ガンダムの短編に浮気してましたが、今日も更新します。いつもの時間に予定が入ったので、午前中の更新です。第六章はこのまま怒涛の展開に突入します。どうぞお楽しみに。
Starring:提督
正直、俺も驚いた。二人の激情は初めてだったから。陽気なアイオワと、感情を見せないアトランタ。二人は、いやきっと多くの艦娘が秘めている。かつて日本艦と
「Meたちはずっとずっと戦って、いろんな
久我は言葉を失い、基地職員たちもまた、
「
俺だって
さあ、そろそろ話を締めようか。この戦いの勝者は、俺でも久我でもない。アイオワとアトランタだ。
「と言うわけで、
久我は大きくため息をつく。いかにも譲歩してやると言う上から目線で、彼は言う。
『とにかく、このお祭り騒ぎを止め給え。君が乱心したと更迭を進言する事も出来る』
「どうぞ。そうなったら一切合切ぶちまけるがな。さあ、どうする?」
久我の返答は早かった。俺はその事実から、恐らく南洋艦隊による艦隊とアオの襲撃は、どうも上手くいっていないと読み取り、内心で安堵した。
『とにかくお互いの
よし、言質を取った。何とかドローに持ち込めた。あとはお互い言いっこなし。「次」はこんな突発の馬鹿試合ではなく、もっとちゃんとした舞台で相まみえよう。
「小官も随分と興奮したようだ。無礼を詫びよう。会議中に失礼した」
それだけ言って回線を切ろうとしたとき、久我はこともなげに言った。
『君と言う人間を知れてよかったよ。講和会議で会うのを楽しみにしている』
つまり、次の戦場は、講和会議の席上と言うことだろうか。もちろん受けて立つ。
『それと、無敵艦隊に酔うのはほどほどにな。痛い目を見ないよう、慎重にな』
通信が切れた。最後の言葉の意味を推察する前に、ブザーが鳴り、スクリーンが赤城たちに切り替わった。
『大和さんが被弾しました! 長距離からの精密射撃で!』
!!
「艦載機は? 敵の攻撃は継続中か!?」
怒鳴るように受話器に呼び掛ける。
『継続的な攻撃もありません! 艦偵は出しましたが、大型艦は確認できません!』
とりあえずは安心だが、久我の意図は何だ? こんなでかいカードを意趣返しの為に切るような男でもあるまい。
「大和のダメージは?」
『主砲を盾にしたせいで体へのダメージは何とか押さえられたそうです。しかし主砲一基が歪んで原型をとどめてません』
赤城の返答に安堵したものの、恐るべき事実を認識するに至る。
「つまり、長距離からのピンポイント攻撃で一発百中、大和の分厚い装甲版をぶち抜いたって言うのか?」
『そのようです』
赤城の口数は少ない。敵を仕留められなかった屈辱と、更なる脅威にさらされたという事実が、彼女から多弁さを奪ったのだろう。
久我の意図なんてもう丸わかりだ。このタイミングでこちらの切り札、大和を沈めること。
「夕張、映像は見ているな。一体
『分かりません。大和さんをアウトレンジできる砲なんて、はっきり言って超絶技術です。深海棲艦の技術体系とは異なりますね』
「つまりだ。人間の技術を使っている可能性もある、と?」
夕張は、技術者らしく明言を避けた。だが可能性はあると言うことだろう。
そして第一の容疑者は久我だ。
「再装填の時間は、割り出せないか?」
無理を承知で夕張に尋ねる。やはり断言はしなかったが、それでも最低限の予想は出してくれた。
『水柱の大きさから、それなりの巨砲だと推定されます。推定ですが、それなりの時間が必要だと思われます』
それならば交代ではなく、距離を詰めて戦うと言う選択肢も出てくる。俺も今回ばかりは即断できなかった。選択を間違えたら、一方的に撃たれて多数の轟沈を出すリスクがあった。
『提督、申し訳ありません!』
スクリーン越しの大和は、しょげた姿を想像していたが、意外にも
『提督は、
「え? いやそう言うわけでは」
『お任せください提督! 大和、
ま、まぁ無力感に苛まれるとか、そう言うんじゃなくて良かった、かな?
だが半分は自分を鼓舞する言葉だろう。彼女をもってしても、あれをもう一発食らうのはまずい。それはつまり、戦場のあらゆる艦娘が一撃で轟沈になる可能性を示唆している。
コンソールから編成表を呼び出した。艦隊速度を考慮に入れて、高速戦艦の出撃を後回しにしたのが裏目に出た。かと言って低速の重戦艦を前に出すのは危険。だが艤装が破損した大和を突出させるのは論外だ。バックアップ無しだと、被弾したら助ける者がいなくなる。あと一隻、高速戦艦が欲しい。
いや、いるではないか。最強のカードがもう一枚!
『提督! Meたちがいるわ!』
スクリーンにアイオワ顔面がアップで映される。間抜けな光景に、俺は少しだけ緊張から解放された。
「戦艦アイオワ、ひとつだけ問う。まだ大和を
指令部の人間たちは、何の話かと聞き耳を立てている。またか、とか言ってるやつもいるが、今回は不問にしよう。
「答えはYes!よ。でも大和を知るのに、遠回しな
俺はにやりと笑う。アメリカ最強が復活なさったそうだ。タネンバーグ少将には申し訳ないが、国際問題上等でやらせてもらう。
表情から伝わったようで、アイオワが敬礼する。大和を追い回していた姿とは全く違う、獰猛な笑みともに。
「暁、聞いていたな。お前たちが一番近い。アイオワとアトランタを連れて、大和と合流しろ」
彼女たちはベテラン駆逐艦だ。考えなしの猪突はない筈だ。
『任せて!』
『っぽい!』
『なのです!』
駆逐艦たちから次々
『提督さん、いいっぽい?』
『私も!』
「ん? 何だ?」
暁と夕立が、発言の許可を取って来る。正規の通信なら許可なんかいらないから、多分私用だな。だが、今回は見逃す事にする。
『アトランタさん、アイオワさん! ありがとう! 大好きっぽい!』
『2月になったら豆まきだから!』
アトランタが呆けたように画面を観る。お隣さんの意見で申し訳ないが、愛されてない艦娘なんていないんだよ。
「大和、空母部隊と連携して敵を捜索しろ。見つけ次第攻撃していいが、」
『はい提督! 今のアイオワさんなら百人力です!』
静かな笑みと共に告げる。だがただの笑みではない。挑発を受ける強者の笑み。彼女は彼女で待っていたのだろう。
それを見ていたら、俺の心配も不安も、何処かへ行ってしまっていた。
俺は回線をアイオワに繋ぎ、明確かつ断固とした命令を下した!
「アイオワ、
「Yes sir!!」
戦いの第二幕は、始まる。