよ♡週一回飲み会もあるから、そのときは是非参加してね~♡」
京楽隊長によるあまりにも軽い挨拶で入隊式は短く締められた。適当すぎる。
「ああそれと、藍染惣右介くん。キミ今日から六席ね」
ファッ!?(驚愕)
驚く僕を置いてさっさと京楽隊長は部屋から出ていってしまった。
どういうこと?席官?何故?聞いてない。
その後、他の隊員たちから訝しげな目を向けら身の狭い思いをしながら、八番隊三席から諸々の物品の扱い方や書類の書き方など業務についての軽い説明を受けた。何にも頭に入ってこなかった。
▲▲年▲月▲日(▲) 晴れ
僕が席官だと告げられた翌日。京楽隊長に呼ばれ隊長室へと通された僕は、座卓を挟んで向かい合わせに座りながら、諸々の説明を京楽隊長から受けた。
「入隊先が五番隊じゃない理由?ああ、ボクが惣右介くんを八番隊に頂戴って言ったんだよ」
あ ん た の せ い か よ
いやいや、待って、待って欲しい。僕は五番隊に入隊するつもり、と言うよりも原作通りにするためにしなければならないのだ。
配属願いを無視してまで僕を八番隊に配属させた理由は?僕が京楽隊長の前で何かやらかした?何か疑われるようなことをした?どうして、
「ボクだってウチの隊に男の子は要らないと思ってるけどさぁ、五番隊の隊長さんが「ウチの隊、もう五席に藍染*1居るしコイツ入れたらややこしくなるわ、どっか貰ったって」って言うからじゃあボクが貰うね~って」
そんな理由で!?「名字が同じ席官が居るとややこしいから」という理由で僕の配属願いを無かったことに!?
あまりにも無茶苦茶な言い分に、思わず呆然とする。
席官の件に関しては、
「だって惣右介くん始解できるでしょ?始解が出来て霊術院を首席で卒業なんて優秀な人材をただの一般隊士として放っておくわけ無いじゃない」
「本当は卒業前に言おうと思ってたんだけどね、すっかり忘れててさぁ~」
僕が始解に至ったという話はおそらく担任から聞いたのだろう。(始解の全ての力を引きだせていないということは誰にも言っていない)
全てが急な話しすぎて思わずその場で脱力した。ええ、もう…ええ…?(困惑) 適当すぎるでしょこの人……
まあ慣れない内は他の席官を教育係につけるから、頑張ってね!と軽く流され話は終わり、僕はフラフラと隊長室を後にした。
まだ慌てるような時間ではない。
幸いにも、入隊後は人事異動も何度かあり、他の隊へ移ることも可能だ。
原作をなぞるためにも、絶対に五番隊に行かなければならない。どんな手段を使ってでも
とりあえず今は、席官の仕事を覚えよう…。
追記
八番隊の隊士の霊圧を探ってみたが、殆どの隊士の霊圧は僕の霊圧の半分にも及ばなかった。
僕は霊術院に入学してからずっと霊圧の隠蔽をしているため、他者からは一桁台の席官ほどの実力だと思われている。実際は副隊長を優に越え隊長格にも届きうる霊圧を持っているのだが…まあ、今後のためにも隠しておくべきだろう。
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side 取柄えな
「実は今度の新人隊員の内の一人を六席に据えようと思ってるんだよね」
「席官の仕事って特殊なところあるじゃない?えなちゃんさえ良ければその子のサポートをお願いしたいんだけど」
「私が、ですか…?」
─京楽隊長にそう頼まれた際、私の心は期待と少しの戸惑いで一杯になった。
八番隊に入隊して数十年は経っただろうか、霊術院から卒業したは良いものどこの隊にも馴染めず往来していた私に、手を差し伸べてくださった京楽隊長。そんな隊長に報いるために、血が滲むような努力を重ね、漸くこの座を手に入れた。
入隊と同時に席官の座を用意される新人隊員。正直に言うと、私は軽い嫉妬を覚えていた。しかし、隊長の信頼に応えたいという気持ちが、二つ返事で了承の言葉を口にさせたのである。
「初めまして。新しく入隊しました、六席の藍染惣右介と申します。ご迷惑をおかけすることもあるかと思いますが、何卒ご指導のほどよろしくお願いいたします」
─初めまして、ご丁寧な挨拶ありがとうございます。八番隊五席の
真面目でかしこそうな子だと思った。
少し外に跳ねた柔らかそうな茶髪と、穏やかな光を携えた朽葉色の眼が特徴的だ。軽い挨拶を終え、私達は握手をしたのだった。
話してみると、意外にも彼は気安い。軽いジョークも嗜むが、決して人を貶すようなことは言わない。その誠実な態度は、私が彼に信頼を抱くのに十分な理由だった。
いつのまにか、私達は、業務外ではえなさん、惣右介くんと気安く呼び合う仲になっていた。
私が下の名前で呼んで欲しいと無理を言ったのだ。名字が好きじゃないからと言えば、彼は戸惑いながらも深く理由を聞くことはせず、私のお願いを聞き入れてくれたのだ。
当初、実力も見せず席官に成った惣右介くんに対し、やはり周りの隊士たちは良い顔をしなかった。
特に六席以下の席官に座している隊士たちの態度は顕著で、入隊したばかりの彼に対し、傍目から分かるほど冷たい態度をとっていたのだ。
しかし、理不尽な嫉妬や妬みを向けられてもなお、彼は挫けなかった。それどころか、負の感情を向けてくる相手に対しても、決して笑顔を絶やすことはなかった。
真面目に業務へと取り組む姿勢、誰にでも分け隔てなく接する人柄に、周囲の人々の対応は徐々に良い方へと変化していった。
惣右介くんに冷たい態度をとっていた人達ですらも、態度を緩和させるようになったのだ。それは、彼の心の奥底から滲み出る暖かさがそうさせるのだろう。
常に笑みを絶やさない穏やかな性格。
思慮深さをみせる柔らかな瞳は相手に安心感を与え、低くて艶のある声は、どんな場所に居ても正確に情報を伝える。
鍛え上げられた体躯から放たれる白打は見惚れてしまうほど美しく、両手から繰り出される鬼道は完璧そのもの。
彼の剣術は、清涼な水の流れを思わせる。相手の攻撃を軽くいなしながら、苦しませることはなく粛として切り捨てる
温和な性格。優しげな眼。厳粛な姿勢。
「ああ、勝てないな」と、
「ああ、この子は私とは違うんだな」と思った。
彼に話しかけられる度に、私の心は、羨ましさと、妬み、僻み、そういった醜い感情で満たされていく。
惣右介くんの存在は、天に座す太陽のように私を照らすが、その光は同時に私の影をも浮き彫りにしていくようだった。
小さな異物は大きな歪みへ
小さな傷はやがて臓腑をも腐らせる