最高最善を目指して   作:秋月 ヒカリ

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 今回、胸糞というか自分でももうちょい何かあったろと思うような表現があります。
 でも……筆が乗ったんす…。許して…許して…。

 ではどうぞ!


幸せの意味

 ~ユスティナ聖徒会 生徒会室~

 

 

 親睦会の翌日、昼頃に目が覚めたソウゴ達はユスティナ聖徒会へ集まっていた。新たに加わった戒律の守護者として、アリウス生徒会のヒイロ、タツキ、ミツキと今後について話をするためだ。

 

 

 「…まさか昼過ぎまで寝てしまうとは…。」

 

 「昨日は6人相手に無双していたからな。一番体力を使ったであろうソウゴが、その程度で済んでるのが不思議なんだが…?私なんて寝不足だぞ……ふぁ…。」

 

 

 ソウゴの呟きにヒイロが欠伸混じりに返す。ヒイロ以外の5人も眠そうだ。

 

 

 「ソウゴ兄様のジカンギレードが、私達に何度フィニッシュタイムしたか分かりませんもんね。途中から、やられっぱなしで不甲斐ないです…。くぁ~……あふ…。」

 

 「う~む…。聖女として体力には自信があったが、ああもいいように翻弄されるとは…。…でも、悪くなかったなぁ…。ふふっ…♪」

 

 「そうですよね…!今まで私は弱さは悪で、強さこそが正義だと思っていましたが……ソウゴさんになら、ずっと負けても良いと言いますか……負かされ続けたいと言いますか…。ふへへ…♪」

 

 「…副会長キャラ変わり過ぎじゃない?まぁ、言ってる事は分かるし?共感もするけど、私はどちらかと言うとお互いに高めあってイきたいかな?……ねむい…。」

 

 「おほんっ!…皆さん?眠くて頭が回らないのは分かりますが、今日は今後について話をするために集まったのですから。もっと真剣にですねーー」

 

 「「「「「そういうマトイ/様が昨日、一番最後まで過酷しててなんでそんなに元気なんだよ/です?」」」」」

 

 「……えぇ、そうですよっ!所詮私だって貴女達と同じ穴の狢ですともっ!後、私だってなんであんなに体力が持ったのか謎ですよっ!?」

 

 『あ、多分それ私が原因ですね』

 

 「ツムギちゃん?」

 

 

 何時もの様にマトイが落ち担当として弄られ、マトイが疑問を口にするとツムギが会話に交ざってくる。

 

 

 「……あの?ツムギ様…?それはどういう…?」

 

 『えっとですね…?私、昨日マトイさんの身体をお借りしたじゃないですか。あれって、要は神降ろしを行ったのと同意でしてね?よっぽど私とマトイさんの親和性が高いのか、力が1割くらい同期しちゃってるんですよね…。』

 

 「……つまり?」

 

 『マトイさんの身体が、神側に近付いているって事ですねっ♪……マトイさん、いっそのこと神になりません?』

 

 「知らない内に、人間辞めかけてるんですがっ!?」

 

 「…ツムギちゃん?ハッチャけるのは程々にね…?」

 

 『あはは…。すみません…。あ、さっきも言った通りマトイさんと私の親和性が高いので、力の同期は継続になってしまいます。なので、有用にお使い下さい』

 

 「うぅ…っ!なんだか私、最近扱いが雑にされがちじゃないですか…?……別に気にしてはいませんけど…。」

 

 

 ツムギの説明により疑問は解けたが、新たな事実も分かりショックを受けるマトイ。そのやり取りを聞いていたアリウス組は唖然としていた。

 

 

 「昨日の内にソウゴの事や、女神とやらの事も聞いてはいたが…。まさか本当に居るとはな…。この世は未だ知らないことばかりだな」

 

 「はい…。神を崇めていながら、やはり心の何処かでは信じきれていないところはありましたし…。だけど神は本当にいらっしゃったんですね…!」

 

 「う~ん…。私はその辺あんまり気にしたこと無いし、ピンとこないけど…。ソウゴの姿が変わった時に、マトイの人が変わったような様子は、神様の仕業だったってことね。今更ながらに納得したよ」

 

 『祝福はソウゴさんの女神として、譲れませんからねっ!』

 

 「そこに私を捲き込まないで下さいっ!」

 

 

 賑やかな時を過ごしながら、なんとか本来の話し合いに戻し、擦り合わせがほぼ終わりかけた頃にツムギが思い出したように話し出す。

 

 

 『あっ!皆さんに伝えないといけないことがあったんですっ!忘れてましたっ!』

 

 「伝えたいこと?ツムギちゃん、何かあったの?」

 

