~??? 復讐者~
「さて、平行同位体の肉体を奪う事に決めたは良いのですが…。どの様にして探し出しましょうか…?」
復讐者は相変わらずの闇に包まれながらも、その眼を爛々と輝かせながら思考する。
「そうですね、あまり余力は残っていませんが不完全とはいえ、儀式での力が使えるでしょう…。」
自らの内にある力を使い、眼を閉じて平行世界を感知するために意識を集中する。
(…成る程。まぁ、仕組みは理解できていませんがなんとなく平行同位体の存在を知覚出来ますね)
いくつかの存在を知覚して目星を付け始める復讐者。自らと同じ結末を迎える者、或いは初動で潰される者や、そもそもキヴォトス自体に興味も関心も無い者など多岐にわたる。
その中で、一際輝いている存在を見付けた。
(ほう…。過去のキヴォトス、そしてユスティナの所属ですか。この物の過去は…。ふむ、スラム育ちで小さくない闇を抱えている、と。では、現在はーー。)
「…は?」
復讐者は見た。平行同位体の自分とは違う自分の、幸福に満たされた心を、その過去の不幸など忘れたと言わんばかりの笑顔を。
「…なんだ?これは…!」
何故だ?何故貴様は光りに囲まれている…?
ー私は、暗闇で怨嗟に喘いでいるのに
何故貴様の心は暖かな光りに満ちている…?
ー私は、復讐の炎を灯しているというのに
何故貴様の周りには幸福が満ちている…?
ー私は、独りで生きて来たというのに
いや、それよりも何よりも、何故…!!
「貴様は、救われているのだっ!!」
何とも言われぬ不快感に襲われ、胸を掻きむしり、頭を抱える。あぁ…!赦されない…!この私を差し置いて、平行同位体風情が救われ、幸福を得るなどという物語りは…!!
「……決めました。えぇ、決めましたとも。私が肉体を奪い、全てを蹂躙するための苗床にするのは貴女にします…!」
せいぜい今は残り少ない時間を、幸福をしっかりと味わいなさい?……全てを私が丁寧に、然れど苛烈に!凄惨に!二度と希望など抱けないように蹂躙しつくしてさしあげましょう…!
「あははっ!アハハハハハハハハッ!」
復讐者は嗤う。酷く愉しそうに、不愉快そうに。そして、本人は気付かぬ程の小さな羨望を込めて……
「あぁ、確りと貴女の中の希望を育てて下さいね?大きく、抱えきれない程に…!そうすれば…。」
ーー絶望はそれに比例して、更に貴女の心を殺してくれますから。
極上の闇に堕としてあげますからね?
「おや、これはこれはなんという僥倖!道標となるオーパーツまで持っているとは…!」
ーーきっと直ぐに逢えますから、もう少し待っていて下さいね…?私?
「絶対に、ぐちゃぐちゃにしてあげる♪」
ーー邂逅は近い。