そして来週ですが、私用につき更新日がずれるか、翌週まとめて二話公開になると思われます。お含みおきくださいm(__)m
●12時00分
『ヒトフタマルマル。間宮です。本日閑閑亭は、アメリカ艦と乗員の皆様に開放する為、貸し切りになります。『間宮』と『居酒屋鳳翔』は通常営業です。お越しをお待ちしています』
Starring:提督
「さあBattleしましょうYamato!」
アイオワは拳を握って言う。ポケモンでも戦わせるみたいなテンションだな。
「ええ、光栄です」
ここは泊地に建設したレクリエーション施設。ハイソな部屋と食事を楽しめるモダンな娯楽施設だ。一応、と言っては失礼だが、お客を迎えるので相応の施設を用意した。
ちなみに明石と夕張は、昨日から〔ミズーリ〕に入り浸っている。
名指しされた大和はにこにこと笑いながら、テーブルにナイフとフォークを並べて行く。アイオワは、何故かわくわくしながらそれを見つめている。
この場にいるアメリカ艦は四人。アイオワと、その隣にごめんなさいと目線で謝って来る、やっぱり苦笑顔のサラトガ。その姉のレキシントンはきょろきょろしながら、「翔鶴は? 瑞鶴は?」とつぶやいている。お前もかよ。
長テーブルの端っこでため息をつくのはアトランタ。彼女のつぶやきが聞こえてしまった。
「帰りたい」
ああ、俺も帰って寝たいよ。
しかしなんだろう。初対面から彼女は、こちらをちらちら見てくるような。
サラトガは任務や情報交換で直接会ったことがある。アイオワも一度作戦でご一緒したが、あとの二人は通信でのやりとりだった。
と言うかアイオワはなんか人が変わってて怖い。もうちょっと老練さを兼ね備えたやつなんだが。
「ええと、とりあえず事情を聞いてもいいか?」
もうそう言うしかないので、単刀直入に尋ねる。一番まともなサラトガに。
「ニュージーランド前線から帰還中に大和さんの復活を知ってから、ずっとこの調子で。悪気は無いんです」
悪気がないのは見てりゃ分かるが。
「アイオワは、大和さんと戦うことを楽しみにしていましたから」
「ハワイのタネンバーグ提督は?」
「『勝ってきなさい』と」
俺は指で眉間をつまむ。あの人も大概変人だからな。
「お待たせしました。前菜のスープです。日本のあら汁の技法で、ローストした魚の骨を使っています」
疲れ切った俺を気遣ってか、大和は笑顔でアメリカ艦たちを接待してくれている。実際帰りたがっていたアトランタも、スープを一口してぱっと表情が変わり、無言でスプーンを動かす。
「Amazing! 凄いわ! JapanとEuropeの融合ね!」
アイオワの圧が凄い。流石に大和も若干気圧されている。楽しそうではあるが。
彼女の配属から二週間経ったが、マジ大変だった。彼女がどうしたらうちの艦隊で気持ちよく過ごしてくれるか。書類仕事の中で頑張りに頑張った。何が大変って、ろくに映画も観てないことだよ。俺も『タイタニック』観てーよ。
「大和と戦うのは良いが、どんな規模でやるんだ? 正直懐事情はかなり厳しくてな。派手にやるには資源が無い」
アイオワがえーっと絶望的な顔をする。だが無いものは無い。ハワイからの支援物資も、可能なら備蓄に回したいくらいなのだ。
「滞在は?」
「ええと、二週間です」
そんなにかよ。うーん、しょうがないか。
「何とかしよう。それまでうちの艦娘と交流でもしててくれ」
「瑞鶴は!?」
ガタッ、レキシントンが身を乗り出す。ハワイの艦って、皆こうなのか?
「現在パラオから帰還中。ちょうど今日の夕方には戻る」
その答えで満足したのか、彼女は奇麗な所作で着席。スープを味わいだす。
「〔ミズーリ〕にはハワイからの生鮮食料品を積んできました。輸送船でないので資源は無理でしたが」
米軍はそりゃ北号作戦みたいな無理はしないわな。しかしハワイの果物とかなら、皆喜ぶ。特に一航戦とか浜風が。
「魚料理と肉料理、どちらが宜しいでしょうか?」
大和は話題に関わらず、ホテルのオーナーに徹している。むむむ、とアイオワがメニューとにらめっこする。
「どちらにすれば、YamatoをKnowできるかしら?」
何故かKnowと言う単語が気になった。勝ちたい、ではなく知りたいのか?
「明日もくればいいじゃない? 私は肉料理を」
レキシントンのもっともな助言に、アイオワの顔がぱっと輝く。
「ただごめんなさい。牛も豚もここでは貴重で。でも鳥料理は自信がありますよ」
「Yamatoの工夫!? Meatにするわ!」
ほんと、なんなんだろうな?
メインディッシュに
「大和さんは、どうしてここで料理をされているんですか?」
「それはMeもAskしたいわ!」
アップルパイに伸びたフォークは、再び定位置に戻された。別に隠すつもりではないんだが、その大和の態度がな。
当の大和は最高の笑顔で、ティーカップを持ち上げた。
「提督に勧めて頂きました。まさに完璧な采配でした」
「采配?」
レキシントンが怪訝そうに聞き返す。そりゃそうだわな。
「津田提督は素晴らしい方です。誰にでも優しく、私達艦娘に親身で、指揮は的確。人事も行き届き、日々映画で見分を広げる勤勉さと、海防艦や子供たちへの気遣いも……」
まじで止めてくれ。ちょっとしたアドバイスをしただけで、そんな完璧超人になった覚えはない。あと映画は純然たる趣味である。
「そ、そう」
レキシントンもドン引きした様子で、俺の方を向き直った。
「どう言うこと?」
俺は答えない。なぜなら答えなど知らないからだ。
「ふーん?」
アトランタが料理から目線を戻し、俺を見る。なんだろう? 値踏みするような目は。
ただ一人アイオワは、目を爛々と輝かせていた。
「そこにYamatoのSecretが!」
また嵐がやってきたな。正直眠い。