 『はいっ!とっても喜ばしい事ですよっ!』

 

 「へぇ~。なんだろう?」

 

 『おほんっ!では、お伝えします。……マトイさん、バルバラさん、ヒイロさん、タツキさん、ミツキさん貴女方は妊娠されています。女神として、祝福致します』

 

 「「「「「「!?」」」」」」

 

 「わぁ…!おめでとうございます!皆さん!」

 

 「私達の中に……」

 

 「新しい命が……」

 

 「まさか自分が母になる日が来るとは……」

 

 「なんでしょう…。いきなりなので、まだ実感は沸きませんが……」

 

 「それでも、胸の奥がとっても暖かい…。…あぁ、そっか。だって私達、好きな人の子供宿せたんだもんね……」

 

 「「「「「こんなに幸せな事ってあるんだ…!」」」」」

 

 

 ツムギに伝えられた事に戸惑いはあれど、その顔には一様に幸せそうな笑顔が浮かんでいる。

 

 

 「……そっか、俺、父親になるんだな。皆、改めて言わせてくれ。俺と一生を共にして下さい…!必ず幸せにします!!」

 

 「「「「「「はいっ!宜しくお願いしますっ♪」」」」」」

 

 『貴女達のこれからに、目一杯の祝福を…!』

 

 「ソウゴ兄様?次はベアトの番ですからね?」

 

 

 女神の祝福を受け、ソウゴ達は新たなる道を歩み始める。この時のソウゴ達には、幸せな未来が待っていると信じて疑わなかった。

 幸せの足音が大きすぎて、もう一つの足音に気付かぬまま…。

 

 

 

 

 

 

 ~3年後 ソウゴ&妻達の家~

 

 

 早いものであの日より一年後には無事に子供も産まれ、皆で子育てを開始して二年が経った。

 この間に、アリウスとユスティナ合同で結婚式を挙げて貰ったり、マトイ、ヒイロ達の生徒会組は世代の交代と引継ぎを行った。

 慌ただしい日常のなかで確かな幸せを育みながら、ソウゴにとって予想外だったことはーー。

 

 

 「ほ~ら、アツコ?ママとお散歩行きましょうねぇ~」

 

 「う?あいっ!ま~まっ!」

 

 「…ま~ま…。ふぁ~…。」

 

 「サオリはお眠か…。よし、母さんとお昼寝だな♪」

 

 「……あれ?アズサは何処に行った…?目を離すと直ぐにこれだ…。」

 

 「……だうっ!」

 

 「あ痛っ!?……アズサ、何故お前はそう奇襲したがるんだ…。私はママだぞ…?」

 

 「まんまっ!ま~ん~ま~っ!!」

 

 「ヒヨリちゃん…?ご飯はさっき食べたばっかりだよ?食べ過ぎはめっ!」

 

 「…あぅ…。……うあ~んっ!!」

 

 「あぁっ!?ヒヨリちゃんっ!?よしよ~しっ!ご飯食べましょうねぇ~!」

 

 「はぁ…。まったく、みんな困ったちゃんでちゅね~?ミーちゃんはお利口さんで、偉いでちゅね~」

 

 「ういっ!」

 

 「うん。家の娘は皆、可愛いなっ!……ミツキは後でお話があります。ミサキに甘いのは良いが、情操教育について話がある」

 

 「あ、ソウゴ兄様。…今からお出かけですか?」

 

 「うん。学園の統合が終わっても、小さな問題は多くてさ。ティーパーティーに相談があるって、呼ばれてるんだ」

 

 

 子供の名前で察してもらえるかと思うが、本来なら未来の世界で産まれる筈のアリウススクワッドが、俺の娘として産まれて来た。

 俺というイレギュラーが混ざった世界だし、物語をハッピーエンドにすると改変マシマシで行くことを決めたのだ。こういったイレギュラーも起きてくるのだろう。

 ……しかし、表には皆出さないがもう一つの予想外。それは、ベアトに子供が出来ないのだ。

 明言はしないが皆と夫婦になり、そういったことはそれなりに行っている。それでも、ベアトは子供を授からなかった。

 勿論医者にも診てもらった。しかし、ベアトの身体に異常はなく、むしろ何で出来ないのか解らないと言われる始末だ。

 

 

 「お帰りはいつ頃になりそうですか?」

 

 「そうだな…。夕飯までには戻るようにするよ」

 

 「分かりました。では、気をつけて行ってらっしゃいませ…。」

 

 「…うん、行ってきます」

 

 

 ベアトは昔のような明るさが成りを潜め、妻というよりは何処か従者のような態度を執るようになっていた。

 その態度に俺も皆も気付いていたが、敢えて今まで通りを貫いた。それが、俺達に出来る唯一の事だと思っていたから。

 しかし、俺は理解出来ていなかったんだ…。ベアトの心の罅に、その絶望の深さを…。

 

 

 (皆さんに気を遣わせてしまっている…。私も、いつも通り接したいのに……出来ない…出来ないよ…。何で?何で私にはあの人との愛の結晶が授かれないの…?)

