最高最善を目指して   作:秋月 ヒカリ

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 構想を纏めたり、仕事関係で遅くなりました。
 投下します!


悪い大人

 ~アビドス高等学校 保健室~

 

 

 連邦生徒会の生徒達をアビドス高校の保健室へ運び込み、全員を寝かせたところでソウゴのスマホが着信を告げる。

 

 

 「モモトーク?誰からーー」

 

 『先程のイベントは楽しんで頂けましたか?』

 

 「イベント…?さっきの不良達の件か…!?」

 

 『よろしければ、添付した場所へお越し頂けないでしょうか?……勿論、御一人で』

 

 (何が目的だ?不良の証言とこの送り主の内容から、恐らく目的は俺だと推測は出来るが…。)

 

 

 突然のメッセージに訝しむソウゴ。その様子に気付いたタツキとミツキが声を掛けてくる。

 

 

 「ソウゴさん、どうかされました?眉間に皺を寄せたまま、スマホを見て固まってますけど…?」

 

 「凄い険しい顔になってるよ?何かあった?」

 

 「う~ん…。ちょっとこれ、見てくれるか?」

 

 

 声を掛けられユメとホシノ、家族みんなに情報を共有する。反応はそれぞれだったが、無視をして今後厄介な事に巻き込まれるよりは、一度話を聞くだけ聞いた方が対策が取れるかもしれないとなった。

 

 

 「でも、とーさま一人で変な人の所に行くのは危ないですよぉ…。」

 

 「ん…。パパが危ない目に合うのは嫌だ。私は反対」

 

 「…メグリ、シロコ。お父さんは大丈夫。二人が心配してそう言ってくれるのは嬉しいよ。…けど、この先もしかしたら家族に危険が及ぶかもしれない。その時になって、ああしておけば良かったなんて後悔をしたくないんだ」

 

 「「とーさま/パパ…。」」

 

 

 不安そうにこちらを見上げる二人を抱き締め、背中をポンポンと優しく叩いて“大丈夫、大丈夫…。”と語り掛ける。

 しばらくすると、二人は安心しきった顔になり、それを確認したソウゴは二人から離れる。

 

 

 「二人とも、もう大丈夫そうだな」

 

 「「はい!/んっ!」」

 

 「…マトイ、ベアトはこのまま連邦生徒会の子達を見ててくれ」

 

 「分かりました。…お気を付けて、貴方」

 

 「任せて下さい!兄様!」

 

 「ヒイロとタツキ、ミツキは一応学校の周辺を警戒しておいてくれ」

 

 「帰ってきたら、ご褒美を貰うからな?ふふっ…。」

 

 「はい!留守はお任せを!」

 

 「りょーかい。あたし達がまだまだ現役だってとこ、見せてあげる」

 

 「子供達は、何かあったときは手分けしてユメちゃんやホシノちゃんを手伝ってあげて?」

 

 「任せて!」×7

 

 「ソウゴさん、気を付けて下さいね?」

 

 「学校は何かあっても私達で守り抜きます。安心して下さい」

 

 「うん、それじゃぁ行ってきます!」

 

 「行ってらっしゃい!」×全員

 

 

 ~アビドス某所 オフィスビル~

 

 

 「…ようこそ、ソウゴさん。本当ならばこちらから出向いた方がよかったのでしょうが、なにぶんこの見た目です。いきなり攻撃されても困りますので、態々御足労頂きました」

 

 「…御託はいい。要件はなんだ、黒服」

 

 「黒服?私の呼称でしょうか?…クックックッ!黒服、黒服ですか…!えぇ、今後は私の事は黒服とお呼び下さい」

 

 (ん?あ、そういえば黒服って呼び名はホシノが付けるんだっけ…?ま、いっか!)

