最高最善を目指して   作:秋月 ヒカリ

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 アビドスでの出来事の補完に幕間(アビドス編)をちまちま書いていきます。
 良ければ読んでやって下さい…!

 思ってたより長くなったので、上下に分けます。


幕間(原作前のアビドス編)
アビドスでの出会い(上)


 ~ユメ&ホシノの場合~

 

 突然ですが私、梔子 ユメは一度死にかけている。

 

 あの日、ソウゴさん達に発見されなければ確実にアビドスの砂の中へ私の命は消えていただろう…。

 

 それだけじゃない。ホシノちゃんにも一生消えない心の傷を、背負わせる事になっていた。

 

 あの日から私の日常は少しだけ…ううん…。かなり変わった。

 

 ソウゴさん達がアビドスへお店を開いてくれたお陰で、街の活気が少しだけ戻った。アロナちゃんにも感謝しなきゃね!

 

 それになんと、私達と一戦交えた不良…元不良の三人娘、アイちゃん、マイちゃん、ミイちゃんがアビドスへ編入してくれて一気に後輩が増えた!

 

 三人共実はすっごく良い子達で、私の事も先輩として敬ってくれるし、同級生になったホシノちゃんとも直ぐに友達になって遊びに行く仲にもなってくれた。……ホシノちゃんを独り占め出来なくて少し寂しいけど…。

 

 とにかくっ!何が言いたいかというと、上手く纏まらないけど…。今あるこの瞬間瞬間が小さな奇跡の積み重ねで出来ているって事を、強く感じているってこと。

 そして、何かと気に掛けてくれる初めて私達と真剣に向き合ってくれた大人のソウゴさん達には、どれだけ感謝してもしきれないってこと。

 

 アビドスの抱える問題は多く、ソウゴさん達やホシノちゃんにさえ話していないモノもある…。

 でも、信頼出来る大人の意見としていつか話を聞いてもらおうと決めている。勿論、ホシノちゃんにもだ。

 

 私はもうすぐ卒業してしまう。

 だから、私に出来る事を精一杯手の届く範囲でこなし、後輩へバトンを繋いでいこうと思う。

 

                ー梔子 ユメ

 

 

 「…よしっ!手帳への記録完了っ!えへへ…!卒業する迄にこの手帳を思い出で一杯にするんだぁ~♪」

 

 

 “たのしいバナナとり”と書かれた手帳を手に、ユメはくるくるとその場で回る。

 やがて目が回ったらしく“ひぃ~ん…。”と鳴いて、ふらふらとしだす。その際に手帳から二枚の写真がひらりとこぼれ落ちる。

 

 床に落ちた写真の中では、一枚には笑顔のユメと仏頂面のホシノの二人だけの姿が、もう一枚にはクジゴジ堂の前で多くの人と満面の笑みで写る、ユメとホシノの姿があった。

 

 

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 「ふぅ~…。今日の仕事はこれでおしまいですね」

 

 「お疲れ様、ホシノちゃん。この後、ユメちゃんの家に行くんですよね?これ、お土産にケーキを作ったから、よかったらユメちゃんと二人で食べて?」

 

 「いつもありがとうございます、タツキさん!うへへ~!」

 

 「ふふっ、そんなに喜んでくれたら、作った方も嬉しくなっちゃいます♪」

 

 

 クジゴジ堂でのバイト終わりに、タツキさんからお土産を貰い、ユメ先輩の家へ急ぐ。

 今日はユメ先輩の家でお泊まり会の予定なのだ。

 

 なんでも、“最近はホシノちゃん成分の補給が間に合ってないから、たまには二人で夜更かししちゃお?”との事だった。

 

 まったく…!もうすぐで卒業だというのに、確りしてほしいものです…!

 ……まあ?それはそれとして、私達は花の女子高生ですし?仲の良い先輩後輩で、お泊まり会とかは当たり前だと思いますし?…ユメ先輩の家で二人きりとか、何も起きない筈もなく…。

 …って!何を考えてるんだ私はっ!?

 

 はぁ~…。なんだか最近の私は気が緩んでいる気がする…。

 

 そりゃぁ、常に眉間に皺を寄せて頭を悩ませたり、余裕のない表情をするよりは遥かに良いとは思うけど…。

 

 

 「やっぱり、絆一家と出会ってからですよね~…。」

 

 

 これまでの自分は、ユメ先輩と二人でアビドスの問題解決に奔走していて、常に余裕は無かったし大人なんて信じてもいなかった。

 

 あの日、生徒会室でユメ先輩が直したであろうポスターを発見した事と、ユメ先輩が帰ってこなかった事で私の精神は磨耗していた。

 

 そこに追い討ちをかけるように、砂漠で見付けたユメ先輩の盾だ。……正直今でも思い出すと頭の中が真っ白になる。

 後悔と恐怖、絶望といった感情に呑まれきった私の前に元気な姿で帰ってきてくれた先輩を見た時は、感情も情緒もぐちゃぐちゃになり唯々、泣き叫んだ。

 

 ある程度落ち着いたら、知らない大人達と子供達が居る事にそこで初めて気付いて警戒した。が、ユメ先輩の説明で彼等が命の恩人だと知ってからは、寧ろ感謝の念しかなかった。

 

 だって、もう会えないと思った先輩にまた会えたのだ。この瞬間だけは、神や奇跡を信じた。

 

 

 「…あの人達は家族揃って底抜けのお人好しですし。そんなところが、ユメ先輩に被って見えて…。気が付いたらこんなに仲良くなってますし…。」

 

 

 今更あの人達を疑うなんてあり得ないし、疑う気もない。アイ達の件もそうだが、返しきれない恩が出来てしまっている。

 

 

 「いつか絶対に恩返ししますからね!うへへっ♪」

 

 

 今では大好きな人達を思い浮かべて、ちょっと前の私からは考えられないくらいの満面の笑みでユメ先輩の家を目指す。

 

 

 「いらっしゃい♪ホシノちゃんっ!」

 

 「お邪魔します。これ、タツキさんから二人で食べてってケーキを貰ってきましたよ♪」

 

 「うわぁっ♪明日お礼言わないと!」

 

 

 この日は二人が寝落ちしてしまうまで、笑い合っていた。




 地の文が多い…!キャラの心情を書くとこうなるのか…。

 次回の幕間に続きます。
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