最高最善を目指して   作:秋月 ヒカリ

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 圧倒的、感想に感謝・・・!!
 感想をくれる方々もそうですが、読んでくれている方々にも圧倒的感謝を!!

 なんやかんや今回も長くなりました!読んでやって下さい!


ご注文は便利屋ですか?

 「ワ~カ~モ~ちゃ~ん~?」

 

 「いひゃい、いひゃいでふっ!あなひゃひゃまっ!!」

 

 「ああ・・・。ワカモお姉ちゃんのほっぺたが、お餅みたいに・・・!」

 

 「まぁ、話を聞いた限りでは仕方の無い部分もあるけど・・・すぐに俺たちに連絡くれずに、そんな悲惨な覚悟決められてもなぁ~・・・」

 

 「ソウゴさんや私が、なんのために居ると思ってるの!そんな悲しい覚悟を決める前に、ちゃんと相談・・・助けを求めなさいっ!」

 

 「ごめんなひゃい~・・・!」

 

 「頼って貰えないと、以外と寂しいものだからさ。大人って」

 

 

 ワカモとセリカの二人は無事に帰っては来たものの、明らかに何かに巻き込まれた感満載の姿(特にワカモ)に騒然。

 ワカモとセリカの説明に、先生は危険なことに相談無しで、しかも悲しい覚悟まで決めていたことに怒った。

 

 結果、ワカモのほっぺはお餅のように伸びた。

 

 

 「でもまさか、ワカモちゃんが仮面ライダーになるとはなぁ・・・」

 

 「そうなんですよっ!もう、ワカモお姉ちゃんったら最っ高に格好良くて~!」

 

 「うへ・・・セリカちゃんのお姉ちゃん呼びも驚きだけどね~」

 

 「うぅ、痛かったです・・・。その事については、私がセリカちゃんの事を妹のように想っていると伝えたからですね。それとご心配をお掛けして、申し訳ございませんでした・・・」

 

 「今度からは、何かあったらちゃんと連絡してね?」

 

 「はい。約束致します、あなた様、ソウゴさん」

 

 「ところで、お二人とも昨夜はちゃんと休めていないんですよね?午前中は特に予定もありませんから、ゆっくり休んでください」

 

 「ふあ~・・・。そう言われたら、なんだか急に眠気が・・・」

 

 「あらあら、セリカちゃんはお眠なんですね?では皆様のお言葉に甘えて、私と仮眠を取りましょうか」

 

 「うん・・・お姉ちゃんと一緒に・・・寝る・・・・・・」

 

 

 きゅっ、とワカモの服の裾を掴んで目を擦りながら眠たげにそう言われたワカモ。

 

 ん”ん”っ!と鼻を押さえて悶えながら、半分寝落ちしているセリカを横抱きに抱いて「失礼致します」と一礼して教室を出ていった。

 

 

 「・・・いや、ホントに何があったらあそこまで関係が深まるのさ?」

 

 「ん、セリカとは私達の方が長く居たのに・・・これが寝取られ。脳が破壊される・・・!」

 

 「ん、寝てから言え」

 

 

 ホシノの呟きにチロコが反応し、ヨワコが突っ込む。まあ、それ程の衝撃があったということだろう。

 

 

 「取り敢えず、午前中は二人も起きてこないだろうし、俺は変な奴らがうろついてないか見回りに行ってくるよ」

 

 「ん、なら私も同行する。いつ行く?パパ」

 

 「チロコ院・・・じゃない、別に俺一人で大丈夫だぞ?」

 

 「はぁ・・・ダディは娘心が分かってないなぁ。チロコはさ、人一倍寂しがり屋だって知ってるでしょ?長いこと会えてなかった分、私達よりも寂しがってたんだよ?だから連れて行ってあげてよ」

 

 「甘えん坊なところは変わらずか・・・。よし!行こうか、シロコ?」

 

 「(パァァッ!)ん!ん!ん!」

 

 

 最高にキラメイた笑顔で、ソウゴの回りを駆け回り喜びを表すシロコに、「身体は大きくなっても、なんやかんやまだ子供なんだなぁ」と微笑むソウゴ。

 

 最初に会った時の暴走は、寂しさの裏返しか。と一人納得しながらシロコと見回りに出た。

 

 ・・・なお、見回りが終わり学校へ戻るまでにシロコに5回襲われた。一応、すべて防ぎきったことをここに記す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~アビドス某所~

 

 

 「・・・格下のチンピラと三下のゴロツキごときでは、あの程度か。主力戦車とメモリまで送り出したというのに、このザマとは」

 

 

