仮免提督といじわる空母・改二   作:萩原 優

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アメリカサイドの事情です。

また人間サイドのオリキャラ増やして正直スマンカッタ。でも艦娘以外の人間がこの世界どうかかわっているのかも、少しだけ書いて行きたいです。

ラストに向けて少しずつ助走をつけていきます。


第108話「好敵手の来訪(その2)」

数日前、ホノルル基地第二艦隊 提督執務室

 

Starring:アトランタ

 

 ニュージーランドの援軍艦隊が帰還早々、何故か居残り組の自分まで呼び出された時は、何か嫌な予感がしたのだ。そして当然のようにそれは的中する。

 遠征軍から、旗艦のアイオワを始め、レキシントンとサラトガが報告に来ている。

 

「まずはお帰りなさい。報告書はリアルタイムで読んだけど、直接所感を聞きたいわ」

「それより、丹賑(ニニギ)で大和がReturnしたんでしょ!?」

 

 食い気味に身を乗り出すアイオワに、ガーベラ・タネンバーグ少将は、ぱさっ扇子(せんす)を開き、優雅に扇いで見せた。

 

「耳が早いわね。でも仕事が先よ」

 

 アイオワが渋い顔をして唸る。報告が最優先なのは至って当然のことである。ただ焦れる彼女を楽しそうに見ているのは、正直どうかと思う。部下いびりというより、子犬を弄って遊んでやっているようでだ。二十代で大規模艦隊を任されている俊英と言う話なのだが、人柄の方はどうにも尖っている。好かれてはいるが。

 

「制海権は一進一退ね。今のところ轟沈は抑えられてるけど、一刻も早く北太平洋の戦力を南に振り分けるべきだと思う」

「異論はないわ。……北洋艦隊がいなければね」

 

 Admiralは、海図を呼び出し、コンソールに展開した。状況はきっと、よろしくない物なのだろう。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 深海棲艦北洋艦隊は、硫黄島の疾患により、日米両国に包囲を受けている。しかし環太平洋の人類軍が、北洋・南洋両艦隊に挟み撃ちに合っている状況は変わらない。

 

「北洋艦隊は、和平に応じたりしないのでしょうか?」

 

 サラトガの質問は、沈黙で返された。そんな生易しい相手では無かろう。”もしそうだったら”、窮地を切り抜ける布石になるが。

 

「さて……何だったかしら?」

 

 あーもうと言わんばかり、アイオワが机に両手を置いた。

 

「大和とBattleしたい!」

 

 まるで子供の用に、彼女は唯一無二の要求を突き付けた。Admiralは静かに微笑を浮かべているけれど。

 

「あの、そろそろ」

 

 本題に入ってやれと、サラトガが苦笑して助け舟を出す。それで満足したのか、Admiralは扇子をパチンと閉じ、

 

「アドミラル津田の話では、彼女は今かなりひどいスランプのようね」

「Yamatoが? Realy?」

「そう聞いているわ」

 

 大和と言うフネは、連合艦隊の象徴と聞く。そんな彼女とスランプのイメージは、どうも繋がらない。

 

「でもNo problemよ! Yamatoなら乗り越えるわ!」

「そうでしょうね。でも時間がないの。”決戦”は近い」

 

 息をのんだ。太平洋を取り戻すには、その大きな戦いを経なくてはいけない。一人の轟沈も出さずにだ。

 

「そうなっても、MeがYamatoをHelpするわよ!」

「アイオワ、ちょっと頭冷やしなさい。不調なのはあなたも同じでしょう?」

 

 レキシントンに痛い所を突かれて、アイオワは悔しそうに口をつぐむ。どうやら彼女は、まだ重めのスランプから抜けきっていないらしい。彼女が何を悩んでいるか、アトランタはだいたい察しがついた。いや、この場の全員が気付いていて、復活を信じている。そしてもちろん焦ってもいるのだ。

 

「まあいいでしょう。この四人でタスクフォースを編成する。そしてタネンバーグ少将の名において命じる。大和に勝ってきなさい」

 

 Admiralは、扇子でアイオワを差す。彼女の振る舞いは威圧的だが、頼もしさも周囲に与えると思う。

 

「もちろんよ必ずWinするわ!」

 

 今すぐ旅支度を始めかねないアイオワを、Admiralが呼び止める。

 

「テストを兼ねて、〔ミズーリ〕を連れてきなさい。砲弾は置いておくけど、補給物資を運んでもらう」

(My Sister)も一緒に行けるの? Excitingじゃない!」

 

 派手好きな二人である、個人的にいれば、守る対象が増るだけで迷惑である。あれは移動司令部兼対地攻撃用。かさばるから見つかりやすい。

 

「私も、五航戦(ゴコーセン)と戦ってもいいのよね?」

 

 レキシントンまで悪乗りを始める。ため息は何とか我慢した。

 

「ええ、ただしあなたも同じよ。やる以上は翔鶴と瑞鶴に勝ちなさい」

「もちろんよ!」

「サラも、レックスの補佐をよろしく頼むわ」

「はい。頑張ります」

 

 ああやだ、こういう体育会のノリ。

 

「それからアトランタ。あなたを呼んだのは他でもない」

 

 やっぱり自分にも何かあるようだ。日本の防空艦とやりあえとかごめん被る。水雷戦隊に勝てと言われたらもっと嫌だ。もうあいつらと関わりたくない。

 

「アトランタ、あんたは津田宏武大佐に会って、信頼できる人物か見極めなさい」

 

 予想外の名前が出てきた。そもそもAdmiralは、津田提督の着任以来色々と面倒を見てきた。今更自分が彼を寸評する事に意味があるとは思えない。

 

「何故、私が?」

「それはあなたの胸に聞きなさい」

 

 理不尽極まりない命令だった。ついでに言えば、日本艦とやりとりするのもそもそも調子が狂うのだ。津田提督だって別に興味は、ない。

 

「じゃあ別の子にしましょうか? 最大のチャンスを逃がすわよ?」

「……」

 

 黙り込むアトランタを、アイオワたちが不思議そうに見つめている。自分だって、彼女たちを支えたい。でもどうも駄目なのだ。そう言うのは。

 

「あんた、彼と腹を割って話すべきだだと思うわ」

「……腹を割った結果。なにも無かったら?」

 

 つい本音が漏れ出す。Admiralの表情が苛立たし気に変わる。

 

「あーもういいわ面倒くさい。命令、丹賑島に行きなさい。行かないと抗命罪」

「……」

 

 予想はしていたが、結局そうなるらしい。

 

 アイオワ、大和、そして津田宏武。そして今は味方になった、ソロモンの仇敵たち。変わるわけないのだ。どうしたって。

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