実質こっちが初投稿です!
「え、えぇ~!?そんなにあっさり決めちゃっていいんですか!?お願いしてる私が言うのもなんですが、そのあっさり加減には心配になりますよ!?」
わちゃわちゃと手を振り回しながら、こちらを心配する彼女を見ていると不思議とこちらは心が穏やかになっていく。
「ははは!心配されるのも分かるけど、なんだか君を見てると和んじゃってね。まぁ、元々の性格からして俺はこんな感じだからさ、気にしないでくれ」
「うぅ~…。なんだか子供扱いされてるような気がしますが…。本人が気にしてないなら、いいのかなぁ…?」
「いいのいいの。それより、ツムギちゃん?だったよね。候補生とか、転生とかその辺りの説明を聞いてもいいかい?」
「あ、そうでした!…こほん!まず、私の女神候補生という肩書きですが、これはそのままの意味で見習いということです」
「女神に見習いなんてあるの?」
「はい。神の世界でも世代交代がありまして、今の私は先代女神様の跡を引き継ぐための最終試験を課せられている状況です」
「最終…じゃぁ、俺の転生先での行動とかでツムギちゃんが女神になれるかどうか決まるってこと?」
「正確には、転生したソウゴさんをどの様にサポートして、どの様な結果をもたらしたかといった感じになりますね!」
頑張ります!と、胸の前で拳を握り気合いを入れる彼女を見ていると、やっぱり和むのであった。
「そっか、ならこれも何かの縁だし、ツムギちゃんが女神になれるように俺も頑張るよ」
「そう言ってもらえるのは嬉しいですが、一番大切なのはソウゴさんがソウゴさんらしく生きていくことですからね!私の事はあまり気にしたら駄目ですよ?」
「俺が、俺らしく、か」
俺って、どうやって生きてきたんだっけ…?特に夢や希望もなく、生きている以上はどうしたって生きなきゃならないから、惰性で生きてただけのような気がする…。
「ソウゴさん…?」
「あ、あぁ、ごめんね?少し考え事してただけだから」
「そう、ですか…。」
(でも、なんだか凄く空虚な気配を纏ってたような…?)
「ところで、俺の転生先って決まってるの?」
「あ、はい!決まってますよ!」
「やっぱり、小説でもあるような異世界転生になるのかな?」
「そうですね。ソウゴさんはそういったことに明るいようで、説明する立場としてはとても話しやすいですね。」
「そういったネット小説を、よく読んでたからね」
社会人になり、惰性で生きてたとはいえ娯楽を求めるのは人の性か。そういった空想の世界に耽ることも多かった。
(だから、あんな妄想をして死んだのかもな)
「それでですね、ソウゴさんに転生してもらう場所なんですけど、ブルーアーカイブって知ってますか?」
「!」
ブルーアーカイブ…。何気なくインストールし、新米先生としてプレイしていく中でいつの間にか、その世界観と魅力溢れるキャラクター達により夢中にさせられていた。惰性で生きていた毎日に、ほんの少しの色を貰った。色が付いたら後は簡単だった、現実でも少しだけ周りに目を向けようと思い、実行したら更に色が広がった。
(あぁ、本当に些細な出会いだった。なのに、俺にとってはそれが大きな切っ掛けになった…。)
同僚の中にブルーアーカイブをやっているやつがいた。最初は何気ない、当たり障りのない会話だったと思う。
そこから、更に仲間が増えて誰が推しだとか、ストーリーのあの場面はどうだったとか、俺ならこうしてもっと良くしてやるのにとか、下らない話に華を咲かせたもんだ。
(だからこそ、だな)
彼女達の物語を読み進めて、物語の解像度が上がれば上がるほど、彼女たちの背負うべき業の深さに心が傷んだ。
物語なのだから、盛り上げるためには仕方ないとはいえ、一部の子供には荷が勝ちすぎるものが多々あった。
彼女達は、子供なのだ。別に、子供だから必要以上に感情移入している訳ではない。
あまりにも、救いのないものが多かったのだ。大人だって背負えないであろう、そう思わせるようなものも背負っている子もいる。
だから、俺は思ったんだ。
(荒唐無稽な、とてもじゃないがそんなこと有り得ないと否定されようが、最高最善のハッピーエンドを求めた…。)
そんな世界の戸口に俺は今、立っている。きっとこんなチャンスは二度とない。
なら、俺は…!
「知ってるよ。俺はよく、知ってる」
「本当ですか!では、お願いしても…?」
「うん。任せて。俺はその世界で、俺らしく、俺だけの物語を始めるよ」
「わぁ…!宜しくお願いしますね!ソウゴさん!」
「うん。なんか、行ける気がする」
最高最善のハッピーエンドを叶える。その想いを胸に、俺は転生する誓いをたてた。