私長崎までしか言った事無いので、佐世保イベを経験された提督さんがおられましたら、アドバイスを教えろくだされm(__)m
いよいよ大和さんのお迎えイベントです。色んな人や艦娘を巻き込んだ大騒ぎになります。どうぞお楽しみください。
●再び時間は戻る 翌日15時22分
『ヒトゴフタフタ、赤城でしゅ。てーとくと秘書艦たちはじゅーよー任務中、です。泊地の運営は大淀さんが一時的に引き継ぎ……ふぁー。すみません。欠伸が』
Starring:提督
どうしてこうなった?
俺、大作戦をやり遂げたんだよな?
最初に未決済の書類の山を見せられた時、ガチで叫びそうになった。アイエエエ!? ナンデ、追加のお仕事ナンデ!?
「はいはい! 現実逃避してないで、手を動かしなさいよ!」
かりかりとペンを動かしながら、書類の山を見つめる。今時紙の書類の山を。今日の秘書艦、霞が言った。赤城や漣や大淀、本職の事務屋の鈴木一曹はどうしたって? みんな疲れてベッドに沈んでるよ。最初は全員で取り掛かっていたんだが、一気に片付けた結果大量のお代わりが来たので、ローテーションを敷いて提出期限ぎりぎりに
ちなみに、機密書類だから情報の流出はうんたらかんたら、要は必要以上の人数の艦娘に手伝わせるなと言う事だらしい。それを聞いたときは即座に呉に通信を開き、思いつく限りの放送禁止用語で偉い人をなじってやろうかと思った。やらなかったけど。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆
『ツダヒロム、これからあなたは標的にされる』
ダッチハーバーへの帰り際。深海大使は言った。
『分かってる。南洋艦隊や、人類側の講和反対派も妨害を企てるだろうしな。でもって今一番目立ってるのは俺』
『そう、あなたはデコイ』
はっきり言ってくれるな。もともと俺は鎮守府解体派から目を付けられている。そして奴らは講和に反対。”異物”を信用していないからだ。
俺がやるべきは、派手に動き回って奴らの妨害を正面から受ける事。会談やら外交やらは綾郷さんや外務省の偉い人がやってくれるだろう。
『分かってる。任せろ』
そう言ったが、多分陰湿な嫌がらせが来るんだろうなと、この時覚悟した。現実はその上を行っていたわけだが。
『ツダヒロム、頼みがある』
おもむろに彼女は言った。何だろう? 俺に叶えられる頼みなんて思いつかないが。
『ワタシに人間の名前を付けて欲しい』
『人間の名前? 何で俺が?』
艦娘たちや先輩の方が、余程センスのいい名前を考えそうだが。
『ツダヒロムは、ワタシの初めての人』
語弊のありそうな、しかも理解に苦しむ理由だった。だがまあ、俺に付けて欲しいと言うなら仕方ない。長谷部に子供の名前を相談された時も無駄に悩んだな。俺の子ってわけでもないのに。名前一覧とか、そう言うサイトもあるが、こいつの場合フィーリングで決めた方が喜んでくれそう。無根拠にそう思えた。
そして、俺を見つめる期待のまなざしに気付く。ひとつは赤、もうひとつは青のオッドアイ。その目を見ていて、何となく口が動いた。
『”アオ”……ってのは?』
『アオ?』
『青だよ。まんまお前の右目の色から取っただけ』
首をかしげているので、気に入らなかったかと思ったが、大使――アオはうんと頷き、言った。
『ワタシはアオ。記録した』
なんか本当にそれで良いのかは知らんが、まあ気に入ってくれたのなら何より。ところが何を思ったか、いきなり彼女がつぶやいた。
『ツダ・アオ』
『はい?』
何で俺の苗字を並べる? この子の考えてる事はよくわからん。これが異文化ギャップと言う奴だろうか? 防大で回教徒の留学生と交流した時は、もっと上手く行ったんだが。
『あんたっ! また性懲りもなく!』
その後何故か肩を怒らせた霞が、俺の耳を盛大に引っ張ってくれたわけだが。
異文化どころか、泊地理解も進んでないな俺。
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憂鬱な気分は最高潮。この報告書は何枚目だっけか。そもそもさっき書き上げたのと何が違うんだろうか? まあいいや。どうせ受け取る方も全部は見てない。適当に何枚か抜き出して、
「硫黄島から事務員を回してもらえないの?」
霞の疑問はもっともだが、多分無理だ。先輩は現在、硫黄島の北洋艦隊大使館立ち上げの準備に追われている。流石に今までの経緯もあるから、都内や呉に大使館を設立するのは時期尚早。下話がまとまり、北洋艦隊との講和が正式に発表された後、タイミングを見て都内に大使館を移すかもしれない。との事である。
つまりは、先輩は表向きは戦死したままで、便利なエージェントとしてあちこちを飛び回る事になったらしい。拠点は硫黄島だから、ここにも頻繁に顔を出せるそうだ。嬉しくはあるが、あれだけ大変な目に遭った後では釈然としない。
「大使館の立ち上げには事務方はいくらいても足りないし、仮に増員できても提出させられる書類が増えるだけだ」
「……ほんっと、最低ね」
実際最低である。講和を妨害した鎮守府解体が俺に命じたのは、硫黄島作戦の報告の体裁で命じられた大量の書類である。これに備えて俺は、便利なツールの開発とか、書類のフォーマット記入のマニュアル化とかをこっそり鈴木一曹にお願いしていたわけだが、まさか手書きでの提出を命じられるとは思わなかった。しかも電子化して送信するのは禁止、郵送オンリーである。
(赤城も漣も、大丈夫かな? あいつら無理してないかな? させてるのは俺だが)
それでも結局、頼らなければいけない状況になる。
俺は、硫黄島作戦が終わったら、彼女達の気持ちに「答え」を出すと言ったのにこのざまだ。大切には思ってるそれは確実で、絶対にそうだと言い切れる。でも異性としてはどうだろうか? 正直俺には、あの二人がまぶしい。でもだからこそ惹きつけられる。
答えと言っても、その気持ちを正直に吐き出すしかないと思う。そして現状でそれすら出来ていない。気を抜いたら誰かが倒れる状況だから仕方ないのかも知れない。でも仕方ないと言い訳したくもない。
指で眉間を摘み、引き出しを開けてキュウリやエシャロットのスティックを取り出しポリポリかじる。口が寂しくなるからだ。最初は飴とかせんべいだったんだが、それを見た萩風が悲鳴を上げてくれやがったので糖質の少ないメニューとなった。最初は味気なかったが、慣れると結構旨い。
「しれぇ! しれぇ!」
勢いよく飛び込んできた雪風は、興奮した様子で俺と霞を交互に見る。彼女は時としてアクティブではあるが、騒がしい子と言うわけではない。今日の彼女はいつになく興奮していた。
「大和さんが来ましたっ!」
俺は霞と顔を見合わせた。それは極上の朗報。ただしこんな状況でなければ。
「雪風。矢矧や磯風たちにも声をかけてきてくれ。霞、悪いが書類の方は深夜残業だ」
二人とも、異議などあろうはずもない。俺たちは、発見された大和が眠る医務室に向けて駆けだした。