長門さんを要約お迎えしたので、ながむつタッチをすべく改二まで育ててます。次のイベントこそは完走!(毎回言ってる )
※連続ですみません。またナンバリングミスってました。修正しました。
●大和の配属から二週間後
Starring:提督
書類はもういいぞ、と。綾郷のとっつぁんが待ちに待った言葉を言った時、俺たちの目の下には、くっきりクマが浮かんでいた。後ろで秘書艦たちが小さくガッツポーズしているのが、しっかりディスプレイに反射してる。俺ももう、取り繕うのとかいいや。
「よろしいんですか?」
『あんまりおめぇさんに負担かけ続けると、かえって怪しまれるからな。連中が次の手を使うまで、今は休め』
「了解です」
現金なもので、こういう時の敬礼は自然と力が入る。綾郷さんはすまんなと一言言って、通信を閉じる。
「じゃ、皆さん。寝ましょうか」
大淀があふうと小さく欠伸した。彼女らしくない仕草だが、なんか可愛らしい。咳払いして誤魔化した。
「じゃあ、後は長門と加賀に任せる。なんかあったら起こしてくれ。あと鈴木一曹はここじゃなく寮で休めよ? 奥さんと子供も待ってんだろ」
鈴木一曹は小さく敬礼して、部屋を出ていく。しかし長期シリーズなのに台詞がひとつもないなこいつ。俺も派手に欠伸しながら、事務仕事を任せた艦娘たちに、睡眠を取るように指示を出した。
「提督、寝るまで映画は禁止ですよ?」
「以下同分ですぞ」
なんで分かるんだよ? こいつらエスパーか?
「いやね、週末映画劇場で『ホットショット』やるのよ。俺エイブラハムズ監督のファンでさぁ。ああいうのは暗い時代に必須の……」
赤城の目がすっと細まり、漣の顔からも朗らかさが消えた。コワイ。
「大人しく寝ます」
「そうしてください。ただでさえ提督は、大和さんの件で走り回って睡眠削ってるんですから」
お説教したものの、赤城は疲れでテンションを持続できなかったらしい。彼女までもがあふうと可愛く欠伸した。
「ではお疲れ様でした漣」
「はい、オマエモナーです赤城。今日はもう何もしません」
この二人、いつの間にかすげえ仲いいよな。赤城も加賀とのきりっとした関係みたいのじゃなくて、女子高のノリで慣れあってると言うか。いいことだと思う。
さあ俺も寝るとしよう。今日ばかりは腐るほど寝る。体内時計の狂いとか知ったことではないのだ。
でもまあ、分かってたさ。こういう時に限って、最大の問題はやってくると。
「大佐、申し訳ないのですが、至急取り次ぐように通信がありまして」
受話器を取って何やらやりとりしていた下士官が、ばつが悪そうに報告してきた。面倒事とかは勘弁してくれよ?
「また綾郷さんか? 繋いでくれ」
「いえ、そうではなく」
下士官が口ごもった時、泊地を周辺を警戒しているピケット艦隊から緊急通信が入る。ディスプレイに表示された龍驤の顔は「緊急」というより、厄介事を抱え込んで、処理に困ったという表情だ。
『ええと司令官。何も言わずに
「あれ?」
龍驤は説明を放棄し、装備しているカメラを「あれ」の方に向けた。望遠レンズのピントが合わさり、その外郭明らかになって行く。
「提督、あれって」
「ああ、赤城はあれを知らんよな。完成したのはミッドウェイの後だから。日本人にとっちゃ因縁の船だ」
映像の向こうには巨大な戦艦があった。艦娘ではなく、本物の超々弩級戦艦。敗戦時、日本が降伏文章に調印した、終わりを告げる戦艦。そして深海棲艦と戦うため、記念館として眠っていた終の棲家から、再び海に乗り出した古兵だった。
「BB-63〔ミズーリ〕!」
米海軍が艦娘の補助戦力として、大戦型の艦艇をレストアしてるのは知ってたが、よくもまあこんなデカブツを短期間で復活させたものだ。彼女を護衛するのは、”艦娘の方の”空母や駆逐艦だ。サイズ差がなかなかにえぐい。
『提督! 見てますか!?』
『戦艦ですよ戦艦! 長砲身の16インチ砲ですよ!? CIWSもトマホークも取り外されて、ボフォースと5インチ砲に戻ってます!』
『艦橋の形状も昔と今のちゃんぽんですね。いやあ流石アメリカさん。徹底してますねぇ』
いきなり通信に割り込んできたのは明石と夕張。泊地が誇るメカフェチ軍団だ。誰かが気を回して映像を二人に送ったのだろう。分析は助かるが、寝不足にあのテンションは疲れる。
しかしダッチハーバーが落ち着いているとは言え、アメリカさんもなんでこんなものを
「とにかく、通信を繋げてくれ。話してみないことには」
開いた通信は、艦橋でもCICでもなく、艦首の突端を映していた。俺は思わず赤城、漣と顔を見合わせる。突然、一人の艦娘が画面に登場し、両手を振り上げた。
『I'm the queen of the world!』
世界は私のものだ! 有名な映画のセリフと共に、ドヤ顔で現れたのは戦艦アイオワ。〔ミズーリ〕の姉の魂を持つ、アメリカ海軍最強の戦艦だ。
『タイタニック』は、俺も円盤が擦り切れるほど観たが。まさか実際あれをやるやつがいるとは。
彼女は傍らに立ち、超苦笑しているサラトガから、拡声器を受け取り、叫んだ。
「会いに来たわよ!
俺たちは呆然として、彼女を見つめる。
変なのはうちの泊地だけじゃなかったんだな。