 夜。薄暗い何処かのオフィスでそう呟く影が一つ、佇みながら思案している。

 

 

 「ふむ・・・となると、目には目を、生徒には生徒を、ライダーにはより強力な怪人を・・・か。専門家に依頼するとしよう」

 

 

 そう呟いて、影はどこかへ電話を掛ける。

 

 

 『はい、どんなことでも解決します。便利屋68です』

 

 「仕事を頼みたい、便利屋・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~元カタカタヘルメット団アジト~

 

 

 「あれ~?変だね~?誰もいないよ~?」

 

 「こ、こっちにも誰もいません・・・!」

 

 「まあ、私達としては弾薬も節約できるし良いけど・・・。これ、依頼人からちゃんと依頼料払われるのかな・・・どう思う?ボス」

 

 

 もぬけの殻となったアジトで蠢く四つの影。

 

 その中で、ボスと呼ばれた一人が真っ白な中折れ帽子を被り直し、ワインレッドのコートを風に靡かせながら応える。

 

 

 「・・・私達が請け負った依頼は、前任者達にクビを言い渡すこと。それと、その任務の引き継ぎよ。依頼主には、前任者達は逃げ出していたと伝えれば十分でしょう。後は・・・」

 

 

 バサリ、とコートを翻らせて振り向き言葉を続ける。

 

 

 「依頼にあった内容を私達が遂行するだけよ。さあ、あなた達?準備は良いかしら?」

 

 

 問われた三つの影は無言で、己の獲物を掲げて答えとする。

 

 

 「よろしい。では、行くとしましょうか。依頼にあった違法な手段を使って、キヴォトスを混乱に導いているという連中・・・」

 

 

 雲の隙間より、月明かりに照らされ四つの人影が照らし出される。

 

 

 「アビドス高等学校の生徒達を倒しに・・・我ら、便利屋68がねッ!」

 

 

 そう宣言し、もう一度月が雲に隠れた時、もうその場には誰も居なかった・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ー時は戻ってアビドス高等学校。

 

 

 「それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます。いつもとは違って先生にソウゴさん、ワカモさんもいらっしゃるので、いつもより真面目な議論が出来そうです!」

 

 「う~ん・・・それじゃぁ、いつもは真面目じゃないみたいに聞こえますね☆」

 

 「そ~だ、そ~だ~。うちらはいつも真面目だぞ~、アヤネちゃん?」

 

 「あははっ!先輩達って、とっても面白い冗談が言えるんですね!」

 

 「ア、アヤネちゃんの背後に鬼が見える・・・!」

 

 

 ソウゴとシロコが見回りから戻り、セリカとワカモも休息を取り終えた午後。

 

 全員で生徒会室兼対策委員会室にて会議を行っていた。

 

 始まりの挨拶の際には、先輩のちゃちゃに青筋を浮かべたアヤネだったが、先生の執り成しで話を進める。

 

 

 「議題は「学校の負債をどう返済するか」と「アビドスの人工をどうすれば増やせるか」について、具体的な方法を議論します。ご意見のある方は案をお願いします!」

 

 「はい!はい!」

 

 「はい、1年の黒見さん。お願いします」

 

 「・・・あのさ、まず名字で呼ぶの、やめない?ぎこちないんだけど」

 

 「せ、セリカちゃん・・・でも、せっかくの会議だし・・・」

 

 「いいんじゃない?今日は先生にソウゴさんも来てるから、少しでも格好いいところ見せたいんだよ。いや~、お姉さんにはよく分かるよ~?その気持ち」

 

 「ほ、ホシノ先輩っ!そんなんじゃないですっ!もうっ!」

 

 「えっと、気を取り直して・・・対策委員会の会計担当としては、現在我が校の財政状況はそれなりに安定しているわ。これは、支援してくれる企業や、ここ数年のアビドスが少しづつでも盛り返してきているからという点があるわね」

 

 

 セリカはホワイトボードに現在の収入と残りの負債を書いていく。

 

 

 「残りの負債は約4億8千万・・・これは、恐らく私達1年が3年に上がるまでには完済できる。ただし、今のペースを維持できれば、という懸念点もあるけれど」

 

 「そうですね。後輩に負の遺産を押し付けてしまうのは、3年の私達の唯一の心残りですが・・・はい、完済は可能でしょう」

 

 「うん、アイ先輩の言う通り完済は可能。でもそれではい、終わりじゃない。マイナスを0に戻しても、安定してプラスの収入がなければ、すぐにアビドスは元に戻る・・・」

 

