始まります。
ーソウゴが牢屋を出ることが決まった夜 マトイ自室ー
ーー思えば私は小さい頃から、自分の気持ちを余り出せずにいたと思う。
私の家系は昔から、ユスティナの信徒として続いている。それが何時からなのかは、分からない…。けれど、永く続くモノというのは厄介で、本来の願いや祈りを風化させ、ただ“引き継がなくてはいけない”という
“御先祖様から続く伝統を、後世へ引き継がなくてはいけない”、“敬虔なユスティナ信徒として、神への信仰心を失くしてはならない”、“何れは、私達の家系がユスティナ信徒を導くのです”、“““それが我等、『秤』の一族に課せられた代々続く
ーー幼い私はずっと、そう教え込まれて育ちました。本当は友達を作り、遊び、笑い合う…。そんな“当たり前”を妄想する日々でした。だって、私にはそれは許されないから。ユスティナ信徒を導く存在にならないといけないから。
そんな環境で育てば、自分の我が儘など口には出せなかった…。一度、友達と遊ぶ事に夢中になり、祈りの時間に間に合わなかった時などは…。思い出したくもありません…。
それからは友好を絶ち、家の教えを従順に守り続ける…。人間とは不思議なもので始めは嫌々でも、長く続けていくと習慣になり、やがて自らを構成する一部となっていく。
(そして、気が付けばユスティナ聖徒会の生徒会長ですか…。本来なら、ユスティナ史上最も偉大な聖女であると名高いバルバラが、この地位に就くべきだと思うのですが…。)
『私に出来るのは規律を取り締まり、必要な時には戦場で暴れまわることだけだ。この称号に恥じぬように生きる覚悟はあれど、信徒を導く存在にはなれん』
(などと言って、辞退するのですから困った娘です…。…でも、自らの意見をハッキリと主張し、そう在れるのは羨ましいです…。)
これに関しては、バルバラがマトイと知り合ってから付き合い続けるなかで、その人柄に惹かれた結果マトイを会長として台頭させて、自分はマトイの右腕として彼女に仕えたいという割りと俗な考えによるものだったりする。
それはそれとして、難しい事はよく分からないので力を振るうだけの方が楽でいいと考えてもいた。……コイツ、俗まみれじゃない?
(それに、先日現れた彼…。ソウゴさんと仰いましたか…。)
次に思い出すは、光の柱と共に現れた青年のこと。ヘイローを持たず、ここキヴォトスではかなり珍しい男性。バルバラは最近の学園統合の関係で揉めている、アリウス関係の者ではないかと警戒していたが、私は初めて彼を目にした際に自分の眼を疑った。
(彼が纏っていた、あの黄金色のオーラ…。あれは一体…?)
頭を振り再度、彼に眼を向けるとオーラは見えなかったが、代わりに今にも彼を撃ち殺しそうになっているバルバラが飛び込んできて頭が真っ白になった。
一瞬意識が飛んだが、深呼吸してバルバラを止め、頭を殴打され倒れ伏す彼が妙に気になってしまった。
(本当に、不思議と安心感を抱かせるというか…。彼なら何かを変えてくれるのではないかと、期待してしまう…。)
バルバラの忠言(脅し?)を聞き入れ、牢屋に入れてしまいましたが、私も毎日彼に会いに行って話をさせてもらっています。
その日々で彼の人柄が一つ分かるたびに、私はどんどんと彼に惹かれていった。自分にはない価値観、考え方、在り方、願い…。全てが眩しく見えた。
(それに、昼間に彼が褒めてくれた…。嬉しかった…。あんなにも真っ直ぐに、私を見て褒めてくれた人は彼が初めてだったから…。)
もう、今では学園を統合し平和をもたらすというのは役目からの行動なのか、自らの願いだったのか分からなくなっていたから…。
『マトイは偉いね』
あのたった一言に、私の人生は報われた気がしたのだ。そして、肯定されたあの時に思い出したのだ、自らの願いを。
“自分らしく生きたい。変わりたい”
バルバラも彼によって最近は柔らかく、本来の優しさを取り戻してきたような気がする。彼は確実に私達に影響を与えている。
(私も変われる時が来たのかもしれません)
明日からは彼も普通の部屋へと変わる。それに、ベアトリクスが彼の側仕えになった。これにより、更に変化は加速するだろう。
(明日が楽しみに感じるなんて、いつ以来でしょうか?あぁ、本当に楽しみ…。)
変化を望む少女は、こうして夢の世界へ旅立つ。この先の未来に希望を持ってーーーー。
~秤 マトイ~
私の考える、家の娘の容姿です。
髪:髪型はサクラコと同じで、色は薄い紫色
顔:キリッとしているが、若干童顔。
瞳:薄い紫色
身長:177cm
身体的特徴:胸部装甲は控え目、腰はくびれて下半身は少しムッチリとしている。
服:普通のシスター服に生徒会長を示すロザリオと腕章を着けている。
やっぱり戦闘時には、例の覚悟礼装を身に纏う。が、覚悟の角度が他の一般信徒より若干エグい。