今回のお話はタイトル通りです。もはや何も言うことはナシです。お楽しみあれ。
Starring:大和
四十五口径46cm三連装砲。最強の戦艦に与えられた、人類史上最強の艦砲だ。
たとえ一基が失われても。最強の自負は変わらない。戦艦を敵にする限り、大和型は無敵!
目の前に現れたのは。大和の身長を10倍してもやっと半分くらいの、まさしくお化け砲台。それを複数の戦艦級が支え、重巡を率いた戦艦棲姫が輪形陣で取り囲み、守っている。
「突っ込みます!」
「OKよ!」
発砲! 六門に減っていた大和の主砲でも、ひとたび命中すれば敵船体の装甲は粉々だ。さっそく装甲片をまき散らし、戦艦級が水面に消えてゆく。
「続くわ!」
アイオワさんの主砲が火を噴く。比喩ではない。本当に爆炎を吐き出して、正面を守っている重巡級を吹き飛ばした。多くのアメリカ艦は
まさに、最強のライバル!
提督が示してくれた、圧倒的な強さ。それは孤独な戦いを意味しない。だから、これはこれで悪くない。
敵空母が直掩機を発進させる。だが遅い。自分達の位置を悟られないように、直掩機を上げなかったのが失敗だった。離陸する敵機、上空の一航戦搭載機が片端から排除してゆく。
護衛空母からの対潜機が、海面すれすれを走り回り、潜水艦の動きを封じてくれる。
「行け!」
弾幕6インチ砲をつるべ打ちにして、アトランタが叫ぶ。返事の代わりに敵随伴艦の穴に突入する。
巨砲の
だが――。
大和かアイオワさん。どちらかを一撃で倒したところで、再装填が完了する前にもう一人が至近距離で目標を叩ける。つまり相打ち覚悟の一撃と言うことだ。つまり生還を捨てて、片道切符で丹賑島の戦力を削りに来ていると言うことだ。
戦艦棲姫が迎撃してくる。いつもなら真っ先に排除する敵だが、大和は「無視」を選択し、アイオワさんもそれに続いた。
(……舐められたものですね)
生きて帰る気のない戦いは、最も彼女の主義に合わないものだ。
ここで新たな命を得た時、それでもいいと思った。今は違う。敵を余裕で倒し、余裕満面で帰投してこそ最強である。
「アイオワさん!」
「任せて!」
単縦陣を解除し、二人は敵陣の中、バラバラに立ち回る。敵に同士討ちが頻発し、化物砲の
最強の戦艦との戦いを、待ち望んでいたのはアイオワさんだけではない。自分だって長門さんたちに、あなたの後輩は最強無敵だと教えたかった。
自分は母港に縛り付けられていたせいで、つい拗ねていたけれど提督が道を教えてくれた。
自分は最強の戦艦。最強の深海棲艦を一刀のもとに切り伏せ。彼女達を恐れさせ、侵略を放棄させ、平和を創る。それが大和の役目。
そしてまた、我が提督は最強だ。一週間も満たない期間で、好敵手アイオワさんの悩みを
だから、こうして、ライバルと競うことが出来る!
刹那、頭をぶっ叩かれたような衝撃と、火山のように吹き出す黒煙で周囲が包まれた。巨砲が火を噴いたのだ。
目標は、やはり艤装が傷ついていた大和だった。しかしそれは、彼女を撃ち貫くことはなかった。
敵が自分に集中している間、アイオワさんが突撃、体当たりをかけたのだ。
「Fire!!」
ゼロ距離で主砲が放たれる。巨砲を支えていた戦艦級がもろに吹っ飛ぶ。護衛の重巡たちが、アイオワさんを排除しようとゼロ距離で中型砲を構えた。
判断が遅い!
大和は既に、巨砲の反対側に回っていた。
「薙ぎ払え!!」
巨砲の横からから一撃。これだけの精密機械。砲自体は頑丈でも装填装置や射撃装置は、恐らく脆い。これで次弾装填を引き延ばせるはず。
背後から殺気! 戦艦棲姫が、振り上げた主砲を大和に叩きつけようと突進してきたのである。
だが、提督に受けた訓練は伊達ではない。大和は難なく戦艦棲姫の手首を取り、ひねり上げる。敵は盛大に投げ飛ばされ、海面に激突。照準を巨砲から移し、深海棲姫に撃ち込んだ。これで、彼女はもう動けない。
再び巨砲に向き直る。
その時、護衛の重巡級が、一斉に砲身を直上に向けた。大和は、それを警戒するより目の前の巨砲を叩きのめす判断をした。
『全艦、対衝撃! 気化爆弾だ!』
気化爆弾! 以前に艦隊を危機に貶めた至近専用兵器である。対策は確立されていたが、それは目の前の敵を見逃すことを意味していた。
だから負けない! 衝撃で吹き飛ばすだけの兵器だ。高速と引き換えに軽防御の駆逐艦とは違う。
「戦艦が、簡単に沈むものですか!」
「
二人の戦艦は閃光に飛び込んだ。ちりちりと髪の先が灼ける音。だけど、敵はそこにいる!
「主砲発射! てえっ!!」
「Fire!!」
ゼロ距離から撃ち込まれた、世界最強の15門が、深海棲艦の装甲を引き裂く。鋼鉄がひしゃげる音。砲身が裂け、最高硬度と予想されるお化け砲は吹き飛び。そのまま赤熱した破片をまき散らした。
顔を庇った腕に熱い鉄片が突き刺さるが、大和の心は歓喜で満たされていた。言葉にならない言葉で、咆哮する。
(私は、最強! 私は、皆を守れる!)
だが興奮は、海風が黒煙を洗い流すまでだった。勝利の余韻は、直ぐに冷めて行く。
「私は、まだまだですね」
アイオワのアシストは嬉しいが、この程度の敵は単体で戦えないと。アイオワがいてくれたのだから、それこそ二隻三隻沈めないと割が合わない。
でもまあ。今回はこれでいいかもしれない。
「Mission Completeね! 艤装なしで
東西の最強戦艦は、握手を交わす。次の機会が、心底楽しみでならなかった。
戦艦は簡単に沈まない。
――増してや、最強の戦艦は。