 「う~ん・・・。そうだよね、来年も新入生が来てくれるかは分からないし、そうなった場合、最初のペース維持が難しくなる・・・。割りと難しい問題だね」

 

 

 先生がそう言ったところで、セリカは「その発言を待ってたわ!」と言わんばかりに、目を輝かせて自分のプランを語り、一枚のチラシをホワイトボードに貼り付ける。

 

 

 「ふふふ・・・そんな不安を吹き飛ばすための、私が用意したプランがこれよっ!刮目なさいっ!」

 

 「なになに・・・?「ゲルマニウム麦飯石ブレスレットであなたも一攫千金」?・・・えぇ~?」

 

 「ん、ほんの数秒前までからIQがガクッと下がった。セリカはやっぱりこうでないと・・・!」

 

 「ん、急にまともな事を言い始めたときには、偽物かも?って思ったけど、ちゃんと落ちがついて良かった。安心した」

 

 「・・・あれ?反応悪い?なんで?」

 

 「セリカちゃん・・・それ、よくあるマルチ商法だよ・・・」

 

 「・・・な、なんですってぇ~~~!?」

 

 

 アヤネの言葉に、何処かの誰かのような悲鳴を上げて白目を剥くセリカ。

 

 その姿を見てほっこりするシロコズ。

 

 セリカはハッと我に返ると焦り出す。

 

 

 「ていうか、私、2個も買っちゃったんだけど!?」

 

 「セリカちゃん、騙されちゃいましたね。可愛いです☆」

 

 「まったく、セリカちゃんは世間知らずだねー。気を付けないと、悪い大人に騙されて、酷いことになるよ?」

 

 「そ、そんなぁ・・・そんな風には見えなかったのに・・・。みんなの役に立つと思って、貯金下ろして買ったのに・・・」

 

 「セリカちゃん?本当に悪い人は、善い人のふりをして近づいてくるものです。・・・それはそれとして、どのような人だったのか詳しく、お姉ちゃんに教えていただけますか?」

 

 「そうですね☆他にも被害に会う方が出ないように、私も知りたいです☆」

 

 「うへ、お姉さんにも教えてほしいな~?」

 

 「私にもお願いします」

 

 「お姉ちゃんに先輩達・・・?目が怖いわよ・・・?」

 

 

 セリカに騙した人物の人相を聞くワカモ、ノノミ、ホシノ、アイの目は笑っておらず、ヘルメット団を殲滅に行った時と同じ目をしていた。

 

 

 ー閑話休題。

 

 

 「おほんっ!・・・仕切り直しまして、他に案のある方はいますか?」

 

 「私に良い考えがある」

 

 「・・・はい、2年の砂狼 シロコさん」

 

 「ん、銀行を襲う!」

 

 「はいっ!?」

 

 「5分で1億は稼げる。借金はこのまま返済していって、このお金はプール金にして困ったときに使う。ん、完璧なロジック!あ、みんなの覆面も用意したよ?」

 

 「ん!私も覆面を編むの手伝った!私達二人の完璧なオーダーメイド!着け心地は保証するっ!!」

 

 「却下だ、バカもんっ!!」

 

 「「あだっ!?」」

 

 

 シロコズの提案に二人の頭に拳骨を落として却下するソウゴ。

 

 当の本人達は、なぜ駄目なのか?という目で訴える。

 

 

 「普通に犯罪だろうが!俺はおまえ達を、そんな悪い子に育てた覚えはないぞ!?」

 

 「「・・・ん、冗談でした。ごめんなさい・・・」」

 

 「・・・分かればよろしい」

 

 

 素直に反省した二人の頭を撫でてやるソウゴ。二人は撫でられてご満悦の表情を見せて、自分からもグリグリと頭を押し付ける。

 

 ・・・さては、こいつら確信犯だな?

 

 

 「シロコちゃん達の案は却下されたので、次は私です☆」

 

 「・・・はい、2年の十六夜 ノノミさん」

 

 「うふふ♪私の案は、とってもクリーンかつ確実な方法です!それは・・・アイドルです!スクールアイドル!」

 

 「ア、アイドル・・・!?」

 

 「そうです!アニメで観たんですけど、学校を復興する定番の方法はアイドルです!私達全員がアイドルとしてデビューすれば・・・」

 

 「いいね。アリだよ、ノノミ」

 

 「ミサキちゃん!分かってくれますか!」

 

 

 今まで静観を貫いていたミサキが、ノノミの案に食い付く。

 

 