 

 

 ベアトは絶望していた。ソウゴの妻の中で唯1人だけ、子供を授かれない。それなのに、私以外から産まれたあの人の娘達は日々、すくすくと育っていく。子供達に対する愛情が深くなると共に……同時に、酷く憎らしくもあった。

 

 

 (私は母になれないのに…!自分の子供をこの腕に抱けないのに…!……何よりも、こんなにも醜い事を考える自分が憎いッ!!)

 

 『…辛いですか?』

 

 (!?だ、誰ですか!?私の頭の中で声が…!?)

 

 『私は貴女ですよ。だから解る。貴女の苦しみが、憎しみが、羨望が、絶望がッ!!……私は貴女の味方です。私が貴女を救って(殺して)あげましょう…。』

 

 (な、なに……を…?意識……が…。)

 

 『安心してお休みなさい?……次に起きた時には、全て解決していますとも…。フフフ…アハハハハハハッ!!』

 

 (皆さん……ソウゴ、に…いさ……ま……。)

 

 『ふむ、堕ちましたか。……ああっ!なんて甘美なんでしょう…!!永かった!!あの日、この娘に取り憑いてから今日までッ!!平行同位体とはいえ、自分が抱かれる姿を見続けるのは屈辱でした…ッ!!』

 

 

 ベアトの意識を奥底まで沈め込み、喜びに震える女は精神世界で叫ぶ。

 

 

 『…しかし、愉快でしたねぇ…。周りの女は子を産み、育むなかで次は自分だと信じてやまず……その願いが叶わずに少しずつ絶望に心が染まっていく様は…!私がそんな事を赦すわけないでしょうに…。』

 

 

 そう、あの闇に支配された空間でこの娘を見付けた時に決めたのだ。幸せの絶頂を味合わせた後に、極上の絶望を味合わせてやると。

 その為に、己の身体ではないとはいえ他者に抱かれる屈辱を我慢し、その度に子を成さないように細工をした。

 極めつけはそんな中で、周りの女は子を産み育てる姿を見せ付けられる…。あぁ、同じ女としてこれ程の絶望はないでしょう…っ!!子を成したいと望む相手が愛してやまなければ、やまない程っ!その闇は心を蝕むっ!

 

 

 『あぁ、だけどまだまだですよ?ベアトリクス…。最後は貴女の手で全てを壊すのです…。愛する夫を、愛する仲間達を……そして愛する子供達をね…。さて、そろそろ動きますか』

 

 

 ベアト、否ベアトの意識と身体を乗っ取った女は静かに眼を開ける。

 

 

 「…どうしたんだ、ベアト?そんな所で立ちすくして?」

 

 『…いえ、少し立ち眩みがしただけです。お気になさらず…。』

 

 「そうか?…私達は家族なんだ、悩みがあるなら相談してくれよ?」

 

 『はい。ありがとうございます。…少し、外の空気を吸いに散歩をしてきますね?では……。』

 

 

 そう言い残し、外へ出ていくベアトリクスを見送るヒイロの胸に漠然とした不安が拡がるのを、アズサを抱き抱える腕に少し力を入れることで頭の片隅に追いやったのだった。

 

 

 『さぁ、始めましょうか?愛する者達による、絶望の舞台を…。この……ベアトリーチェの名の元にッ!!

 

 

 その日、ベアトが戻ることはなかった。




~おまけ~

 「そういえば、ソウゴには伝えてなかったな」


 バルバラが結婚式を翌日に控えた夜、唐突にそう言ってきた。


 「伝えてないって、何を?」

 「私の真名をだ」

 「ん?バルバラはバルバラだろ?」

 「まぁ、そうなんだがそれは聖女としての名だ。本当の名は他にある」

 「そうなの!?えっと、じゃあこれからなんて呼べば…?」

 「聖女としての私はいつも通りバルバラで良いさ。……だが、貴方の妻として側に居る時はこちらで呼んでくれ…。」


 そう言ってバルバラは俺の胸に身体を預けながら続ける。


 「旧姓、錠前。今は貴方の、絆 シオリだ…。これから宜しく頼む……貴方?」

 「こちらこそ…宜しくお願いします。シオリ」


 お互いに微笑み合い、ゆったりとした時間を過ごす。これからの生活に想いを馳せながら…。
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