あんまり重くは無いと思いますが、どうぞ。
「学園都市キヴォトス」…。
かつてはそう呼ばれ、大勢の生徒達が青春を送っていた場所は今では炎で彩られ、昼も夜も空を赤く染めている。
そんな場所に「魔王」と呼ばれる存在が一人、燃え盛る世界で佇んでいた。
「……見つけましたよ、魔王」
不意に、その背中に声を掛ける狐が現れる。
「……返事の一つくらい返したらどうなのです?かつては共にあった仲でしょう?」
傷の無いところを探す方が難しい程、ボロボロな姿で狐は言葉を投げ掛け続ける。
「アビドスの皆さんは、最期まであなたを信じて戦い散っていきました。ゲヘナ、ミレニアム、トリニティ、山海経、百鬼夜行、レッドウィンター……キヴォトスの皆、皆があなたを信じて戦いッ…!散っていきましたッ!!皆ですッ!!皆があなたを最期の最期まで信じてッ!!希望を託してッ!!笑って散っていきましたッ!!!!」
狐は血反吐を吐きながら、こちらを見ようともしない「魔王」に向かって叫び続ける。
「……あの方も、最期まであなたを信じて……私にあなたを頼むと、最期まで隣に立てなくて申し訳ないと……そう言ってッ!!私を心配させまいと、笑いながら逝ってしまったッ!!」
狐は涙を流し髪を振り乱し、怒りと悲しみと苦痛に満ちた顔で叫び続ける。
「なのにどうしてなのです…!どうしてあなたが「魔王」として、この世界を破壊しているのですかッ!!○○○さんッ!!!!」
名前を叫ばれたことで、ようやく狐の方へ振り返る「魔王」。
「……ええ、分かっています。「どうして」「なんで」なんて問いに意味が無いことは…。……だから、私もここからは己の中の醜い感情のままに……魔王、お前を殺すッ!!!!!!」
……MARK Ⅸ SET IGNITION! REVOLVE ON DYNAMITE BOOST! GEATS Ⅸ READY…… FIGHT!
「……分かっています…この力を持ってしても、世界は救われない…。何も戻らない…!だけど……お前を殺す事は出来るッ!!うわぁあああああッーーーーー!!!!!!」
「……」
白き狐は、理性を失った獣の如く「魔王」へ拳を、蹴りを、武器を叩きつける。
しかし、それを「魔王」は動じること無く受け、流し、終いには避けも防御もせずに、狐と幾百、幾万もの拳のぶつけ合いを行う。
永遠に続くと思われた命のやり取りは、唐突に終わりを迎える。……狐の敗北によって。
「……あ、ぐッ…!ゲホッ…!……結局、私では、あなたを止められないんですね…。……どうして、こうなってしまったんでしょうね……」
虚ろな目で、大量の血を吐きながら「魔王」へ語り掛ける狐。
「……ごめん」
「……え?そ、の、声…。そんな……あなたは…!どうして…!」
「……ごめんなさいっ!!」
狐は「魔王」の声に何かを悟り、まるで迷子の子供をあやすような、そんな声で最期の力を振り絞り、「魔王」の頬へ手を添えて優しく言葉を紡ぐ。
「……そう、ですか…。あぁ……私は、こんなにも多くの痛みを背負ったあなたを……残して逝かなければならないのですね…。ごめんなさい…あなたの痛みを、理解、して、あげられなくて…。ごめんなさい…あなたを独りぼっちにしてしまって…」
「あぁ……やだ…!ごめんなさいっ!ごめんなさいっ!逝かないでっ!ごめんなさいっ!」
「あの方の言う通り……あなたの隣で……支えられなくて……ごめんなさい…。……どうか、叶うのならば……あなたにも救いが……あります……よう……に……」
狐は最期の言葉を紡ぎ終えると、頬へ添えた手を落としてその人生に幕を降ろす。
世界に独りぼっちとなった「魔王」は、声にならない叫びを上げる。
それは嘆きであり、己を呪う呪詛であり……大切な者を手にかけてしまったことによる、懺悔であった。
このどうしようもない程に、捻れて壊れた凄惨な青春の物語はこうして……幕を
うん。重かったわ。
書きはしたものの、これが本編と交わるかは……物語の展開次第です。