 「全員がってのは現実的じゃないから、そこは少人数のユニットにして各地域を回って宣伝する。最初は収益は見込めないだろうけど、認知度が上がれば物珍しさから各学園から呼ばれたりするだろうし、グッズや企業とのコラボなんかも見えてくる。それになんと言っても、人気が出ればそれ目当てでアビドスへ足を運ぶ人や、入学を希望する人も出てくる可能性は高い。もちろん、ギャンブル性の高い話ではあるけど、それだけに成功した時のリターンは大いに期待出来る。だから私はこの案に賛成だよ」

 

 

 早口で語られる内容にほとんどの者は、ぽか~んとしているが先生は腕を組んでしきりに「うんうん」と頷き、ノノミは・・・

 

 

 「私、決めポーズももう考えてるんです!いきますよ~・・・水着少女団のクリスティーナで~す♧」

 

 「ふっ、ノノミ・・・天才か?」

 

 「えへへ~♪ミサキちゃん程ではないですよ~♪」

 

 「水着少女団のクリスティーナ・・・推せるっ!!」

 

 「先生・・・?」

 

 

 と、このように混沌を極めた会議ではまともな解決策も出ず、終いにはアヤネが、無言で静かに表情を変えずに涙を流したことにより周りが慌てて会議は終了。次回に持ち越しとなった。

 

 そして現在・・・・・・。

 

 

 

 

 

 「いやー、悪かったってば、アヤネちゃーん。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」

 

 「怒ってません・・・」

 

 「格好良いところをソウゴさんに見せれなくて、悲しいだけですもんね?はい、お口拭いて。はい、よくできましたねー☆」

 

 「赤ちゃんじゃありませんからっ。それにそんなこと思ってませんっ!」

 

 「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」

 

 「(もごもご)ふぁい」

 

 

 誰が見ても拗ねているアヤネを、柴関ラーメンにてもてなしている。ソウゴの膝の上で。

 

 

 「ミサキちゃん、シロコちゃん達、良かったの?アヤネちゃんにお父さん取られて?」

 

 「「「別に取られてないし?今回は特別だし?」」」

 

 「いや、十分不服そうじゃない・・・」

 

 

 先生の問いに若干不服そうに答えたところを、セリカに突っ込まれる三人。そうしていつものように騒いでいると・・・

 

 

 (ガタッ、ガララッ)

 

 

 「あ・・・あのぅ・・・」

 

 「いらっしゃいませ!何名様ですか?」

 

 「こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」

 

 「一番安いのは・・・580円の柴関ラーメンです!看板メニューなんで、美味しいですよ!」

 

 「あ、ありがとうございます!」

 

 

 (ガララッ)

 

 

 「ん?」

 

 「・・・ソウゴさん、今の少女・・・」(コソッ)

 

 「ああ、分かってる・・・」(コソッ)

 

 「へ?二人ともどうしたの?って、うわぁっ!?」

 

 

 耳打ちし合うワカモとソウゴ。二人は先生を連れて、店の奥へ隠れる。

 

 

 (ガララッ)

 

 

 「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」

 

 「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」

 

 「そ、そうでしたか、さすが社長、何でもご存知ですね・・・」

 

 「はあ・・・」

 

 

 メニューの値段を聞き、すぐさま外に出ていったので訝んでいると、すぐに戻ってきた少女。

 

 セリカは怪訝に思いつつも、普段通りに接客を行う。

 

 

 「4名様ですか?お席にご案内しますね」

 

 「んーん、どうせ1杯しか頼まないし大丈夫」

 

 「1杯だけ・・・?でも・・・どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので、空いている席も多いですし」

 

 「おー、親切な店員さんだね!ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて。あ、我が儘のついでに、箸は4膳でよろしく。優しいバイトちゃん」

 

 「えっ?4膳ですか?ま、まさか1杯を4人で分け合うつもり?」

 

 「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!!お金がなくてすみません!!」

 

 「ハルカ、声が大きい・・・」

 

 「そんな!お金がないのは罪じゃないよ!胸を張って!」

 

 「へ?・・・はい!?」

 

 「お金は天下の回りものっ、てね。もう少し待っててね。すぐ持ってくるから」

 

 「・・・何か妙な勘違いをされてるみたいだけど?」

 

 「まあ、私達はいつもはそんなに貧乏ってわけじゃないんだけどね。強いて言えば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」

 

 「「アルちゃん」じゃなくて社長でしょ?ムツキ室長、肩書きはちゃんと付けてよ」

 

 「ん?だってもう仕事は終わった後じゃん?ところで、社長のクセに社員にラーメンの1杯も奢れないなんて」

 

 「ぐっ・・・」

 

