プロローグ『2019年の出会い』
~アビドス砂漠 某所~
「あ、れ…?…私、気を失って……?」
「お、気が付いたかい?」
「…あの…。貴方が、助けてくれたんですか?」
「正確には、俺の娘だね。…家族で旅をしている途中でね?うちの子が偶々、砂に埋りかけてる君を見付けたんだ」
「…っ!す、砂に埋りかけて…!?」
助けた少女は自分が誰にも見付からなかった場合の最期を幻視し、自らの身体を抱き締め過呼吸を起こす。
「お姉さん…。大丈夫ですよ…。落ち着いて…。大丈夫…。」
「ひゅー…っ!ひゅー…っ!」
紅い瞳に、自分と同じような長さの
「落ち着いた?お姉さん?」
「うん、ありがとう…。えっと…。」
「メグリだよ。私は、絆 メグリって名前。お姉さんは?」
「ありがとう、メグリちゃん。私の名前はね、梔子 ユメだよ。よろしくね?」
「よろしくっ!ユメお姉さんっ!」
「わわわっ!?…メグリちゃんは甘えんぼさんだね~!」
落ち着いた少女…『梔子 ユメ』にお互いに自己紹介した後、メグリは抱き付き甘えだす。
病み上がりの彼女に無理はさせられないと、メグリの父親…ソウゴは声をかける。
「メグリ?ユメちゃんはまだ本調子じゃないから、その辺にしてお母さん達を手伝ってきて?」
「はーい!…また後でね、ユメお姉さん!」
「うん、また後でね。…もしかして、私を見付けてくれたのって…?」
「メグリだね。…あの子は何故か人の危機に敏感でね。よく誰かを助けているよ…。親としてはとても誇らしいよ」
「優しい子なんですね…。」
「ああ。…おっと、自己紹介がまだだったね?俺はあの子の父親で、絆 ソウゴっていいます。よろしくね?」
「はいっ!あの、助けてもらっててこんな事を頼むのも申し訳ないんですけど…。私を、アビドス高等学校まで連れていってもらえませんか…?」
「遠慮しなさんな。困った時はお互い様、それに君は病み上がりなんだ、最初から安全な所まで送る予定さ。任せなさい」
「あ、ありがとうございますっ!!」
「さ、積もる話もあるだろうけど、先ずは腹拵えだ。お腹減ってるだろ?」
ーくぅ~……。
「ひぃんっ!は、恥ずかしい~…!」
「ハッハッハッ!お腹が減るのは元気な証拠さ。俺の奥さん達が食事を用意しているから、行こう。歩けるかい?」
「は、はい!大丈夫です!」
(あれ?奥さん『達』?あ、メグリちゃんとお母さんで達ってことだよね!うんうん!)
ソウゴとも打ち解けて食事をしに向かう二人。その場でユメは奥さん達と子供達に自己紹介され、大家族っぷりに圧倒されるも、持ち前の気質で直ぐに打ち解けて仲良くなるのだった。
一人の小さな少女が砂漠を進む。何かを探すように、忙しなく視線を彷徨わせて、ふらふらと進む。
ふと、視界の端に何かが過った。
「……あ?こ、れって…。先輩の盾…?」
辺りに視線を彷徨わせるも、他には何も映らず、その瞳にも光りは失われていた。
「……ここにいたんですね、先輩…。帰りましょう…?私達の学校へ……」
小さな身体の小さなその手で、とても大切な壊れ物を扱うように、優しくされども力強く、盾を抱き締め歩きだす。
「……ごめんなさい」
少女の溢した言葉は、誰に聞かれることなく砂の海原に消えていった。
(あっ!ホシノちゃんにきっと心配かけてるよ~…!盾も失くしちゃったみたいだし…。帰ったら絶対に怒られる~!ひぃ~んっ!!)
砂漠の昼と夜とでは温度差ありますからね!多分情緒壊れるでこれ…。
あ、ちょっと前話の年数を13年から12年に変更します。考えてる構想と違ってたことに投稿してから気付いたので…。計算が苦手ですまない…。