走者がガバったら(世界が)即終了チャート はーじまーるよー!   作:私は地を統べる

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ジッチャンがオリキャラは主人公の脳を焼くくらい強烈に退場させろって言ってた。



お気に入り、しおり、感想、評価、ここ好き、誤字報告ありがとうございます。
やっと次話を書き終えたら原作に関わっていける…!遠かった……!!




きっと貴方が全部悪くて

 

 

「一命は取り留めました」

「あの状態から生き延びられたのは藍染六席の応急手当のおかげです」

「しかし、取柄五席は胸部と腹部…、魄睡と鎖結を貫かれています。死神として続けていくのは─

 

 

 

 

 

 

 

「あっ惣右介くん、お見舞いに来てくれたんだ」

 

 寝台から起き上がり、此方をみる女性、えな。

 病衣から覗く包帯が痛々しく、顔は少々青ざめているが、起き上がり話せる程度には快復したのだと安堵した。

 側にある椅子を指差しながら座ってと言うので、持っていたお見舞い品をわき机に置き、椅子に腰を下ろす。

 

「わざわざありがとう。 桃、葡萄…梨もある!私、梨好きなんだ~」

 

 お見舞いの品として持ちよった果物の詰め合わせ。その籠の中からウキウキとした様子で梨を取るえなを、惣右介は微笑ましく思った。

 

「今なにか食べたいものはありますか?」

「梨!」

 

 えなから梨を受け取り、四番隊で借りてきた包丁で皮を剥く。シャリシャリと爽やかな音が響く部屋では、穏やかな時間が流れていた。用意していた皿へ切り分けた梨を並べる。そうして差し出した皿を受け取る前に、

 

 

「ありがとう惣右介くん。助けてくれて」

 

 

 穏やかな声でそう告げられた。その言葉に動きを止める。

 

 助けた?助けられた?

 

 ─いや、僕は、

 

 僕は助けられなかった。

 もしあの時、声をかけるのがもう少しでも早ければ。

 もしあの時、虚が立ち上がった時点で鬼道を放っていれば。

 もしあの時、虚の特性に気づいていれば。

 もしあの時、二手に別れようなどと言わなければ。

 いや、そもそも、藍染惣右介()が、藍染惣右介(僕でなければ)であったのなら。

 彼女は死神を続けられたのではないか。

 

 脳内をかけ巡る無数の「もしも」

 起こってしまった事象は変わらない。過去は変えられない。分かっている。分かっているけれど、それでも

 彼は身近な人が傷つく恐怖に慣れていなかった。

 

 心中に沈んだ後悔、寂寥感、無力感。

 纏まりのない、整合性もない、根拠もない、意味のない懺悔を、惣右介はえなへと吐露していた。

 

 

 

「ああ、そっか、君はそう思うんだ……」

「惣右介くんってさ、優しいよね」

 

 

 

 それを聞き受け止めたえなは、淡々とそう言った。

 俯いていた惣右介は顔を上げる。そこには何の感情も映さないただの真顔があった。優しいと告げる相手に向けるような表情ではない。

 

 怒っているのだと思った。表情には出さないが、腹の奥で煮えたぎる何かを押さえつけるような、そういったものを声色から感じ取ったからだ。

 己の罪悪感を払拭するために相手に謝罪するのは不誠実だったかもしれない。そう考え、非を改めようと口を開いた惣右介を遮るように、えなは唐突に言った。

 

 

「惣右介って名前、良いなって思ってた」

 

 一瞬、何を言われたのか分からなかった。

 名前?何故今、それを?

 

「私の家はね、下級貴族なんだけど、自分の家の子を上級貴族へと嫁がせて繁栄させてきたの」

「私は三人姉妹の末の娘で、長女は道具、次女は長女のスペア、三女の私は余り物として産まれてきた」

 

「意趣返しのつもりなのかな。

 えなって名前、胞子の胞に、羽衣の衣で胞衣(えな)って書くんだよね」

「酷い名前だよ、本当に」

 

「でもね。そんな私にも嫁ぎ先が見つかったみたいで、両親は喜んだの。お前にも価値があったぞって」

「それが私にはどうしても我慢ならなくて。私は私の人生を歩みたいって両親に反発して、霊術院に逃げて」

「そうして、護廷十三隊に入隊したの」

 

 まるで、昨日あったことをそのまま話すかのように、世間話のように軽く、本当に軽く語られたえなの半生は、陰鬱で、重苦しいものだった。

 今、何故その話をしだすのか分からない。戸惑う惣右介を置いてえなは淡々と言葉を紡いでいく。

 

 

「両親のせいで、護廷十三隊に居づらくなったことがあって。そのとき京楽隊長に拾われたの」

「あの人、上級貴族だから両親も手が出せなくて」

 

「京楽隊長に、初めてご挨拶をした時、かわいい名前だねって言われたの」

「えなちゃんって呼んで貰えたあの時、ようやく私は只のえなに成れた気がしたのよ」

「…只のえなに成れたと思ったのに」

 

 祈るように組んだ両手を額へ押し付け、小さく踞る。その姿はまるで、告解室で神へと罪を告白するような、痛ましい姿に思えた。

 

「バカみたいだよね、ずっとそれを引きずって」

「でもね、こびりついてはなれないの。自分の名前を思い出す度にお前は価値がないんだって要らないんだって、そういう言葉が頭の中をぐるぐる回るの」

「…名前って一生の呪いなんだよ」

 

 

「結局さ、死神も続けられなくなっちゃったし」

「私の人生って何の意味があったんだろうね」

 