 「今日の襲撃任務に投入する人員を雇うために、ほぼ全財産使っちゃったし・・・」

 

 「ふふふ。でもこうして実際ラーメンは口にできるわけでしょ?それぐらい想定内よ、カヨコ」

 

 「たったの1杯分じゃん。せめて4杯分のお金は確保しておこうよ・・・。もし、こんなとこを「おやっさん」に見られてたら、何て言われるか」

 

 「ぶっちゃけ、忘れてたんでしょ?ねえ、アルちゃん。夕飯代取っておくの、忘れてたんでしょ?このハーフボイルド!」

 

 「誰がハーフボイルドよっ!ハードボイルドよっ!」

 

 「はあ。ま、リスクは減らせた方がいいし。今回のターゲットは、その辺の雑魚みたいに扱えないってことには同意する。でも全財産をはたいて人を雇わなきゃいけないほど、アビドスは危険な連中なの?」

 

 「・・・ええ。なにせ依頼主によると、奴らの中には「災厄の狐」と「絆 ソウゴ」がいるらしいわ」

 

 「は?狐の方はまだ分かるけど、「ジオウ」が?・・・ねえ、社長、この依頼本当に・・・・・・」

 

 「はい、お待たせいたしました!お熱いのでお気をつけて!」

 

 

 (ダンッ!)

 

 

 アル、と呼ばれる少女へ質問しようとしたカヨコの言葉は、セリカの台詞により遮られる。

 

 

 「ひぇっ、なにこれ!?ラーメン超大盛りじゃん!」

 

 

 ムツキと呼ばれていた少女は運ばれてきたラーメンを見て、目を丸くする。

 

 

 「ざっと、10人前はあるね・・・」

 

 「こ、これはオーダーミスなのでは?こんなの食べるお金、ありませんよう・・・」

 

 「いやいや、これで合ってますって。580円の柴関ラーメン並!ですよね、大将?」

 

 「ああ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ。気にしないでくれ」

 

 「大将もああ言ってるんだから、遠慮しないで!それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」

 

 

 そう言って、にこやかに去る二人。

 

 

 「う、うわあ・・・!」

 

 「よくわかんないけど、ラッキー!いっただきまーす!」

 

 「・・・ふふふ、さすがにこれは想定外だったけど、厚意に甘えて、ありがたく頂かないとね」

 

 「食べよっ!」

 

 

 全員で一口啜る。

 

 

 「「「「!!」」」」

 

 「お、おいしい・・・!」

 

 「なかなかイケるじゃん?こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティなんて」

 

 「(スッ)でしょう、でしょう?美味しいでしょう?」

 

 「あれ・・・?隣の席の・・・」

 

 「うんうん、ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざ来るお客さんもいるんですよ」

 

 

 ラーメンが褒められて嬉しくなったノノミは、持ち前のコミュ力で話しかける。

 

 

 「ええ、分かるわ。色んな所で色んなものを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの」

 

 「えへへ・・・私達、ここの常連なんです。他の学校のみなさんに食べていただけるなんて、なんか嬉しいです・・・」

 

 

 同じようにアヤネも続く。

 

 

 「その制服、ゲヘナ?遠くから来たんだね」

 

 「私、こういう光景を見たことがあります。一杯のラーメン、でしたっけ・・・」

 

 「うへ~、それは一杯のかけそばじゃなかったっけ?」

 

 「(ムツキ、連中の制服・・・)」

 

 「(あれ、ホントだ)」

 

 「うふふふっ!いいわ、こんなところで気の合う人たちに会えるなんて。これは想定外だけど、こういう予測できない出来事こそ人生の醍醐味じゃないかしら」

 

 「(アルちゃんは気づいてないみたいだけど?)」

 

 「(・・・言うべき?)」

 

 「(面白いから放っておこ!)」

 

 

 ちらり、と窺えば楽しそうに話に花を咲かせているアル。それを見て、小さくカヨコは溜め息を吐く。

 

 

 「(この後の展開が、手に取るように分かるのは、良いことなのか悪いことなのか・・・)」

 

 

 しばらくして、お互いの健闘を祈り合って分かれる。

 

 そして、ムツキとカヨコに彼女達の正体を聞いたアルは・・・。

 

 

 「なななな、なっ、何ですってーーーーーー!!!???」

 

 

 アビドスの大地に、少女の叫びが木霊した・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふっ・・・いよいよ、私の出番が迫っているみたいですね?」

 

 

 とあるビルの屋上から、その光景を眺める一つの影は、にんまりと笑顔を作ると、颯爽とアビドス高等学校へ向けて飛び立つのであった。




 
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