今回のエピソードは、本作の中でもっとも書きたかったシーンのひとつです。今まで積み上げてきた関係性が一気に化学変化を起こす。そう言うの良いですよね。
もっと褒めていいのよヾ(*´∀`*)ノ
Starring:提督
聞こえてくる。
起きなきゃ。
なあ、ごめんよ。お前らが泣くときって、俺がやっちまった時だもんな。
でも大丈夫だから。こんどこそ、きっと――。
目が覚めたのは、どこかの病室。右手に重みを感じた。そこには俺の右手を握りしめたまま寝息を立てる赤城がいた。目が腫れている。随分泣かせちまったな。ごめんな。
「……ひっく。もう、いやですよぉ」
俺を見下ろして、漣がすすり泣いている。すまんな。全部俺が悪い。でも、お前に泣かれると。俺はどうしたらいいか分からなくなる。
「こんな事になるなら、ご主人さまを連れてこなければよかった。……ご主人さまなんて、自宅警備員のままでよかったんですよ」
麻酔が効いた頭なのに、苦笑してしまった。そしてそれと同じように、心が苦しい。
「……ただいま」
それだけ言った。漣が驚きに染まり、踏み出してすっころび、赤城と盛大に頭をぶつけた。起き上がった二人は、俺に泣きながら説教した。日本語も判別できないような、何を言っているか分からない説教。ろくに働かない頭では、半分も理解できない。でもそれは痛いほど伝わった。
「ごめんな。でも聞いてくれるか?」
二人はまだ気持ちが治まらない様子。でも鼻をすすりながら頷いてくれる。
「俺と……生きてくれるか?」
精一杯の言葉のつもりだったのだが、彼女達は「は?」と口を作って、お互いの顔を見合わせた。唐突なのは分かるけど、それでも今言わなきゃいけない。けじめとか、そう言う考えがないわけじゃない。でも、何より俺がそうしたい。あの丹賑島で、
赤城は言う。いつも凛とした彼女が、涙で顔をぐちゃぐちゃにして。
「あなた、馬鹿なんですか?」
自業自得とは言え、ほんの少しだけ心外な一言だった。そりゃあ、今までの体たらくだからな。どう信じてもらうか、熱で朦朧とした俺には思い浮かばない。
「……馬鹿だよ。お前らみたいのに惚れられて、逃げ回って、たんだからな」
我ながら勝手な話かもしれないが。大切な存在に気付く代償が左腕だけなら、安い買い物とすら思える。そんなことを言ったら、皆は怒るだろうけど。俺は、あの沈みゆく乗艦から、やっと帰ってきた。帰ってくることができた。
「愛してる」
クサい台詞だった。でもこの言葉が一番な気がした。
そしたら案の定というか、赤城も漣も、声を上げて泣きだした。つられて俺も泣いた。それから、三人で笑った。