最高最善を目指して   作:秋月 ヒカリ

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 感想でベアトリーチェの気配に女神サイドが気付かないのは何故ってありました。
 一番の理由は、ソウゴがオーマジオウライドウォッチを手にしたことと、ソウゴ自身のジオウの力が上がったことです。
 作者解釈ですが、単体で神でもないのに世界を破壊し創造することが出来る存在がいたら、その近くにいる小さな邪悪程度は感知出来なくない?って解釈です。
 良くも悪くも、ソウゴ君は周りに影響を与えちゃうんですよね…。


 では、本編をどうぞ!


零れ堕ちた砂のように

 ~トリニティ統合学園 聖堂~

 

 

 『アハハハハハハハハッ!!』

 

 

 トリニティ統合学園と名を変えた学区の記念として、建てられた聖堂……だった場所で、紅い女は高らかに笑う。

 

 

 「……そんな…。マトイ…?シオリ…ヒイロ…タツキ…ミツキ…ッ!!!」

 

 『なんて素敵な顔なんでしょう…!!でも、足りない…!ほら、あちらをご覧になって…?』

 

 「…?………………あ……あぁッ!?うあぁーーッ!?」

 

 

 ソウゴは妻達だったモノ(・・・・・・・)の前で膝を着き、現実を受け止められずにいると、紅い女はその顔を見て笑い、別の場所を指し示す。

 そして、それ(・・)を認識したソウゴは駆け寄り絶叫する。

 

 

 「アツコ…サオリ…ヒヨリ…ミサキ…アズサ……ッ!!」

 

 『……はぁ…んっ!……あぁ、その絶望に染まった姿…。とてもイイですよ…?…でも、勿体なかったですかね?特にアツコはこの世界では、神の力をも受け継いでいるロイヤルブラッド…。私の為に使えばよかったかもしれません。あ、死体でも多少は役立つかもしれませんし、後で使いましょうか♪』

 

 「……ベアトリーチェェェエエッ!!!!」

 

 ソウゴの心は真っ黒に、頭の中は真っ赤に染まる。憎しみ、怒り……その感情に支配されたまま、オーマジオウライドウォッチを起動する。

 

 

 ーオーマジオウ!

 

 

 すると、ウォッチが消え去り代わりにソウゴの腰に黄金のベルトが現れる。

 

 

 「……変ッ!!身ッ!!」

 

 

 ー絶望の刻ッ!!

 ー最低ッ!!最悪ッ!!災厄ッ!!最凶王ッ!!

 ーオーマジオウッ!!!!

 

 

 全身から赤黒い稲妻を弾けさせながら、本来のオーマジオウとは違い、黄金の鎧にドス黒い泥のようなオーラが纏わり付き視る者の心を恐怖に染め上げる姿で誕生した。

 もはや、祝う者もなくただ目の前の存在を消す事にのみ意識を向ける。

 

 

 『……何ですか、その姿は?その恐怖は…っ!色彩など足元にも及ばないっ!?』

 

 「……黙れ」

 

 『……は?』

 

 「黙れと言っている…ッ!!」

 

 『ひぃっ!?』

 

 

 先程までの威勢は消え去り、ベアトリーチェはオーマジオウの発する圧に圧倒される。

 

 

 「貴様は私の大切な者達を奪った…。だから、私も奪おう。貴様の未来を、野望を……その命をッ!!!!」

 

 『い、嫌です…!なんで?どうして!?これから私の崇高は始まるのに…ッ!!!こんな……こんな所で私は…ッ!!!!!』

 

 「…フンッ!!」

 

 

 ーゴッ!!

 

 

 『ギャアアーーッ!!??』

 

 

 ーグシャリッ!!ゴキンッ!!バキゴリブチンッ!!

 

 

 殴り、折り、潰し、引き千切り、ありとあらゆる痛みを与えながら、時には時間を巻き戻し回復させ、また同じ行程を繰り返す…。

 何度繰り返したか分からないが、ソウゴが少し理性を取り戻した時には、ベアトリーチェは血溜まりの中で虚ろな眼でこちらを視ていた。

 

 

 『こ…れが……わた、しの……おわ…り…。……です、が…貴方も……終わり……で、す…。』

 

 「…なに?」

 

 

 終わりを悟りながらも、ベアトリーチェはソウゴへ不敵に笑いかける。

 

 

 『貴方が…この後に……どんな顔をするのか視れないのが……残念です……よ…………。』

 

 「逝ったか…。しかし、ヤツの言っていた意味は一体ーーー」

 

 「……にい…さま…?」

 

 「……ベアト?」

 

 

 ベアトリーチェが息を引き取った後、その最期の言葉に疑問を持っていると懐かしい呼び声に顔を向ける。

 

 

 「……あぁ…………ベアト…?ベアト!ベアトォッ!?」

 

 

 そこには、ベアトリーチェの姿からベアトリクスの姿へ戻った彼女が、血溜まりの中で真っ赤に染まった姿で倒れている。

 その姿に彼女の名を叫びながら、抱き締める。

 

 

 「血が…!ベアトッ!!頼むッ!!死ぬなッ!!ベアトッ!!」

 

 「にい…さま…?……そこに、居るのですか……?」

 

 「…ベアト?お前、眼が…。もしかして、耳も聴こえてないのか…?」

 

 「…あぁ。この温もりは、兄様ですね……。暖かいなぁ……。暖かいのに、なんで何も見えないし、何も聴こえないんだろう……。」

 

 「居るよ…ベアト!ここに、目の前に居るよっ!!ちくしょうっ!!なんで、なんでこんなっ!!」

 

 「にいさまぁ…。なんだか、とても……眠いんです…。少しだけ……お休みしますね……。」

 

 「駄目だっ!寝るな、ベアトっ!!頼むよ…。俺を一人にしないで……っ!!」

 

 「……愛して……います……に、い…………。」

 

 「……ベアト?嘘だ…。なんで……。」

 

 

 急速に熱の消えていくベアトの身体を抱き締めたまま、ソウゴは虚ろに呟き続けるが、その内に気付く。

 

 

 「ーーあぁ、俺が殺したのか。俺が、ベアトをこんなにぐちゃぐちゃにしたのか…。……ごめんなさい。ごめんなさい、ベアト…!!」

 

 

 慟哭を上げるソウゴの周りには、愛し愛された者の亡骸が真っ赤な華を咲かせ転がっている。

 ソウゴの慟哭は永く、永く続いて消えることは無い。何故なら、このオーマジオウは絶望を与えるための時間回帰は出来るが、決して祝福は出来ないのだ。

 

 

 「皆を、ちゃんと眠らせてあげないとな…。」

 

 

 孤独な魔王はかつて愛した者達の眠る場所から、決して動かず、その生涯を絶望の中で終えていった…。




 ~???~


 「…こんなの、認められないよね。もう一人の俺、最低の未来は見せたぞ。ここから、皆を救って見せろ…!」


 「あれが最低最悪の俺…。俺の中の闇…。あんな激情が俺にあったのか…。俺に…最高最善の未来が掴めるのか…?」


 最低最悪の未来は定まった。しかし、最高最善の未来は未だ定まってはいない…。
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