~ゲヘナ学園~
皆さん、こんにちは。私は、絆 ヒヨリと申します。
私は今、家族と離れて寮生活をしています。私が入学したのは、ゲヘナ学園というところです。
この学園は治安は悪く、キヴォトス一のカオス極める場所と言っても過言ではないでしょう。
普通はこんな危ない場所にわざわざ通おう等と思わない筈です。なら、何故私が入学を決めたか?それは……
「フウカさんっ!ご飯炊けました!ジュリちゃんっ!卵の在庫持ってきて下さい!」
「分かりました!」
「ヒヨリっ!ジュリが戻ったらオムレツに取り掛かって!それまでは私の代わりに鍋を見てて!」
「了解です!」
はい。給食部に入るためでした。
え?お前は提供する側じゃなくて、される側だろって?やだなぁ、私のママを忘れてません?タツキママですよ?
そう、お菓子作りの達人です!…後はシオリママの影響もありますね。小さい頃は確かに食べる専門でした。ですが、メグリちゃんが産まれて、彼女に喜んでほしくてママ達にお願いして作った料理とお菓子。
それを食べた時の、メグリちゃんの幸せそうに笑って“ありがとう”と言ってもらえた時の衝撃は忘れません…。
それからはママ達に並んで一緒に料理をこなす内に、スキルも上達。食で誰かを笑顔にする事が、私の夢になったんです!
え?それでもなんでゲヘナかって?それは……
「ふぅ…。少し落ち着いてきたわね。ジュリ、ヒヨリ、お疲れ様。取り敢えずピークは乗り切ったわよ!」
「はい~…。今日も何とかなりましたね~…。それにしても、ヒヨリちゃんが給食部に入部してくれて本当に助かりました!」
「うん。ジュリと二人だと、やっぱり人手が足りなかったもんね。即戦力のヒヨリには感謝しかないわ♪」
「や、止めてくださいよ~!褒めてもらえるのは嬉しいのですが、私は二人の姿に感銘を受けて入部しただけですから~!」
そう、私が入部した理由…。それは、フウカさんとジュリちゃんの姿に私の目指す夢の形を視たからです。
毎日、何千食という数を二人で捌き提供する。これがどれ程のものかは普段料理をしない方でも、容易に想像出来るでしょう…。
こちらを見学させて頂いた際に、お二人に何故毎日こんなに大変な作業を続ける事が出来るのかを尋ねました。
すると、お二人はこう言いました。
──自分達の料理で、誰かが笑顔になってくれる瞬間を見るのが好きだから。
この一言で私はゲヘナ入学を決意しました。
入学後は即、給食部へ入部。その日から私も腕を振るっています!
……ただ、やはりここはゲヘナ学園。唯一の不満があるとすれば───
「しっかし、給食部の料理もさ~。もう少しレパートリー欲しいよなぁ?」
「ね~。味もそんなに美味しい!って、思える程ではないしさ~?」
「最近入った奴のお陰か、前よりは大分ましだけどよ?こう…わざわざ食いに来てやってる側からしたら?マジ、もっと精進してくんね?って感じ?」
「きゃははっ!それなあ~♪」
──はい。こういった一部の生ゴミが涌くせいで、とても不愉快になります。……ふと、フウカさんとジュリちゃんに目を向けると、会話が聴こえていたのか悲しそうに顔を曇らせています。
──ふぅ…。ちょっと分からせるか。
「おい、お前ら。出されたもんに文句あるなら、さっさと出ていけ。こっちもお前らみたいな奴に食わせる料理はねぇんだよ」
「あ?んだお前?喧嘩売ってんの───」
──ズガンッ!!……ドサリっ…。
「喧嘩を売る?勘違いすんな。私が今からすんのはな……ゴミ処理だ」
「…上等だッ!一人不意打ちで倒したくらいで、調子に──」
──ゴシャッ!
「はい、二つ目」
「な、なんなんだよお前…!」
「喋ってる暇あんの?」
「へ…?ッ!!」
──バキッ!ゴッ!
「きゅう~…。」
「三つ目」
一人目は弾丸で、二人目は銃でフルスイング。三人目は顎と腹に拳を打ち込みダウン。残りは一人…。さて、どうするか?
「え?え?なん、何、なんでこんな事…!」
「なんで?…分からないの?」
「ひいッ!ご、ごめんなさい!わ、分かりません!」
「はぁ~…。」
──ビクゥっ!
「そうか、分かんないか…。いいよ、教えてやる。お前らさ、私達の料理を貶したよな?」
「へ…?い、いえ!そんなことは…!」
「美味くないし、もっと精進しろだったか?」
「あ…あぅ…。」
「…お前、料理した事はあるか?」
「い、いえ…。ありません…。」
「そんな奴が人様の料理にケチつけてんじゃねぇッ!!」
「ぴぇっ!?……きゅう~…。」
最後の一人はヒヨリの威圧に呑まれ、気絶。と、同時にヒヨリの雰囲気も何時もの調子に戻る。
「ふぅ~…。ま、またやっちゃいました~!」
「相変わらず何度見ても、人が変わったようになるわよね…。本当に二重人格じゃないの?」
「ヒヨリちゃんっ!カッコいいです~!」
「うぅ…。感情が昂るとどうにも…。お恥ずかしいですぅ~…。」
私のこの特徴は、完全にタツキママの性格を引き継いでいます…。
今でこそ丸く、面影は無いですがタツキママも昔は苛烈な性格だったらしく、今でも感情が昂るとその片鱗をみせる時があります。
でもでも!仕方ないですよ!人が一生懸命心を込めて作った料理にあんな事言うなんて!
「ふふっ…。ヒヨリさん、実に見事な制裁でしたわ。あのような輩は、貴女が手を下さなければ私が裁いていました」
「げ…!出たわね、ハルナ!」
「うふふ。フウカさん、あまり邪険にされると私、泣いてしまいそうになりますわ?」
「白々しい…。」
この、顔と声とスタイルの良い女性は、
彼女は美食を極めるという目的を持ち、ありとあらゆる食に通じている凄い方です。
「しかし、少し前に比べて先程の様な無作法な輩は、数が減りましたね?これもヒヨリさんのお手柄ですね」
「そうなんです!ヒヨリちゃんが失礼な人達に怒ってくれるお陰で、皆さん綺麗にご飯を食べてくれるようになったんですよ~!」
(お残しとか行儀悪かったりしたら、分からせられるからとか絶対口に出せねぇ~!)食堂のゲヘナ生徒一同
「…まあ、そうでしょうね。怒ったヒヨリさんには、私でも対処できるか分かりませんもの」
チラリと食堂のゲヘナ生徒達を流し見たハルナは、代弁するようにそう言ってトレーを返却口へ置く。
「フウカさん、ジュリさん、ヒヨリさん。今日も、大変美味しいご飯をありがとうございました。ご馳走さまです♪」
「はい♪いつも感想ありがとうございます♪」
「では、私はこれで失礼します。ご機嫌よう」
「また、いらしてくださいね~!」
颯爽と去っていくハルナの背に声を掛ければ、背中越しにサムズアップを返すハルナ。
その背を見送りながら、給食部の三人は休憩と次の仕込みを始める。
近い将来、ハルナが美食研究会なるものを立ち上げ、給食部を巻き込んでドタバタが発生するのだが……それはまた別のお話。
ヒヨリの性格は基本的には原作ベースで、前向きかつ努力家。そして、感情が昂ると母と同じ様に激情家へと変貌します。