うちの鎮守府もぜひお迎えしたいんですが……資源的に苦しいかも。でもお祭りがあれば乗るのも艦これの楽しみ方なんですよね
さてこれより艦娘たちは、陰謀渦巻く海洋冒険へと旅立ちます。
いつもとは少し違う戦い、どうぞお楽しみください。
Starring:提督
映画は、伝説の冒険飛行家、アメリア・イアハートの物語である。女性飛行機乗りのアメリアが、大西洋に挑戦し、航空史に名を残す。彼女は負けん気の強さで、次々と偉業を成してゆく、スポンサーの男性と結ばれ、家庭生活も幸福だった。しかし破滅は訪れる。彼女は1937年、赤道上世界一周飛行を計画し、南太平洋で消息を絶った。捜索にはアメリカ海軍が乗り出し、日本も協力する事になった。そこに駆り出されたのが、神威やレキシントン、コロラド達だそうだ。
かくて、伝説的存在を失った人々の嘆きと共に、物語は終わる。
物語の終焉に拍手は無かった。ただため息があるだけだ。翔鶴は一人の女性の死を悲しみ、瑞鶴はずさんな体制のが挑戦者を失わせたことに憤った。アイオワは何も言わないが、物語がハッピーエンドで終わらなかった事に、感じるものがあるのだろうか。
しかしまあ、映画は気に入ってくれたようで、わいわいと感想を言い合う時間となる。
「本物の彼女も、こんな人だったんでしょうか?」
神威の問いは素朴なものだったが、その答えは残念ながら、この場の誰も知らない。
「そうね。ちゃんと助け出して、けじめを付けたかったわ」
快活なレキシントンまで、懐かしそうに目を細めた。
「Kejime? Jpanese Harakiri!?」
相変わらずアイオワは変なテンションだが。
「違うわよ。皆で約束したの。これから戦いが始まるかもしれないけど、私達できっちりアメリアを救出して、日米が手を結んだ証としましょう。それが終わったら負い目も後悔もなく、フェアに戦いましょうって。私は初戦で沈んじゃったけどね」
会議室が静かになった。この場にいる全員が、その気持ちを痛いほど理解したからだ。やがて翔鶴が鼻をすすり出す。彼女はこう言う話に弱いのだ。
「なるほどなぁ。もののふの矜持ってわけか」
俺の大仰な言い方に照れたのか、彼女は手のひらを振って見せた。
「でも姉さんにそんな事情があるなんて、知りませんでした。サラも力になりたかったです」
サラトガがそんなことを言う。理知的だが人懐っこい彼女が、今日は何処か寂しそうだ。
「私もです。レキシントンさんと別な形で出会いたかったです!」
「私も私も!」
鶴島姉妹までそんなことを言い出し、レキシントンが破顔する。
だけどな。当時の情勢はあんなだし。お前らが全員で出張ってきたら、そのまま軍事衝突だったろうな。
まあ、アメリアの行方も、歴史の謎のままなんだろうな。
「そうでもない」
いきなり背後から話しかけられて、面食らった俺は大慌てで飛び退き、ちゃっかりと椅子でポテチを食べているアオをみて、息を吐いた。相変わらず背広姿だが、白い肌とオッドアイは変わらない。お前の姿でいきなり出られると、寿命が縮まる気がするんだよ。長年の対立のせいだから、こればかりはどうにもならない。
「なんの用よ?」
不信感を隠さず、瑞鶴が問う。翔鶴も露骨に彼女を睨みつけている。神威は心配そうに状況をうかがっているが、アオが何かすれば、すぐに受けて立つだろうな。加賀の腕を引っこ抜いた深海棲艦である。講和条約を準備中とは言っても、はいそうですかと仲良くできるわけでもなく。俺がこいつとそれなりに親しくしてるのも、面白く思わない子も多い。
「情報がある」
「何のよ?」
レキシントンも敵対派のようだ。サラトガは温和な態度は崩さないが、警戒心は解いていないだろう。
「まずは話をListenしてみましょう。いきなりFightな態度じゃ話にならないわ」
唯一アイオワだけは人懐っこい態度を崩さない。もし裏切られても叩き潰す自信があるとでも言いたげだ。
そして当のアオだけは、何を考えているのか。無表情のまま、とんでもない話をきりだす。
「アメリア・イアハート。合衆国の冒険飛行家。既に学習している」
「だから、なんなのよ?」
苛立たし気にレキシントンが問う。用がないなら帰れと言いたげに。
「彼女の情報を、女王のアーカイブで見た」
神威とレキシントンが顔を見合わせる。確かに、木葉先輩が深海棲艦との混血であるなら、彼女達はずっと昔からこの海で暮らしていることになる。もしかしたら。そんな想いが頭をよぎったのだろう。
「彼女は南洋に眠っている」
「信じられません。私たちがあれだけ探しても」
言いかけた神威が言葉を止めた。自分の感情を制御できないのかも知れない。
「軍艦は、深く潜れない。私たちは潜れる」
そりゃ、名前が深海棲艦だからな。しかし、彼女はヘイトを受けてまで、何を伝えたいのだろうか?
「案内する。彼女の最後の場所へ」
「いや、ちょっと待て。それだけの情報でこいつらを行かせられんぞ。マーシャル辺りはこちらの制海権だが、そこから先は競合海域だ。南太平洋はまだ最前線なんだからな」
アオが言っているのは、二人の大切な記憶を人質に取っているようなものだ。いくら和平の使者でも、承服できることとできないことがある。
「そこまで行く必要はない。彼らはもうそこに来ている」
「何が言いたいのでしょうか?」
苛立つ翔鶴に、アオはやはり無表情だった。
「私たちはまだ、憎まれている。だから仲直りがしたい。共に行くのなら、手がかりを伝えたい」
彼女はそう言って、懐から小さな箱を取り出した。
事件はそこから始まる。