 

 「どうかされましたか?」

 

 「いや、何でもない。本題に入ろう」

 

 「ふむ、私としては貴方との会話をもう少し楽しみたかったのですが…まぁ、いいでしょう。単刀直入に言います、我々“ゲマトリア”に参加し私の協力者になって頂きたい」

 

 「ゲマトリア…?」

 

 

 ゲマトリアへの勧誘と黒服への協力という申し出に、困惑するソウゴ。そんな彼に、黒服は語り続ける。

 

 

 「失礼しました。我々ゲマトリアについて説明しておきましょう。…我々は簡潔に言ってしまえば、探求者もしくは研究者です」

 

 「俺には、その助手の真似事でもしろって?」

 

 「いいえ、とんでもない!……ソウゴさん、貴方にはその神秘を私の研究に使用させて頂きたいのです」

 

 「俺の神秘?具体的には何をさせたいんだ?」

 

 

 ソウゴの疑問に黒服は片手で顔を覆い、愉快そうに笑い声を上げ、興奮しながら唄うように語りだす。

 

 

 「貴方の内包するその神秘!!キヴォトス最高の神秘である小鳥遊 ホシノですら霞んでしまう!!ヘイローのない大人の男性である貴方が何故、そのような神秘を宿しているのか!?その神秘を使い、生徒へ恐怖を植え付ければ私の求める“崇高”を生み出せるのでは!?……失礼、少々取り乱しました。勿論、この実験に貴方の家族へ手を出すことはありません。実験台はこちらで用意致しますので、貴方には神秘を提供して頂くだけです。…如何でしょう?」

 

 「帰る」

 

 「…何か気に食わないことでも?あぁ、報酬についてお話していませんでしたね。それについてはーー」

 

 「子供を犠牲にするような奴の味方にはならない。それだけだ」

 

 「…何故?貴方の家族には手を出さないと言った筈です。貴方の知らない、どこぞの誰がどうなろうと、貴方には関係がないことでしょう?」

 

 「なんだ、知らないのか?子供は世界の宝だ。未来を創っていく存在だ。その可能性を秘めた子供に知ってるも知らないもない。それが分からないなら、もっと子供を知る努力をするんだな?…話はそれからだ」

 

 「…解らない。貴方の言っている事が理解できません。何故?何故?何故?何故?……」

 

 「俺もお前も、昔は子供だったんだ。お前が真摯に子供達に向き合えば、いつかは俺の言っている事が解る日が来るだろうさ」

 

 

 そう告げてその場を去ろうと踵を返すと、黒服が背中越しに声を掛けてくる。

 

 

 「今日は、ありがとうございました。手を結べなかった事は、えぇ、残念です。ですが新たな気付きを得る事が出来たように感じます…。なので、私から貴方へ一つ助言を送りましょう」

 

 

 振り返らずに立ち止まったまま続きを聞く。

 

 

 「…貴方の拾った砂狼 シロコ。彼女には気を付ける事です。家族が大切だと言うのならば尚更に」

 

 

 そこまで聞いて今度こそビルを後にした。

 

 

 「…ふぅ。断られてしまいましたか。しかし、子供と向き合うですか…。」

 

 

 黒服は先程のソウゴの言葉と表情を思い出しながら呟く。

 

 

 「あのように楽しそうに子供の可能性を語るとは…少し、アプローチの仕方を変えてみるのも有りかもしれませんね…?」

 

 

 人知れず未来は少しずつ変わっていく。それが良い事なのか、悪い事なのか?それは誰にも分からない。

 

 

 ーーソウゴが黒服と対談している一方で、アビドス高等学校では……

 

 

 「う、ん…?あれ?ここは…?」

 

 「あ、気が付きましたか?ここはアビドス高等学校の保健室です。あのまま放置するわけにもいかなかったので、こちらに運ばせてもらいました」

 

 「そうでしたか…。すみません、連邦生徒会として不甲斐ないばかりです…。」

 

 「気にしないで下さい!困った時は助け合いです!でしょう?」

 

 「ふふっ…!そうですね、ありがとうございます!」

 

 「それで、ええと…。」

 

 「ああっ!自己紹介がまだでしたね!私は、連邦生徒会所属の1年生ーーー」

 

 

 ーーーー白鳥(しらとり) アロナ と言います!




 悪い大人の黒服さんでしたね。あと、賛否両論あるでしょうが、連邦生徒会の生徒ちゃんの名前は白鳥 アロナとハッキリ名付けました。

 シラトリ区の白鳥と青封筒を叩き付けてくる彼女をガッチャーンコッ!!
 きっと、この世界では歪んだ結末にはならない…筈?
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