 

 ─何も、何も言えなかった。

 

 今も尚、ぐずぐずと膿むその生傷を癒せるような、そんな救いの言葉を惣右介は待ち合わせていなかった。彼には自責の念に苛まれながら、押し黙ることしか出来なかった。

 動けなかった自分、遅かった自分、自分自分自分…

 ずっとずっとグルグルと考えた。この人が死神で居られなくなってしまったのは、この人が築き上げた居場所を失ってしまったのは…、

 グッと、喉を締め付けるような、ギリギリと首を絞められているような、……苦しかった。とにかく苦しかった。

 

「すみませんでした…」

 

 結局、惣右介は絞り出すように謝罪の言葉を溢すしかなかった。

 

 

「違うんだよ惣右介くん」

「責めてる訳じゃないの」

 

 

 頭を下げ俯く惣右介の両手をそっと握ると、えなは穏やかにそう告げた。

 責めているわけではない?なら、何故、何故─

 

「どうして、僕にそれを言うんですか?」

「優しい惣右介くんなら一生抱えてくれると思ったから」

 

 間髪居れず告げられた言葉に絶句する。

 まるで、恋する乙女が秘め事を明かすように、弾んだ声でえなは言う。

 

「何でだろうね、何で惣右介くんに言おうと思ったのかは自分でも分からないんだけど」

「流魂街の現状を嘆いていたでしょう?腹を空かせた子供にお菓子を渡して死神への道を勧めていたでしょう?ボロきれを纏う住人に肌着をあげていたでしょう?」

「それを見て私、ああこの子、当たり前のことを当たり前だと受け止められない綺麗な子なんだなって思ったの」

 

「そんな君なら私の事もずっと、ずうっと抱えてくれるって思っちゃったから」

 

 

 えながこうなったのは、敵の確認を怠った己の過失であり、惣右介のせいではない。それをえなは理解している。理解しているし、受け入れていた。しかし惣右介は言ったのだ、

 

「僕のせいだ」と。

 

 ああ、この子は、この子は抱えてくれる。

 私の、愚かな女の一生を後悔として抱えてくれると。

 そう思った、そう確信してしまった。だからえなはありったけの毒を込めて吐露した。

 

(我が儘だ。八つ当たりだ。最悪な事を言っている。分かっている。でも、きっと彼はこれから沢山の人に認められ、肯定される。なら、その長い長い人生に私という存在が居たということを刻み付けても良いでしょう?)

 

 ─それは、あまりにも利己的で愚直な行動だった。

 

「ごめんね、でも許してね」

「完璧な貴方にキズをつけてやりたいと思ったの」

「親に本当の意味で愛されて、周りからも認められて、価値があるって認められて」

「ごめんね、八つ当たりだって分かってるの。ごめんね、ごめんね。でもね」

「私、本当は惣右介くんのこと大嫌いだから」

 

 

 

 

 

 

 

 

・・

・・・

・・・・

・・・・・

 

 

 

 

 

「ちょっと面貸せ」

 

 父にそう言われ、連れてこられたのは少し開けた森の中だった。

 

「今日非番だろ?京楽に聞いた」

 

 業務に身が入らない僕を気遣ってか、京楽隊長が急遽非番をくれたのだ。有り難く思うが、何かをしていないと色々考えてしまって、逆に苦しい。

 ぼんやりとしている僕を見て、父は何も言わなかった。ただ側にいて、じっと空を見上げている。

 

 

「俺の斬魄刀はな、ちと複雑で面倒なんだ」

 

 唐突に、父は自身の斬魄刀についてぼくに話し始める。

 何故?でも、何だろう。─嫌な予感がする。漠然とそう思った。

 

「始解を見せた相手の過去や未来を読むことが出来る。ただ、断片的な情報しか読めなくてな、おまけに精度も低い。というか、読んだ情報が過去の事なのか未来の事なのか、パッとじゃ分からん」

 

「ああでもな、読める過去やら未来やらには共通して、何らかの意志が働いてる。うまくは言えないんだが…、世界の意思みたいな、俺たちの人智の及ばない強大な流れがこの世界にはある」

 

「ちょっと前まではな、多くの人の未来に共通して、橙色の髪の男が登場していた」

 

「でもなぁ、それが最近見えなくなったんだ。

 ……お前が産まれてからだよ、惣右介」

 

「最初は不明瞭だった。でも今は真っ白。お前の過去も、未来も真っ白なんだ」

 

 ─……。

 

「それどころか、お前を起点に、未来の全てが不明瞭、いや、真っ白になっている」

 

 

「なぁ、惣右介、お前は…、お前はこの世界の何だ?」

 

 

 

 

僕のせいなのか。

 

 

 

 

 




取柄 胞衣【とりつか えな】
下級貴族である取柄家の三女として生まれる。
家に対する失望と両親への反抗心を抱き、家からの期待に応えることなく、護廷十三隊へと入隊する。しかし、家の策略により周囲からの偏見や冷遇にさらされ、本人の気質も合間って、孤立してしまう。そこを京楽春水に拾われ、八番隊五席に迎え入れる。
京楽への恩に報いるため、人当たりがよく、頼りがいのある人物を演じるようになる。その為、主人公が憧れたあの姿は偶像でしかなかった。

何でもそつなくこなし、入隊した頃から席官の席を用意されていた主人公に憧れつつ、羨望や妬みと言った感情も抱いていた。

死神を辞めた後は、両親の手引きにより、とある上級貴族と結婚する。その後は、それなりに幸せな生活を送ることになる。


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