さて、毎日暑いですね。皆様も無理せずご自愛ください。そして私、体調を壊す(´;ω;`)
イベントは現在E3-1っす。まだ慌てる時間じゃない。友軍も苦し(震え声)
さて、今回もとてもとても大切な回です。津田がある決断をします。その後悪乗りもしますが。流行のネットミームは嫌いですか?
Starring:赤城
●呉市役所地下 緊急避難所
病室の外に立つ艦娘たちが、一斉に敬礼する。赤城はそれで初めて、自分の宝物が皆の宝物になったと気付いた。漣も頷く。
「必ずお守りいたします!」
敬礼する呉の親潮には、ただの上官には感じさせない熱があった。早潮ら、他の者たちも同じだ。戦う者特有の、最大限の敬意だった。
名将云々ではない。任地に居たいが為に出世ルートを蹴り、仲間の危機に激怒して中央と喧嘩をし、そして今、重症の中で戦いをやめない。全て艦娘と共にありたい為に。
そんな提督は、全ての艦娘にとって、理想そのものだったから。
「呉鎮守府の、誇りにかけて」
赤城も、漣も答礼した。嫌な気はしない。いや、何より誇らしい。
「じゃあ、皆準備をお願い。あと赤城。ちょっとだけ耐えて」
木葉司令官の声がした。振り返るとそこには彼女と、子供を抱いた八千草仁美だった。
彼女は静かに頭を下げる。言葉での謝罪はなかった。謝罪など意味を持たない。自己満足に過ぎないと分かっているから。
赤城ももはや、食ってかかるようなことはしなかった。怒りが無いわけではない。ただ、宏武さんにとってそのほうがいいと感じたから。きっと、もう大丈夫だから。
「……八千草さん」
消え入りそうな声がした。目を覚ました宏武さんを、思わずのぞき込む。彼の顔は相変わらず痛々しいけれど、その目は穏やかだった。
「最後に、お子さんを撫でさせてもらえますか?」
思わぬ言葉だった。それでも彼女は子供を抱え上げ、宏武さんの右手に近づけた。彼の手が、ゆっくりと揺れる。赤城は思わず、左手の指輪に視線を落とした。彼は最後にと言った。彼は、決別を選んだ。
「……ありがとう、ござ……ました」
宏武さんの言葉が途切れた。医者が駆け寄り脈をとって、大丈夫ですと頷いた。
八千草仁美は何も言わず、泣く事もせず。いや、泣く事も許されずにその場を離れた。宏武さんの言葉は、彼女にとっての十字架だったろう。
でもきっと、宏武さんが与えたのは、それ以上に赦しなんだろうな。そう思った。
「よく耐えたわね」
いつものように軽薄さを演じて、木葉司令官がねぎらう。
「こんな状況になる前に彼を許せば、もっとちゃんとした、たくさんの言葉で和解できたでしょうね。馬鹿な人です。でも――」
「でも?」
「私も同じです。許せずにいたのも。ぎりぎりで間に合ったのも」
木葉司令官は何も言わず、ウィンクしてみせた。
「今度お好み焼きでもおごるわ」
「呉焼きも付けてください」
彼女はそのまま憲兵たちの元へ行き、状況を説明し始める。
色んなひとたちがいてくれて、良かったな。素直にそう思えた。
「私は木葉少将よ。久我大佐の反乱により通信回路が破壊されたわ。緊急事態につき私が臨時に指揮を取ります。反乱軍は北ブロックの要人を監禁している。包囲して、姿を現した瞬間を拘束しなさい。設置された爆薬から信管を抜け。要人を傷付けるな!!」
ノリノリの演説と共に、木葉樹希少将は行進する。なんだかよく分からない様子の陸戦隊兵士やその他職員たちも、彼女の白い軍服と、それを取り囲む憲兵さんを見て、小銃を置いて事情を尋ねる。反乱の鎮圧とは程遠い、牧歌的な風景が広がっていた。
やがて、状況の危険さを理解できた陸戦隊員が銃を構え直し、他の部隊に「状況を伝える」ために散っていった。
「これは案外」
言いかけた漣がはにゃーと声を上げて、頭を伏せる。ひゅっひゅっと風切り音が響いた。まだ抵抗する部隊がいるらしい。机を積み上げて簡易バリケードを作っている。
「閃光手榴弾!」
木葉司令官の一声で、艦娘たちが一斉にポーチから
憲兵が前に出て投降を呼びかけるが、応じる様子がない。クーデターに直接加担している連中かも知れない。
「漣!」
「はい! 赤城!」
漣はそのままの体勢で伏せ、〔89式小銃〕を発砲。銃撃は一瞬止む。赤城は閃光手榴弾のピンを抜くと威力を調節してストレートで放り投げた。今度こそ、閃光が敵の陣地を覆った。
”敵”はたちまち無力化された。
「凄いです!」
親潮を筆頭に、呉の艦娘たちが驚きの声を上げる。呉鎮守府に所属するのがいかに精鋭艦隊でも、陸戦技術まで保有する艦娘は稀有だろう。
「ねえ、どこで覚えたの?」
「ええ、その」
「何と言いますか。加賀さんの薫陶の賜物といいますか」
もごもご言いよどむ二人に、親潮たちは首をかしげる。
「加賀さんですか? あきつ丸さんや神州丸さんではなく?」
「色々ありまして」
相棒の加賀が銃器マニアに目覚め、ことあるごとに陸戦訓練に誘ってくるとは言えない。別に言ってもいいのだが、真面目な親潮が戸惑った顔が、容易に想像がつく。
「ねえ、呉の加賀さんってどんな人なんですか?」
「そうですね。艦隊ごとに個性が違いますが、共通するのは、厳しくて優しい人です」
漣は苦笑していった。
「そこは変わらないですぞ」
赤城もまた、自慢げに頷いた。そんなの当たり前だからだ。