さてアイオワ覚醒回です。大和とアイオワ。お互いへのリスペクトがすごいのに、何処か緊張感のある関係(という解釈)が好きなんですよね。
作中の描写は、史実のアイオワに意思があったら、きっと忸怩たる思いで戦後を過ごしたろうな、と言う思いから来ています。
さて、どうなりますか。お立合い。
Starring:アイオワ
アイオワの大戦は、実質”あの屈辱の命令”で閉じられた。
『〔アイオワ〕級の投入はナシだ。Yamatoは航空攻撃で撃沈する』
あの日の命令には落胆した。しかし仕方ないとも思っている。軍事的ロマンチズムより、人命が大切。大和に付き従う随伴艦も皆歴戦のベテランばかり。同じ舞台で戦えば、必ず痛い目を見る。上層部はそれを恐れた。
だが屈辱は、その後に与えられた。彼女の新たな任務は、日立市・室蘭市への攻撃。軍事工場任務だったが、民間人の被害者を多く出した。
自分は最強になるべくして生まれた戦艦。なのになぜ、最強の巨砲は無抵抗の民草に向けられているのか。大和との決着も付けさせてくれなかったのに。
艦娘になって、呑み込もうとした。深海棲艦の鬼級や姫級は強い。油断すれば轟沈を招くほどに。しかし戦って戦って戦ううち、むなしさを感じるようになった。
自分は市民を殺すために生まれたのではない。最強の存在、
戦う理由が少しずつ、少しずつ。見失われてゆく。
自分はまだ日立や室蘭を引きずっている。アイオワはそしてスランプになった。自分は拗ねていたのだ。大和が守るために戦い散って、自分はそうではないと信じてしまったから。大和を自分の上に置き、知りたいと願うことで、劣等感から目を逸らそうとしていた。自分は、戦えなくていじけていたのだ。
だから話はシンプル。大和に戦いを挑めばいい。
それに、あのいけ好かない久我という男に教えられた。
日本海軍は、いやアメリカの仲間達、あらゆる艦娘が常在戦場。捨て身で戦っている。それをお人形遊びと馬鹿にする輩に、艦娘の凄まじさを見せてやるのも最強戦艦の責務ではあるまいか。
炸裂! 初めて実戦で目の当たりにする最強の
「Excellentよ! 大和!」
大和はふふふと笑って、再装填に入る。主砲塔が一基破壊されているから、彼女はたった六門の砲で戦っている。だが、共に戦う安心は半端じゃない。
続いてアイオワが発砲、大和が剛腕のサムライとするなら、アイオワは神速のガンマンだ。たちまちの九発の砲弾が敵戦艦を中破に追い込む。
「あなたもですアイオワ」
戦場なのに優雅に微笑んで、彼女は返してくる。これがYamato!!
「提督の予想通り、護衛の数が少ないです。きっと政治の問題で大艦隊を出せないんでしょう」
「政治……Politics? 私たちには関係ないわ!」
「ですね!」
接近してくる駆逐艦は、暁たちが、航空機はアトランタが処理してくれている。最強の仲間たちだ。
「追っ払うのは任せて! 道を開くっぽい!」
「暁の出番ね、見てなさい!」
ついさきほどのことだ。アイオワはアトランタと一緒に、久我を一喝した。かつて自分達を恐怖に叩き落した、最恐の好敵手を侮辱されたから。
気付いたのだ。自分の価値も信じられない。少ない戦績に拗ねている。そんなしみったれた艦娘に、最強の看板は相応しくない。
最強の名が欲しいなら、今最強のやつをぶっ倒せばいいのだ!
そしてアイオワは今、身体が浮き上がるほどの高揚感を感じていた。
今決めた。化物砲を沈めて、全員無事に帰還したら、その後演習で大和とガチBattleだ。そしてもう、負ける気がしない。
『南西およそ四十海里で発砲炎! 回避を!』
赤城の通信だった。再攻撃が来る! だがこれをしのげばこちらの攻撃フェイズだ。自然と笑みが漏れた。そして状況から言って、何を守ればいいかは明白。戦闘力を削がれた大和に止めを刺す。それが定石の筈。だけど――東西の最強戦艦タッグには、あまりに読まれやすいやり方だった。
「Yamato!! 突撃準備を!」
そして大和は、アイオワの意図を的確に把握した。
「各艦! 散開してください!」
駆逐艦たちがフォーメーションを維持したまま、艦の間隔を広げる。
アイオワは大和と敵艦の予想方位の間に割り込み、主砲を盾にした。金切声を上げ砲弾が降り注ぐ。
「来ます!」
かつてないほどの衝撃で、アイオワは数メートル吹き飛ばされた。いや、吹き飛ばされることで衝撃を逃がした。主砲塔どころか、船体の砲も小破判定だろう。体を斜めにして受け流したのだが、そう甘くはなかった。これで大和と一緒。再攻撃には持たない。
「Yamato! 速力を上げて、近づきましょう!」
「ええ!」
でかい大砲は、取り回しに劣り、近接射撃に使えない。懐に飛び込めば!
「BB61 Iowa、突撃する。